「真田丸」の後藤又兵衛はなんであんなに傲慢でウルサいのか。半沢直樹は、何を考えているのか? | えいいちのはなしANNEX

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このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

 この土日の注目は、「三人の翔が、どこまでやるか」でした。

 大谷翔平、中田翔、哀川翔です。

 

 「真田丸」の後藤又兵衛、さすが哀川翔だけあって、傲慢でうるさくてワガママな、かなりのキャラでしたね(褒めてます、メチャクチャ褒めてます)。

 それにしても主人公の真田信繁あらため幸村は。なんだか譲歩しっぱなしで。なんでもっと自己主張しないんだよ、と思われる向きもありましょうが。

 私は、「おおー幸村、いいぞ、いいぞ」と思ってみてましたよ。

 ここで後藤又兵衛の態度が正しいか正しくないか、好きか嫌いか、そんなことは幸村にとって、どうでもいいことです。

 大切なのは「この有能だけど扱いの難しい人材を、どうやったら上手く活用できるか」という、シンプルな組織論です。
 私は、大坂城にやってきた堺雅人がついに「半沢直樹」になってきたのを見て、とても感動しています。つまり、「どんな手を使っても、勝つ」という策士です。
 これまでの人生は、真田信繁は基本、流れに任せて生きてきました。
 上杉の信頼を勝ち取り、秀吉に見出され、三成に共感し、これらは基本的には「運命の流れに乗って生きてきた」と言っていいでしょう。
 この間、信繁は「人の上に立って、集団を引っ張る」という経験を積んでいません。


 しかし、名を幸村に変え、大坂城に入ると決めた瞬間に、明らかに彼は変わりました。「半沢直樹化」したんです。
 変装して入城して皆を驚かせ、自分の経歴を粉飾して大見得を切り、ハッタリで自分を大きく見せる作戦にでました。何のために。大坂城内で主導権を握るためです。
 幸村はすでに、自分がリーダーになって皆を引っ張っていく決意を秘めています。「自分に出来る精一杯をする」では、もうダメなんです。
 死に花を咲かせる、なんて美学は、半沢直樹にはありません。幸村は、完全に「勝ちに来て」います。
 そのためには、大坂城に集まったクセものたちを、何とかおだてていい気分にさせて、働かせなければなりません。


 ここでもし三成だったら、どうしたか。相手を理屈でねじ伏せて、自分のほうが合理的であることを証明し、自分に従わせるでしょう、清正たちにそうしたように。
 でも、これでは人の心は掴めないんです。だから三成は、関ヶ原で勝てなかった。彼は、それを学んだはずです。

 幸村にとって、後藤又兵衛たちは、対等にケンカして張りあうべき相手ではなく、いい気持ちにさせてヤル気にさせるべき「駒」です。言っちゃ悪いけど。
 そうして少しずつ、勝てる組織を作り上げていくこと。徐々に周囲を納得させていくこと。いずれ実績で、リーダーと認めさせること。
 それが、来る戦に勝利し、徳川家康に「倍返し」するために必要な、合理的行動です。
 「勝てる」と断言した幸村に期待しましょうよ。後藤又兵衛が無礼かどうかなんて、ちっさい話です。でも哀川翔は、かなりいいキャラだ。

 

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そういやあ、大坂城には「尾張者」がもうほとんどいなくなっちゃってるなあ。豊臣家、なのに。

あ、織田有楽斎、くらいか。井上順、渋谷区の催事ではいつも見るけど。ひさびさにメジャーなドラマで見られて嬉しい、区民としては。