長崎尚志 パイルドライバー(KADOKAWA・単行) | 勝手に映画紹介!?eigasukiの読書忘備録用ブログ

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何年か前に強制退会トラブルの時に、予備で登録したID。本家ブログの更新を再開しています⇒http://ameblo.jp/eigasuki/ ここでは読んだ本の忘備録を書くつもりです。書籍購入はブックオフ中心なので、新作は少ないかも?

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初めて読む作家さんだけど…もともとは漫画原作や、映画脚本などでも活躍していた人なので、知らず知らずに作品に接したこともある。この著者による小説作品「闇の伴走者」を原作にしたドラマをWOWOWで見たことがあり、すごく面白かった、そうかあの作品の原作者なんだね。帯には大沢在昌センセイによる推薦文、2016年末発表、2017年版“このミステリーがすごい”で14位にランクインしていた作品で、ずっと読んでみたいなって思っていた。現段階では未文庫化…ソフトカバー単行本をブックオフの200円コーナーで入手。15年前に起きた未解決の一家惨殺事件と同様の手口による新たな惨殺事件が発生…同一犯の仕業ではないかと考えられ、当時の捜査に関わっていた退職した元刑事をオブザーバーとして“嘱託”で招き、捜査一課の若手刑事とコンビを組ませ、事件の真相に迫っていく。前述のドラマで見た「闇の伴走者」も何とも言えない薄気味の悪さが、ミステリーとしての魅力の一つで、本作も導入部に関しては近い印象を受けた。でも、単なる猟奇的な殺人かと思わせておいて…後半はグっとスケールが大きくなる意外性もある。容疑者が二転三転し何度も読者を欺くし(コイツ怪しいと思ったヤツが実際に事件に関わったりしてるんだけど、真犯人じゃなかったりみたいなことが何度かあった)、なかなか鋭いOB刑事と真犯人によるお互いの知恵比べなんかも読みどころ。警察関係者がいっぱい出てきて、階級を覚えるのが一苦労だが…まぁ、そのあたりも警察小説のお約束、味として味わうのがベターだろう。最初の印象は“偏屈なジジイ”だったOB刑事の久井さんが物語を読み進めていくと…ころころと違った表情を見せ、本当の姿を垣間見た瞬間に、ちょっとホロっとさせる。タイトルになっている“パイルドライバー”は久井さんの現役時代の渾名なのだが、果たしてどんな意味があるのか?本文中にも…“有名なプロレスの技でしょ?”みたいなやり取りが出てきて、自分は読む前はてっきりそっち系の意味だと思ってました。最後まで読んだ時に、本当に悪い奴は“アイツ”だったという一番の真相がわかり…“自分の保身のために嘘をつく人間”がいっぱいいる、まさに“今”にタイムリーな話だなと。本書のラスト近くに書かれている“何か(誰か)”が“当分盤石である”という一文に思わず目を吸い寄せられた…現実はどうなるか?


長崎尚志 パイルドライバー(KADOKAWA・単行)