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LE CHIAVI DI CASA

イタリア 2004年

キム・ロッシ・スチュアート 、 シャーロット・ランプリング 、アンドレ・ロッシ、 ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ

監督・脚本:ジャンニ・アメリオ 『宣告』、『小さな旅人』


【ストーリー】

ジャンニ(キム・ロッシ・スチュアート)は15年前に恋人を失った。結婚もまだしていない恋人は、難産のため命を落としてしまった、さらに帝王切開も間に合わず生まれた子には障害が残ってしまう。若きジャンニはあまりのショックから、生まれてきた我が子を手放してしまう。15年間、その息子パオロ(アンドレ・ロッシ)は亡くなった母親の家族によって育てられていた。叔父のアルベルト(ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ)はパオロの治療には実の父親を・・と医者から言われジャンニの元を訪れた。15年間会ったことのない息子をミュンヘンからベルリンのリハビリ施設へ連れて行くことになったジャンニは、道中パオロにどう接したらいいか戸惑いながらも、リハビリ施設に到着する。そこでジャンニはパオロより重い障害を持つ少女の母親ニコール(シャーロット・ランプリング)と出会うのだった・・・。




前々からずっと観たいと思っていた作品


15年ぶりに出逢った父と息子
息子には障害があって戸惑う父
けれど、
ジャンニが父親として息子を愛しく感じるのに
あまりにも簡単すぎると思うほど時間はかかりませんでした


どこか安易な感じを受けつつも
いや、親というものは理屈ぬきで自分の子供は愛しいものだ
そんなことを考えたりしました


そして、ジャンニはパオロのリハビリの途中で手を出してしまう
親なら誰もが経験するような思い
「問題は親なんだ・・・」という医者の台詞が
どこかチクリと胸をさしました・・


愛しいからといって「ころばぬ先の杖」にばかりなってはいけない
子供には子供の人生がある
たとえ、障害があろうと、なかろうと・・・


この作品では父親と母親の違いが
とても見事に描かれています


シャーロット・ランプリング扮するニコール
彼女は穏やかに微笑みながら
的確にジャンニの痛いところを突いてくる


パオロを警察に迎えに行った帰り
「どうしてそんなに穏やかなんですか?」とジャンニがきいた後
なんともいえない表情をみせるニコール


彼女が20年余り、どんな人生を歩んできたか
愛する我が子の死を望んでしまうほど
壮絶な心の葛藤と絶望感
台詞などなくても一目で彼女の人生が見えて
深い溜息をついてしまいました


彼女の一言一言は
これからジャンニが歩んでいく道

それは彼が考えている以上にある
多くの責任や抱えなければいけない重荷

最初にジャンニがパオロを愛しいと言ったときに感じた
安易な感じ・・・
きっとそれが母性と父性の違いかもしれません


ふとしたことでパオロを叱るジャンニ
家に帰りたいと言い出すパオロ
自分の立場に気づいたときジャンニは初めて涙します


皮肉にも、その涙を拭くのはパオロ
パオロの家は・・・
彼の持つ鍵で開けることができるだろうか
決して奇麗事なハッピーエンドでない
終わり方に、とても誠実さを感じてしまった作品です