- 過去のない男
- ¥3,420
MIES VAILLA MENNEISYYTTA
フィンランド/ドイツ/フランス 2002年
マルック・ペルトラ、カティ・オウティネン、アンニッキ・タハティ、ユハニ・ニユミラ、カイヤ・パリカネン、サカリ・クオスマネン、マルコ・ハーヴィスト&ポウタハウカ、エリナ・サロ
製作・監督・脚本:アキ・カウリスマキ 『浮き雲』、『街のあかり』
【ストーリー】
夜のヘルシンキ駅に着いた一人の男(マルック・ペルトラ)。公園のベンチで夜を明かそうと思っていた彼を暴漢が襲う。瀕死の重傷を負った彼は、奇跡的に意識を取り戻すが過去の記憶を全て失っていた。身分証もなく、自分の名前すらも分からない男。そんな彼を可哀相に思う人々の暖かい心で、幸運にもコンテナで暮らす一家が助けてくれる。ある日、救世軍からスープが振る舞われるということで、男はコンテナの主人に連れられ支給場所へとやって来る。そこで男は救世軍の女性イルマ(カティ・オウティネン)に一目で恋をする。決して美人とはいえないイルマだが、彼女もまた彼に惹かれていく。淡々と過ぎる毎日のなか、銀行にでかけた男は、銀行強盗の目撃者として新聞で報道される。その記事を見た女性から彼の身元が判明するのだが。。。。
過去がない
記憶がない
名前がない
なんのしがらみもない男は
淡々と今日を生きていく・・
全てのものを受け入れる彼の姿
銀行強盗にすら見込まれて(?)頼まれごとをする
自分の身元がわかって妻と会った時も
まっさらな状態で妻に逢い
妻の現在を受け入れ
幸せになって欲しいと心から願う
ああ、人間って本来こんなに大きくて暖かくて優しい生き物なんだ・・
今まで生きてきた記憶や積み重ねてきた人生は
いつしか守るものがたくさんになり
欲やしがらみや、いろいろなものとなっているんだ・・
あまりにもさらりと
全体を通して、ほとんど抑揚がなく淡々と流れていくこの作品は
薄味なのにしっかり出汁がきいているお吸い物のようで
ジンと心に染み込んでいく感じがしました
イルマと過去のない男の会話
微妙な距離
あまり感情を表にださない二人
遠慮がちにつなぐ手
そして、歩いていく二人が見えなくなるように
電車が延々と通り過ぎていくラスト
そいういう演出がとても好きだなぁ~と感じた作品でした!!
小津監督作品も含めて
この監督の他の作品も見なくては!!