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激化する「米中貿易紛争」

米失業率は、事前予想よりも早く2ケタ突破の「10.2」をヒット。


ただ、10%到達は既定路線。市場は一瞬つまずくものの、すぐさま立ち直る。

DJIA 10,023.42 Up 17.46 (0.17%) 6-Nov 3:59PM果てしないカオス


オバマは2ケタ失業率に対して、「住宅購入者向け税額控除の「拡大」や失業給付期間の延長などを盛り込んだ法案に署名」したらしいが、そんな中、「"Real" Unemployment Rate Is 17.5% というような記事がチラホラと目に付いた。

という事で確認してみると、こんな具合。


     Oct.  June  July   Aug.  Sept. Oct.

     2008  2009  2009  2009  2009 2009

U-3    6.6   9.5   9.4   9.7   9.8   10.2

U-6    12.0  16.5  16.3   16.8  17.0   17.5

   (The U.S. Department of Labor Home Page)


U-3が公式発表の失業率で、U-6が、米メディアの報じる「本当の失業率」。

「U-6」とは、「Total unemployed, plus all marginally attached workers, plus total employed part time for economic reasons..」 となっているが、米政府が公表している失業率(U-3)に、「過去に就職活動をしていたが、、現在は仕事も求職もしていない者」と、「経済状況の為に、不本意ながら、パートタイム労働者となっている者」を加えたもの。


まぁ自分的には、U-6から「バイト」を差し引いた「U-5」が実質の失業率だと思うんだけど(11.6%)、受け止め方は人それぞれ。 ただ、その中でも、就業者数の減少幅自体は減ってきている、という「若干の光」があるらしい。


We're Bleeding Jobs, But Blood Loss Is Slowing

                        (Nov6 BusinessInsider)

U.S. unemployment hit a shocking 10.2% in October. Worse yet, the "real" unemployment rate, which adds in things such as discouraged workers who have dropped out of the labor force, hit 17.5%. Ouch. What are we – Europe?

Yet there's some light at the end of the tunnel.

While the unemployment rate and "real" unemployment rate rose in October, the rate of deterioration (year over year change) for both measures kept falling, as shown below. Moreover, the trend of the more conservative "real" unemployment rate (in red) improved faster than that of standard unemployment (in blue)...

果てしないカオス


米10月失業率は、衝撃的な10%に達したが、さらに悪い事に「本当の失業率」(U-6)は、イタい17.5%をヒット。我々はヨーロッパか!?..それでも、トンネルの向こうには若干の光が。グラフの通り、失業率と、本当の失業率が10月に上昇する傍らで、前年比における劣化率は下がり続けている。さらに、より保守的に見た「本当の失業率」()のトレンドは、公式発表の失業率()のそれよりも、早く改善されている、というもの。


ある程度失業してしまえば、悪化に歯止めが掛かってくるのは当たり前の話で、記事にあるように「改善」とはまた違うと思うんだけど、まぁ、失業者の増加率が緩やかになった方がマシって事で、いちおーポジティブな視点。(失業保険申請件数と同じ)


激化する米中貿易紛争


米5日に、米商務省から、中国製オイルパイプに最大99%の反ダンピング課税適用(仮決定)、っていうアナウンスが流れてきた。

「米商務省、中国製油井管への反ダンピング課税を仮決定」


アメリカは、今年の2月に「中国製ベッド用スプリング、アルミ材等にアンチダンピング措置を発動」した後、9月には「中国製タイヤ輸入にセーフガード発動」を決定していた。 それに対して中国も、アメリカの「タイヤセーフガード発動」をWTOに提訴したり、米国製自動車や鶏肉製品に対してはアンチダンピング調査を開始していたんだけど、今回の措置はそれに続く出来事。

中国は当然、それに対して強く非難している。


Beijing Slams U.S.Tariffs in Growing Clash

果てしないカオス BEIJING -- China called a U.S. decision to impose duties on imports of Chinese steel pipe "abusive protectionism," and both nations moved ahead with new trade investigations Friday, heightening a trade quarrel a little more than a week ahead of a visit to China by President Barack Obama... Nov7 WSJ)

中国は、中国製スチールパイプに対する、米政府の反ダンピング課税の決定を「虐待的な保護主義」と非難したようで、オバマの訪中一週間程前に、両国の貿易摩擦は、一層強くなった、との事。


中国はさっそく、「排気量2000cc以上の米国製セダン型乗用車とスポーツ多目的車(SUV)に対する反ダンピング調査に着手する」、と正式に発表(6日)。 そしたらそれとほぼ同時にアメリカが、新たなダンピング調査を仮決定した。 

「米が中国製光沢紙にクロ仮決定 ダンピング調査で貿易委」


確かオバマは、15日からの訪中で「保護主義は望ましくない」みたいな事を中国に伝える、とか言っていたと思うのだが、今回の措置はオバマ政権の完全な愚行、という事になる。


9月の中国製タイヤに対するセーフガード発動には、支持基盤であるUSW(全米鉄鋼労組)からの圧力が強かったらしく、今回のオイルパイプに関しても、以前からUSスチールと、USWからの要求が強い、と言われていた。

調べてみると、確かにアメリカの対中貿易赤字は、過去数年間右肩上がりで、昨年が2663億ドルにまで達している。アメリカのシンクタンクによると、2001-2007には、中国からの輸入が原因で失業したアメリカ人は230万人にも及ぶとの事。

さらには、その2007年から、昨年(2008年)までの1年間で、中国製オイルパイプの輸入額が何と3倍以上に急増しているとの事で、オバマは、支持基盤である労働組合から強い「ストップ要求」をされた訳だ。


果てしないカオス オバマからすると、加速する失業率抑制措置を取った事になるし、強力な支持基盤に対して配慮を見せた事にもなる。 

しかし中国側からすると、「米国債は買って欲しいが、アンタらの製品は買いませんよ」と言われているのも同然で、「とてつもなく尊大な態度」と感じる事は間違えない。 いや、ハッキリ言って中国は怒り狂っている事だろう。


9月からの対中措置で、中国との競争に劣勢な米民間企業(業界)からも同様の声が上がっているようなんだけど、オバマは支持基盤からの圧力に負け続け、保護主義路線をこのまま突っ走るつもりなのだろうか?


今後、中国はアメリカがそういう態度(保護政策)を続けるのであれば、内需主導政策とドル離れを本格的に進めていくかも知れない。 この事は当然、オバマも分かっているのだが、「保護主義はダメ」みたいなジョークとも取られ兼ねない事を、中国で本当に言うのだろうか? 彼にとっては、難しい訪中になる。



追記> ゼンゼン関係ないけど、この話題。

「大阪空港に市橋達也容疑者? 通報相次ぐ」


賞金に目がくらんだ結果だろうか?思わぬとばっちり。整形連鎖にならなければイイが。


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