紅夢 | 映画を観よう

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紅夢 紅夢

大紅灯篭高高掛

RAISE THE RED LANTERN


コン・リー、ホー・ツァイフェイ、マー・チンウー、ツァオ・ツイフェン、チョウ・チー


監督:チャン・イーモウ 『初恋のきた道』

脚本:ニー・チェン 『べにおしろい/紅粉』

音楽:立川直樹 『マルサの女』、『非情城市』



【ストーリー】

1920年代の中国。父親に先立たれ、口うるさい義母との貧しい暮らしから抜け出すため、頌蓮スンリェン(コン・リー)は19歳の夏、嫁に行く。

嫁ぎ先には、既に3人の夫人がおり、スンリェンは第4夫人となった。

全てにおいて、第1夫人であるということで正妻として力を誇示しようとする大太太タダイダイ(チン・スウユエン)、第2夫人の卓雲ツオユン(ツァオ・ツイフェン)はスンリェンの身の上に同情して優しく接してくれる、舞台の人気女優だった第3夫人の梅珊メイサン(ホー・ツァイフェイ)は若さ溢れるスンリェンに露骨に敵対心を見せる。

スンリェンの住居である四院にはその日、内も外も赤い提灯が飾り立てられた。この赤い堤灯こそが、大旦那さま(マー・チンウー)の寵愛を得ることができる(旦那様がお泊りになる)という印であったのだ!

ある日、スンリェンは心優しく頼りにしていたツオユンが、旦那様の寵愛を得るためなら、になんでもする恐ろしい女性だと知りショックを受ける。

そんな中、スンリェンもまた旦那様の寵愛を得るために妊娠したと狂言を図るが、第2夫人とつながりのある召使ヤールによって、その嘘がばれてしまう。スンリェンは酒に溺れ、酔ったその勢いで第3夫人メイサンの不倫を口にしてしまうのだった・・・。



深紅の灯籠がゆらめく。 女の愛とパッション。 

1920年・中国 19歳の頌蓮に訪れた 数奇な運命

 -- 鮮烈の映像美に 女性たちの 妖しい情念を刻む


心が痛いです。

いろんな意味でズシリときました。


紅い色にこだわるチャン・イーモウ監督の作品ですが

この作品の紅は、とにかく圧倒的です


愛情、友情、憎悪、恐怖、艶、そして哀しみまでもが

その色で表現されているようでした


舞台はスンリェンの嫁ぎ先の屋敷だけなのに

その小さな空間の中に渦巻く人間の業

恐ろしいまでの静寂と

そこに流れる鈴のような歌声


それぞれの夫人たちも召使も

すべての人々が自分が生き延びるために考えることは

旦那さまの寵愛を受けること


人間は表面ではわからない

一番優しいと思っていた女性が一番恐ろしく

一番の敵だと思っていた女性は自分のせいで・・・


この時代、女性が自分らしく生きるなどありえない話で

まさに愛玩物でしかなかったのかもしれない

どこか日本の大奥にも似ていて

今の時代に生まれてよかった・・と思ってしまいました

(なんとも軽い感想ですが・・汗)


何も知らずに嫁いできたスンリェンは

ただひとつ大事にしていた笛のおかげで全てを知ってしまう

それとは裏腹に、たかが笛のことで・・と冷たい旦那様



本当に心優しい美しい夫人の悲惨な最期

それを目撃してしまうスンリャン


ラスト、新しくやってきた第5夫人が見た

一つ一つ紅い堤灯をつけて歌うスンリャンの姿・・

あまりにも哀しく、けれどもあまりにも美しくて

彼女の歌う歌が耳について離れませんでした


コン・リーという女優さんの凄さは何度見ても増すばかりですが

この作品、後半になるにつれて鬼気迫るものがあって

見終わっても、残像のように解放されたような

あの表情が思い出されてしまいます


チャン・イーモウ監督ってすごいな~と思う作品でした。