海を飛ぶ夢 | 映画を観よう

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ポニーキャニオン
海を飛ぶ夢
MAR ADENTRO

スペイン 2004年

ハビエル・バルデム、ベレン・ルエダ、ロラ・ドゥエニャス、クララ・セグラ、マベル・リベラ、セルソ・ブカーリョ、タマル・ノバス、ホアン・ダルマウ、フランセスク・ガリート


監督・脚本・音楽:アレハンドロ・アメナーバム 『アザース』、『蝶の舌』


【ストーリー】

スペイン、ラ・コルーニャ。19歳でノルウェー船のクルーとなったラモンは世界中を旅して回る。だが、25歳の時に、海の事故で四肢麻痺となる。海には詳しいはずのラモンが、引き潮の海へダイブしたのだ。それ以来、ラモンは家族に支えられながらベットの上で余生を過ごしているが、ラモンにできることは首から上を動かすこと、部屋の窓から外を眺めること、想像の世界で自由に空を飛ぶこと、兄と甥が作ってくれた文字盤に詩を書くことだけだった。

こんな生活が26年。ラモンは自らの死を望み、本当の自由を求めていた。しかし、法律では観とめられていない尊厳死、ラモンの死に手を貸すものは犯罪者となってしまう。ラモンはなんとかして自由を得たいと、尊厳死を支援する団体のジュネ(クララ・セグラ)を通して、弁護士のフリア(ベレン・ルエダ)に協力を得ようとする。一方、テレビのドキュメンタリー番組でラモンを見て、死を思いとどまらせようと、ロサ(ロラ・ドゥエニャス)という女性がラモンを訪ねてくる・・・。



実在の人物の手記を元に、アレハンドロ・アメナーバル監督が

製作総指揮から脚本、音楽に至るまで手がけた作品です


ラモンはこんな生活を26年も続けている

全てのことを誰かの手を借りてしかできない

自らの命を絶つことすら、自分ではできない


それは、ただ単純に辛いとか、苦しいとか・・

生きている意味があるとか、ないとか・・

もう、そんな時限は遥に越えたものなのでしょう


もしも、今

私がラモンと同じになったら?

四肢麻痺の母親のために、娘達の人生が変わってしまったら?

残念ながら、想像できません・・


ラモンの死を思いとどまらせようと、ラモンの元を訪れたロサに対して

酷い言葉を投げつけるラモン

傷ついて立ち去るロサにラモンがつぶやく

「君は逃げられるからいい・・」


甥っ子に「なぜいつも笑ってるの?」と聴かれ

「涙を隠す方法を学ぶのさ・・」と微笑むラモン

年老いた祖父のことを「役立たずの老いぼれ」という甥に

「君はいつか、その言葉を後悔し、自分を憎むだろう」というラモン


聴きたくないことに耳をふさぐことさえもできない

屈辱にも笑って答えるしかない

苛立ちで物を投げることも、悲しみの涙を拭くこともできない

全てを受け入れていくしかなかった人生


想像ができるわけがありません。

だから、ラモンの気持ちがわかる!なんて軽々しく言えません



それから、この作品を観て感じたのは

この作品、主人公はラモンだけれど

別の観方をすれば、女性たちの愛の形を描いているように思いました


ラモンの世話をしている兄嫁のマヌエラの愛

それまで、ほとんど感情を表すことのなかったマヌエラが

四肢麻痺の神父に向かって

「ラモンを息子のように想っている、彼は家族に愛されている。」

「あなたは、うるさい!!」

重みがあって、迫力がありました。深いです・・


弁護士のフリアの愛

尊厳死を観とめてもらう裁判(尊厳死を支援する会の)に有利になるように

ラモンのことを知ろうとしたフリアもまた、難病に侵されている

同じ匂いがしたのだろうか?夫のいるフリアだけれど

ラモンとフリアには誰にも入りこめない繋がりができる

マヌエラがフリアにラモンの詩を託すのは

そんな二人に気づいたから?


最終的にラモンの死を手伝うロサの愛

最初は生きてくれとラモンに言うロサが

なんとかラモンの愛を得ようとした結果だったのか?

それとも、本当にラモンの願いを叶えることが

ラモンに対する愛情だったのか??

このへんは、難しくてなんとも言えませんでした



ラスト、ジュネがフリアを訪ねて

ラモンからの手紙を渡す・・

ラモンとフリアの心は、自由を得て一緒になっただろうか?


ただ一つはっきりわかるのは

ラモンは多くの人に愛されていた・・ということです


難しくて、うまく書けません・・・

今度ゆっくり、また観てみよう・・(汗)



【蛇の足】

2004年のアカデミー賞、インディペンデント・スピリット賞などで 外国語映画賞受賞しています!!



----追記 3/29-----


人の幸せってなんだろう?

傍目には何不自由なく生活していて幸せそうに見えても

幸せかどうかなんて、その人自身にしかわからない

幸せという尺度は十人十色・・・


観る前のいろんな情報で、この作品のテーマは尊厳死だと思っていたけれど

監督のインタビューで「死を描いているが生がテーマ」だと聞いて観たので

ラモンやラモンの回りの、それぞれの人々の幸せの尺度が違うこと

死に対する考え、生に対する考えが違うことがはっきり分かった


なんて深い作品なんだろうか・・・

今ごろになって、ボディーブローが聞いてきた感じ

人生は自分の思い通りになんかならない

でも、幸せになる努力は死ぬまでしなくちゃいけない!


夫・子供・両親・兄弟・友人・・・etc

たくさんの愛をもらって、たくさんの愛を与えて・・・

そんなことをふと思ったりするのです




いい作品ですね~~~~♪