ＧＯＮＩＮ サーガ（２０１５年）
ＷＯＷＯＷの「ＧＯＮＩＮ」シリーズ一挙放送でエアチェックした「ＧＯＮＩＮ サーガ」を鑑賞…19年ぶりに製作された新作。ＷＯＷＯＷでのオンエアは、まずこの新作を放送した後に、1、2作目の放送という順番だったのだが…やっぱり製作順、発表順に見たいなと思って、一通り録画し終えてから鑑賞することに。1、2作目は過去に鑑賞経験があったのですが、本作は劇場でも見れなく、その後に発売されたＤＶＤ、ブルーレイでも見る機会がなかったので、今回が初めて。1作目同様、ソフト用のディレクターズカット版が存在するようだが、劇場公開版での放送でした。
三屋と氷頭が五誠会系大越組を襲撃した事件から19年…大越組若頭・久松茂の遺児、勇人はカタギとしてまっとうな生活を送っていたが、母親は亡き夫が組から冷遇されたことをずっと嘆き続けている。一方、大越組組長・大越康正の遺児、大輔は五誠会の三代目・式根誠司のボディーガードを務めながら、いつかは大越組を再建したいと考えていた。そんな勇人と大輔は幼少期から仲が良く、行動を共にしていた親友同士。そんな2人の前に…19年前の事件の真相を探るルポライターが現れ、それが原因で勇人の母親は五誠会に命を奪われてしまう。
いきなり新作を見ず、やっぱり順番通り、旧作をおさらいしてからの鑑賞で良かった。なんと、1作目の正統な続編として物語が展開！1作目に登場したキャラクターたち（主にヤクザ連中）の息子が、1作目で描かれた内容の因縁で、新たな事件を起こすというストーリー展開になっています。一応、作中でも過去映像が流用され、キャラクターの関係性なんかは理解できるようになっていますが…内容を完全に把握するには、1作目の鑑賞が必須かと。そんなわけで、前半は説明的な描写も多く、1作目、2作目に比べると全体的な疾走感が損なわれている印象。
公開時…引退・休業状態だった根津甚八がこれ一作限りの復帰を果たすということで話題になっていたが、まさか1作目で死んだと思っていた氷頭要役での再登場になり、しかも回想シーンの類でもなく…こん睡状態で生き続けていたなんて設定になっているとは思いもよらず、本当にびっくり。それに輪をかけるように…全盛期の貫録が失せてしまった容姿に衝撃である。まぁ、19年も昏睡状態にあった病み上がりという役作りがあったのかもしれないけど…最初は痛々しくて正視できなかった。ただし、主人公たちに訴えかけ、縋り付く時の目力は迫力あり。
なんとか健在ぶりをアピールした根津甚八の気迫や…今までのエネルギッシュなＧＯＮＩＮキャラに比べ、東出昌大や土屋アンナの棒読み演技に物足りなさも感じる。桐谷健太はもともとハイテンションな役柄を得意とするし、柄本佑も父親譲りの独特な雰囲気を醸し出しているので、この2人はこの世界観にハマってなくもなかったけどさ。過去2作品でも、重要シーンでいい死に様を見せてくれた飯島大介さんが、今回も先陣を切ってくれるあたりは、作品を追いかけてる人は思わずニヤリでしょうね。ハリウッド映画でいうダニー・トレホのような存在だ。
クライマックスのダンパシーンは、いったい何の冗談だって思ったけど、もっとシュールな展開になるかなと思いきや、なんとかアクションに戻ってきた。“サーガ”と銘打っただけあり、最後にも意外な真相が明らかにされたし。でもね、どうせだったらあのクライマックスで、もっとでかい花火を打ち上げても良かったのではないかと思うんだよね。今回はヒットマンの役だった竹中直人のあの行動が成功すれば…それこそ“物語、サーガの始まりの場所”が崩れ去り、みんな呪縛から解放されると。未見のディレクターズカット版はどんな結末なのか、興味はある。
監督：石井隆
出演：東出昌大 桐谷健太 土屋アンナ 柄本佑 竹中直人 安藤政信 テリー伊藤 井上晴美 根津甚八
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DVD GONINサーガ
