「少年H」の小栗旬は、ほんとうに「主義者」だったのか?(再録) | えいいちのはなしANNEX

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このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

この物語は主人公H少年(イコール原作の妹尾河童先生)の回想録ですから、H少年がそのときその場で見聞きしたことしか描かれません。当然です。

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H少年が知っている「赤盤のお兄ちゃん」は、 舶来レコードを聞かせてくれる親切な青年に過ぎません、でも、H少年が知らないところで(つまり画面に映っていないところで)小栗旬がどんな活動をしていたか、どんな仲間がいたか、どんな思想を持っていたか、少年は知りません。そのときも、そののちも。永久に分かりません。

小栗旬が仮にバリバリの共産主義者だとしても、ただの近所の少年に、共産主義を熱く語ったりなんて馬鹿なことをするはずがありません。もし、そんなシーンが出てきたら、それこそマンガです。そういうものです。

ふつうのいい人だと思っていた隣人が突然しょっぴかれる、庶民は無責任な推察をするしかない、そういう時代だった、ということが分かる、それだけです。自由主義と共産主義はどう違うかなんて、当時の少年には論議する知識も能力もない以上、そういうことを映画で描いたら、それは嘘にしかなりません。