重力ピエロ(2009年) | 勝手に映画紹介!?

重力ピエロ(2009年)

勝手に映画紹介!?-重力ピエロ


【鑑賞日:2009年5月28日】

昨晩は雨と風の中、えっちらおっちらと歩いてシネコンまで出かけて、レイトショーで「重力ピエロ」を見てきました…今週は本日金曜日が公開初日の映画が何本かあって、今日はそっちを見に行きたいんでね、雨にも負けず、風にも負けず、映画へ行ってきたわけですよ。客は自分も含めて6人くらいと相変わらず、ガラガラ…だった。さて、最近やたらと映画化づいてる伊坂幸太郎作品…過去の作品では「チルドレン」と「アヒルと鴨のコインロッカー」は映画も面白かったけど、「陽気なギャングが地球を回す」と「死神の精度」は完璧に原作の方が良かったと、けっこう落差が激しいんだよねぇ、伊坂作品の映画化って。

大学院に通う泉水は、母親の命日に、家族で食卓を囲むため実家へ…2歳年下の弟・春は、現在は落書き消しのアルバイトをしているという。養蜂を営む父親を交えて楽しい団らんの時間を過ごすのだが…数日後、体調を崩した父親が実はガンだという宣告を受け、入院をすることに。一方、その頃、仙台市内では連続放火事件が続発していたのだが、その現場が、春が落書き消しをした現場と重なることに気づく。春は、同一人物の物と思われるグラフィティアートの落書きが、誘拐犯のメッセージではないかと考え、兄を誘い犯人探しを始めるのだが…。

原作本は前にソフトカバーのヤツをブックオフの100円コーナーで買ったんだけど、積読のまま、とうとう読む暇がなく、先に映画を見てしまった。だからストーリーもあんまり詳しく知らなかったし、原作との比較もできないんだけど…まぁ、ミステリーとしてはかなり早い段階で、容易に真相にたどりつけるね。犯人とか、ああ、こいつだろうなぁっていう第一印象通りだったし。わかってくださいといわんばかりの…丁寧にわかりやすい伏線張ってるから…犯人探しの部分では、劇中人物たちほど、見ている観客に驚きは少ないだろうねぇ。

DNAだゲノムだと遺伝子研究をしている加瀬亮演じるおにーちゃん…このあたりの知識が後々、放火事件の謎を解く暗号解読に関わったりするんだけど、そんな専門的な事には疎いので、さすがにそれらを結びつけるところまでは思い浮かばなかったけど…なぜ、それなの?って部分でこちらは真相に迫れるわけですね。お父ちゃん役の小日向文世の不自然なヅラ演技による過去回想あたりで既に、8割がたは真相を確信する感じだった。劇中人物より優位にたてることで、逆に作品に入り込めるので、決してそれがつまらないわけではなかったけど。

だから、これ犯人探しとか、どんでん返しを楽しむ作品じゃないね…やっぱり家族の血やつながりに関するドラマを楽しむ内容。うん、これだったら、原作を読んでても、映画を楽しめただろうねぇって感じ。自分も父親をガンで亡くしてるので…宣告を受けたお父ちゃんの、なんか息子たちに対して強がってる感じの言動とかが、自分の経験してきたことと、ダブって見てしまったよ。

仲の良い兄弟、家族だなっていう印象を最初は抱かせておいて…不幸のつるべ落とし。新しい真実が出てくるたびに、けっこうつらくなるんだけど…そんな重さを、家族の力、兄弟の力で乗り切っていこうとする姿に、ちょっぴりホロリとさせられるんだよ。幼少期の弟が、聞いちゃいけないこと、おにーちゃんに質問しちゃって…おにーちゃん役の子役が、必至に誤魔化そうとするシーンとかさ、あの白々しい感じが、妙に切なくってねぇ。

嘘をつくときのクセのエピソードなんかもさ、使い方が上手なんだけど…あれは、弟がおにーちゃんの嘘を見抜くときにも、同じようなシュチエーションを入れたらよかったのになぁって、自分は思ったんだけどなぁ…。あと、最後のオチは綺麗すぎるというか、もうちょっと破滅的な不幸な感じの結末が良かったなぁ。落し前をきっちりつけてから、それを乗り越え…家族、兄弟の大切さを再度、実感する話にしてほしかったね。お父ちゃんの笑顔は良かったけど、おにーちゃんの言葉には納得がいかない。全体の雰囲気は「アヒルと鴨のコインロッカー」に近く、「陽気なギャングが地球を回す」と「死神の精度」よりも全然まともな、映画らしい作品で良かったですよ。


監督:森淳一
出演:加瀬亮 岡田将生 小日向文世 吉高由里子 岡田義徳 渡部篤郎 鈴木京香



【原作小説はこちら】
重力ピエロ (新潮文庫)
勝手に映画紹介!?-重力ピエロ (新潮文庫)







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