SP THE MOTION PICTURE 革命篇(2011年) | 勝手に映画紹介!?

SP THE MOTION PICTURE 革命篇(2011年)


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GEOで借りてきた2011年8月26日発売、レンタル開始の新作DVD「SP 革命篇 」を鑑賞…伏線投げっぱなしで終わったTVドラマの完結編として劇場映画がつくられたわけですけど、その映画も二部作になってしまい、ようやく本作でストーリーの完結となる。TVシリーズはリアルタイムで鑑賞してて、フジテレビドラマにしちゃ、けっこう面白かった。で、映画の前編に当たる“野望篇”の方もちゃんと劇場で見ているんだけど、肝心なこの完結編である“革命篇”は、ちょうど震災直後の公開だったので…劇場に見に行く機会を逸してしまったのね。そういう人もけっこう多いんじゃない?ってことで、レンタルで借りてきましたよ…。

官房長官を狙ったテロの発生から二カ月…負傷した警視庁警備部警護課第四係のメンバーも職務に復帰し、日常に戻っていた。そんな中、上司である尾形総一郎の不穏な動きを気にしながらも、井上薫もあたえられた要人警護の任務に就いている。その日は、四係のメンバーも別行動で、各自、別々の国会議員のガードについていたのだが、内閣不信任案の採決が行われる国会議事堂で、合流を果たすことに。一方、尾形は、長年温めてきたある計画を実行に移すための行動を開始。尾形の仲間であるテロリストたちが、議事堂占拠のための準備を水面下で実行していたのだが…。

内閣不信任案の採決を行うために、政治家たちが国会議事堂に集まってくるところは、いかにも劇場映画という雰囲気のダイナミックさ、それらしく見える。その、議事堂内で“ダイ・ハード”もどきのテロアクションをやってのけると…おおって思ったんだけど、スリリングだったのは、テロリストたちが占拠を開始するあたりまでであり、それ以降は説教じみた展開が長く続き…けっこう間延びしてしまう。アクション映画というエンターテイメントの中で、混迷する日本の政治への批判や、官僚批判をやってやろうという意気込みは正直に受け止めたいんだけれども、見せ方に邦画の限界を感じてしまうよね。

あいつら無能だから何もできないぜと、嫌みな若手エリート官僚たちが、警察組織や政治家を馬鹿にして高みの見物をしてるんですよ。そういうことも、セリフで説明するんじゃなくてさ、やっぱり警察の無能さを描くんだったら、無理やりSATが突入してて、自爆するとか、人質が犠牲になっちゃうみたいなシーンを入れなきゃつまらない。そうすると、こちらの思惑をあらかじめ見抜いていたように、劇中のエリート官僚たちがまた言うんですよ、「これはハリウッド映画じゃない」って。だから、派手な爆破も演出もないんだよって…そういう事をセリフで書いちゃう金城一紀の脚本がちょっといやらしいんだよね。客を見透かして、優越感に浸ってるんだろうなぁって感じ。

テロの実行犯リーダーである尾形、そして尾形のバックについている香川照之扮する政治家…この二人がグルになって悪だくみ(復讐)を考えている。さらに、その政治家をも操ってやろうとしているのが、若手エリート官僚たちの存在…これらの関係、構図は1作目の映画からわかっている事柄である。どうして尾形が、こんな悪事に加担してしまったのかというあたりも、今まで思わせぶりに色々と描いており、その補足が本作でも描かれるんだけど、驚きに直結する新事実はあまりなかった。それどころか、劇中人物たちが、何度も“どんでん返しが起きる”という事実をセリフでばらしてしまっているので、後半の面白さを半減させている。

一部の人間には、こういう事態を招いた制裁も加えられていたが、それでは、今回のテロ事件に加担していたあの政治家(香川照之)はいったいどうなったのか…捕まったのか、しらばっくれて逃げたのか、今回もけっこう投げっぱなしである。また、命がけで尾形が問うた“政治家って、これだけ問題があるんだぜ”って事柄に対して…一般市民やマスコミがどういう反応を示したのかという事も、結局、語られず終いであり…問題提起だけで終わってしまったなと思わざるを得なかった。ハリウッドのアクション映画とは違うんだと、あれだけ大見得をきったのであれば、そういう方向で、ちゃんと納得できる結末を用意してほしかった。

やっぱ、毎週いいところで終わって、続きが気になるよ~って見ていたTVシリーズの方が面白かったよねというのが正直な気持ち。映画二部作で、きれいさっぱり落し前をつけるって結果には全然なっていなかった。ただまぁ、主人公チームと、新人チーム(テロリストの仲間)とのSP同士の対決シーンなんかはわりと良かったかな?真木よう子って、やっぱちゃんと動けるよね、アクションが様になってる。今、テレビで放送している「ジウ 警視庁特殊犯捜査係」のSIT(後にSAT)役、黒木メイサのリアリティのないアクションに比べると、本当に強そうにみえるもんね。逆に後半の議事堂内での銃撃シーンを無駄なスローモーションにしたのは、かなり興ざめだったけど。


監督:波多野貴文
出演:岡田准一 堤真一 真木よう子 香川照之 松尾諭 神尾佑 野間口徹 堀部圭亮 螢雪次朗 山本圭


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DVD SP 革命篇
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