ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書(2017年) | 勝手に映画紹介!?

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書(2017年)

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書

【鑑賞日:2018年3月15日】

田舎者のオイラには珍しく、2日続けて試写会でした…今日は「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」を見に小田原のTOHOシネマズへ。チラシには“アカデミー賞ノミネート”の文字がでっかく踊っていますが、残念ながら…ノミネートのみで終わってしまったのは周知の事実。主演を務めたメリル・ストリープは相変わらず“貫禄十分”に権力に盾突く新聞社のトップを演じておられましたが、今回はやっぱり主演女優賞を受賞した「スリー・ビルボード」のフランシス・マクドーマンドの方が鬼気迫る迫力を感じた。映画の内容はさすがスピルバーグな安定感!

ベトナム戦争が泥沼化している1971年…国防総省が、ベトナム戦争について調査・分析した機密文書が流出!まずはその文書の一部を入手したニューヨークタイムズがスクープを放つが、時のニクソン政権は反逆行為にあたると非難し、発行の差し止めを命じる。一方、ニューヨークタイムズに遅れを取ってしまったワシントンポストの編集主幹ベン・ブラッドリー、自分たちも文書をなんとか入手して追随したいと考えていたが、その願いが叶い、7000枚にも及ぶ文書のコピーを入手!なんとか記事にしたいと考えるが、社の幹部の中には反対意見も根強く…。

冒頭はベトナム戦争の戦場から幕開け…短いシーンであるが、さすが「プライベート・ライアン」のスピルバーグだけあり、印象に残る本格的な激しい戦闘シーンを見せつける。これが事の発端になるので、けっこう重要なシーンだ。国防総省の依頼で、戦場を視察していた人物が、“この世の地獄”を目の当たりにし…歴代の大統領、政府によって信じ込まされていた“我々アメリカは優勢だ!”という情報が嘘っぱちであることを知ってしまい、真実が記されている機密文書を盗んで、マスコミにリークしようとしたことで、その後、政府VSマスコミの激しい戦いが始まる。

戦場シーンを経て、文章が盗み出された後は…ちょっとばかり展開がややこしいので、頑張って話について行く必要がある。本作の一番の中心となるワシントンポストという新聞社がいったいどういう立ち位置にあるのかを、メリル・ストリープ演じる社のトップ(経営者)、キャサリン・グラハムと、トム・ハンクス演じる編集主幹(実際に記事を書いてる部署のトップ)ベン・ブラッドリーの人間関係などから、色々と読み解いていく必要がある。ちょうどメリル・ストリープは社を株式公開しようと色々と水面下で動いてる最中でして、政治家なんかとも深く付き合っている。

一方のトム・ハンクスは…現場のトップですから、ライバル社の動きがやたらと気になっていて、“追いつき追い越せ”な気持ちで日夜目を光らせているわけよ。そんな状況下で…ライバルのニューヨークタイムズが例の流出文書の第一報を報じて大反響になる!直ぐに“ウチもあの文書を手に入れろ!”と部下に発破をかけ…実際にひょんなことから同じ文書を入手できたりするんだけど、またしてもニューヨークタイムズにスクープを先越される。しかし、飛ばし過ぎたニューヨークタイムズは政府からにらまれてしまい、新聞の発行を差し押さえられてしまう。

そんな状況下で…部下の尽力もあり、新たな情報を入手。さらにライバル社は新聞を発行できないということで、チャンス到来だ。ニューヨークタイムズばかりに気を取られている政府にバレないように、ウチもスクープ連発だ!とトム・ハンクスは意気込むんだけど…現場の空気とは裏腹に、経営陣がしり込みしてしまう、“株式公開という大事な時期なんだから、そんなヤバイことに首をつっこむな”と…。一歩も引かないトム・ハンクスに対し、経営陣のさらに上に君臨するメリル・ストリープはどんな答えを出すのか?ジャーナリズムの敵は権力だけではない。

背景であったり、流出した情報の違いはあるにせよ…これみんな同じことを感じると思うんだけど、“なんてタイムリーな話”なんだと。そうなんですよ、森友問題に端を発した財務省の文書改ざん問題とソックリではないかと。怒りをあらわにして、マスコミを潰すと豪語するニクソンは…国会で“朝日新聞を名指し攻撃(口撃)”したどこかの首相そっくりではないかと。今の日本の政府、そしてマスコミでも、きっとこうしたやり取りがあったんだろうなぁ…。っていうか、朝日新聞にのっかってるだけじゃなくて、他のマスコミも気概を見せろよとも思うんだけどさ。

“真実を国民に報せる義務”…マスコミ関係者は本作を見て、肝に銘じてほしいですね。決して、政治の力に負けないでほしい。いや、その前に…“お正月休みに、昭恵夫人を伴って映画を鑑賞した安倍首相”…本作も“暇を見つけて”ぜひお二人で鑑賞してきたらいかがでしょうか?首相や夫人には、ぜひTwitterやfacebookで感想をつぶやいてほしいもんですなぁ…。もし、籠池夫妻が“シャバ”にいたら…“本日「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」の映画を観てきました ”なんてメールが夫人宛に届いたかもしれんぞ。


監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:メリル・ストリープ トム・ハンクス サラ・ポールソン ボブ・オデンカーク トレイシー・レッツ


【関連書籍はこちら】
ペンタゴン・ペーパーズ 「キャサリン・グラハム わが人生」より







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