3月貿易黒字を圧縮した「鉄鉱石事情」 | ニューノーマルの理 (ことわり) Powered by Ameba

3月貿易黒字を圧縮した「鉄鉱石事情」

3月貿易収支の黒字額は、「約8割の大幅減」となった模様。(78.9%)


震災によって(3月の)輸出額が大幅に減ったのかと思いきや、輸出額自体は前年同月比で2.2%しか減っていなかった。 で、財務省の貿易統計 を確認すると、この輸出額は1979年以降、3月としては「第5位」となっており、輸出はなんと好調の部類に入っている、 、


という事で、輸入額がそれ以上に好調だったことが容易に想像付くわけですが、これは前年同月比11.9%で、輸出の5位を凌ぐ「第4位」との事。

で、さらにその内容を見てみると、資源価格が伸びている事が確認できる。その中で直ぐに目に付くのが鉄鉱石の「+74.9%」という急拡大ぶりだ。



鉄鉱石価格の高騰と日本の「買い溜め」


そういえば、ブラジルのヴァーレが、震災の後、日本の鉄鋼各社に対して「鉄鉱石出荷の数量変更に無条件に応じる」と通達をしていた。(価格変更でないところがミソ)


さらには今現在、鉱山資源各社の業績は絶好調であり、そのヴァーレ(VALE5.SA )やリオ・ティント(RIO.L )の10年12月期決算が過去最高益となったのは先月発表されたばかり。

鉄鉱石価格の長期上昇トレンドは継続中であり、日本の鉄鋼各社がリオ・ティント等と2011年4-6月期の鉄鉱石価格契約において、過去最高の1トン170ドルで合意を迫られる、なんていう報道も最近目にしたばかり。(現在178.8ドル)


 ニューノーマルの理


2010年4-6月期は1トン平均105ドル契約であり、さらに2010年3月期までは平均62ドル契約となっていた。鉄鉱石価格の急騰は「止まるところを知らない」といった様相で、更には他コモディティと違って、鉄鉱石や石炭は相対取引が主体となっている為、ヴァーレやリオ・ティント、BHPビリトン(BHP.AX )のような限られた数社が実質「ジャック」している鉄鉱石市場では、おのずと供給側の価格交渉力が強くなるのが特徴といえる。

よって、他コモディティと違い、投機マネー等が入ってくる事はほとんど無いわけですが、上記の事情などから価格高騰は起こり易い事になる。


という事で、日本の3月の貿易収支額「8割減」は、輸入増加、具体的に言うと「4月から価格がハネ上がる鉄鉱石の買い溜め」というのがその実態像ではないだろうか?復興担う建設需要を考えると、今後も鉄鉱石の多大な輸入額は継続するかも知れない。