ケス | 映画を観よう

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ケス


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ケス(字幕)



イギリス 1996年


デイヴィッド・ブラッドリー、コリン・ウェランド、リン・ペレー、フレディ・フレッチャ




監督・脚本:ケン・ローチ 『リフ・ラフ』、『レイニング・ストーンズ』


原作・脚本:バリー・ハインズ


音楽:ジョン・キャメロン 『クリスタル殺人事件』




【ストーリー】


15歳のビリー(デイヴィッド・ブラッドレー)は、母(リン・ペレー)と炭鉱労働者の兄ジャド(フレディ・フレッチャー)の三人暮らし。父はずっと以前に家出し、生活は苦しく、ビリーも毎朝新聞配達のアルバイトなどをしている。学校では劣等生で、先生にも同級生にも、なにかと目をつけられては攻撃される。ビリーにとって、家も学校も孤独な場所だった。そんなビリーは、ハヤブサのヒナを訓練することに生きがいを見つける、ケスと名付けられたハヤブサはビリーの訓練で見事に成長して行くのだが・・・






イギリス映画で最も重要な監督といわれるケン・ローチ作品


実は、この監督の作品はどれも観ていなかったのですが


やっとこの作品を観ることができました!


この作品は、監督自身が一番好きな作品♪と解説されていたので


イギリス映画好きとしては、すごくワクワクして観ました!!




決して万人受けする作品ではないでしょう・・


でも、いい作品だと思います(うまく言葉にできないけれど・・)




炭鉱の町が舞台で労働階級の暮らしが厳しい人々


子供に無関心な大人たちと(生活に追われているから)


独善的な教師たち、夢のない子供たち


とにかく、暗いです。


家の中の雰囲気は『リトル・ダンサー』を思い出してしまいましたが。。




そして、ビリーが15歳というのが信じられないほど


小さくて弱々しくて、覇気が無い少年なんです


実際、私はもっと小さい子だと思ったので


きちんと専門書を読んでハヤブサを訓練するビリーに


少し驚いてしまいました




それにしても、大人たちが。。


体育の教師なんて、恐ろしいくらいのイジメです!


校長先生だってビックリ!


咳き込んだくらいで体罰・・?


なんていうところなんだろう!!


もちろん、これはあの時代のお話で、今は違うということですけど




そんな中で少し救われたのは国語教師


彼のおかげで、ビリーの凛とした顔を観ることができたから


そして、その国語教師に話すビリー


実は、とても哲学的で思慮深い一面があることがわかります


育った環境・・という一言で済ませるのは悲しいけれど


もっと違う状況だったら。。




そして、もう最悪なのがお兄さん


いったいこのお兄さんは何歳なんだ??


普通、どんな悪者にだって少しはいいところがあるもんです


特にお兄さんとかなら・・


でも、本当に最悪!!


自分のことしか考えてないし、大人気無い


そんな息子を抑えられない母親にもムッときましたが・・


ビリー強く生きてくれ!!と願いました





ラストも、え?これで終わり??という感じで


これから先のビリーの人生の厳しさを示しているようで


少し、取り残された気分になりましたが


だからといって、悲観的な気持ちになるわけではなく


厳しい環境の中でも、しっかりと生き抜いていくだろうという


不思議な確信のようなものが残りました






イギリスの作品は


いつも風景が綺麗で、時間の流れがゆっくりだと感じるのですが


この作品もそうでした


ビリーがケスを訓練しているシーンは


この作品の中で唯一明るい感じがしたところです




フィッシュ&チップスや競馬


炭鉱、コークスの山


ああ、イギリスだなぁ~としみじみ感じるアイテムも登場


暗いけれど、やはりイギリス映画独特の雰囲気のある作品で


妙に心に残る作品でした!