クリード チャンプを継ぐ男(2015年) | 勝手に映画紹介!?

クリード チャンプを継ぐ男(2015年)

クリード チャンプを継ぐ男

【鑑賞日:2015年12月25日】

「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」公開初日の喧騒から早一週間…今年最後のシネプレックスの会員デー、つまりオイラの劇場鑑賞も、最後になると思われる。見たいものは、だいたい見たから…あとは年が明けてからの、正月第二弾まで気になる作品はなさそう(他の劇場まで遠征すれば、見たい作品もあるけど)。そんなわけで…正確にはスピンオフという位置づけだが、まさかこの作品まで続編ラッシュの本年に復帰するとは思わなかったロッキー最新作「クリード チャンプを継ぐ男」がラスト劇場鑑賞。1年の締めには相応しい映画であったけど…。

今は亡きボクシングのヘビー級チャンピオン、アポロ・クリードと愛人の間に生まれた息子、アドニス・ジョンソン。母親もアドニスが生まれてすぐに他界し、その後は施設を転々としていたのだが…年齢が大きくなるにつれ、問題ばかり起こしていた。そんな時に、アポロの妻メアリー・アン・クリードが現れ、アドニスを引き取ることに。メアリー・アンに育てられたアドニスは立派な青年になっていたのだが、ボクサーになる夢を諦めらきれず、仕事を辞め家を飛び出してしまう。そんなアドニスが頼ったのは父のかつてのライバル、ロッキー・バルボアだった。

劇場は冬休みモードなので、初回上映が8時45分って早すぎだろ!っていうか、お子様向けの「妖怪ウォッチ」は7時45分、年寄り向けの「杉原千畝 スギハラチウネ」は8時と、さらに早い上映時刻の作品も多数ありまして…8時45分開始なら、まだマシだったりしたんだけどね。ただ、やっぱり冬休みの映画館は鬼門だった。「ロッキー」のリアルタイム世代はもちろんのこと…親子連れや友達同士など、この手の洋画作品には珍しく、今時の小中学生の姿もチラホラ。確かに、オイラも中学生の時に友達と一緒に「ロッキー4/炎の友情」を見に行ったよと懐かしむ。

そんなわけで、「ロッキー」シリーズが老若男女から好かれるというのは、映画ファンとして喜ばしい事なのだが、いかんせん、オイラの後ろに座った中坊軍団(ガキのくせに耳ピアスしたチャライ奴がリーダー格)がうるさい。場内が明るいうちから嫌な予感がしてたんだけど…予告編上映が始まっても喋り声がやまず、ギャーギャーと騒いでる。案の定、本編が始まってもこそこそと喋り続け、主人公グリードの幼少期を描く冒頭のシリアスシーンでも、クスクスと笑い声が絶えない。一瞬、スピーカーから聴こえるサラウンドと錯覚してしまったほどだ。

最初の数分は我慢していた…いつかは喋るのをやめるだろうと。または、オイラよりも中坊軍団の近くに座っている別の大人が、誰か窘めてくれるんじゃないかと…期待して。あかん、全然ダメだ。これはオイラが注意しなきゃいけない。ちょうど…冒頭の過去シーンが終了し、真っ暗な画面にタイトルがバーンと表示され、セリフや音楽が一瞬途切れる場面があったので…“ここだ”って思って、後ろを振り返り…“お前ら静かにしろ!喋るんじゃない!”と一喝。ピヤス野郎が睨み返してきたが、映画に集中したいので、その後は無視を決め込むことに。

おかげで…話し声は聴こえなくなったが、わざとなのか、たまたまなのか知らんけど、本編中に4、5回、座席をドカドカと蹴とばす音や振動が伝わってきた。ほんと、ろくなガキがいやしねぇ…。上映が終わったら、もうひと睨みくらいしてやるかと思ったが…エンドロールが終わって、明るくなって振り返ると、もう中坊軍団は全員、座席を立った後だった。まぁ、あんなガキドもが、映画の余韻に浸るような高尚さを持ち合わせてるわけがないか…。前振りが長くなってごめん、とにかく客のマナーが悪く、気分は最悪だったが…映画の方は予想以上に良かったよ。

それこそ、主人公を黒人に変えた「ロッキー」のリメイクみたいな印象も受ける本作。まるで自分の息子のように、かつてのライバルの息子に接し、温かく見守り…そして自分も生きる勇気をもらうような関係を築いていく姿が感動的。児童虐待などが注目され、家族のぬくもりが希薄になっている現代だからこそ、余計、この疑似家族のドラマが魅力的に映る。プライベートでは実息セイジ・スタローン(「ロッキー5」でロッキーの息子役だった)を亡くしているスタローンだからこそ、物語の中だけではなく、若い役者に後を託そうとしている姿勢も伝わってくるようだ。

アポロの息子、クリードのボクシングシーンも迫力満点、特に初めてロッキーをセコンドにつけた中盤のファイトなんぞ、ワンカットの長回しを多用していて、試合中の緊迫感が見事に表現されている。クライマックスの戦いは、中盤とは違いカットも目まぐるしく割ったりして、編集や音楽を巧みに使ったエンターテイメント性を感じ…「ロッキー」シリーズならでわの“殴り合い”にも心と目頭が熱くなった。このラストファイトの入場シーンに関しては、やはりワンカット、長回しが使われていて…試合前の熱気や高揚感が半端なく伝わってきて、良かったですよ。

スピンオフの新生シリーズだといいながらも、「ロッキー5」あたりで失敗気味に終わった、「ロッキー」の終焉を、今度こそ描き切るということにも成功しているように感じた(「ロッキー5」の後に「ロッキー・ザ・ファイナル」なんて作品もあるんだけど)。ロッキーというキャラクターだって、スタローンという役者だって、不老不死の不死身なわけではなく、老いや病魔が襲ってくるんだけれども、それでも人間、本当に燃え尽きるまで一生懸命に生きなきゃいけないんだよっていう、スタローンからの熱いメッセージは確実に受け取れたかな?って思いますね。

「クリード」って最初に聞いた(字面を見た)時に、アポロの名前(名字)だなんてすっかり忘れていて、スティーヴン・ソマーズのホラーアクションの方を思い出したりしちゃったんだけど…って、そりゃ~「ザ・グリード」だろ!そうしたら、ロッキーの新作なんだもんなぁ、ビックリしたよ。前作で「ロッキー・ザ・ファイナル」って言いきっちゃったから、まさか新作が作られるとは思わなかった。ただ、ファイナルだってタイトルに付けたのはあくまで日本の配給会社で…前作の原題、本当は“Rocky Balboa”だったんだよ。とにかく、今後は「クリード」の続編を期待したい。


監督:ライアン・クーグラー
出演:マイケル・B・ジョーダン シルヴェスター・スタローン テッサ・トンプソン フィリシア・ラシャド


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