女が眠る時 感想 ビートたけし、西島秀俊、ウェイン・ワン監督が日本で撮った幻想的なミステリー | 映画時光 eigajikou

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『女が眠る時』

2016年製作 日本映画
スペイン大使館での試写会で鑑賞







↓『女が眠る時』予告動画
中森明菜のイメージソング「FIXER」は、
映画では使われていません。


↓『女が眠る時』製作発表会


↓『女が眠る時』メイキングと製作発表会


監督:ウェイン・ワン
編集:ディアドラ・スレヴァン
難波智佳子
製作:木藤幸江
原作:ハビエル・マリアス
脚本:マイケル・レイ
シンホ・リー
砂田麻美
撮影:鍋島淳裕
美術:安宅紀史
音楽:ヤマモトユウキ

出演:
ビートたけし
西島秀俊
忽那汐里
小山田サユリ
新井浩文
渡辺真起子
リリー・フランキー

あらすじ
3作目が書けない作家の清水健二(西島秀俊)は、
執筆を諦め就職することにして就職先が決まっている。
妻で編集者の綾(小山田サユリ)と
仕事を始める前に綾の友人(渡辺真起子)が働いている
リゾートホテルに1週間滞在する。
プールで若い女美樹(忽那汐里)と佐原(北野武)
の年の差カップルに出会う。
綾は日中は仕事で72歳のおじいさんだという
担当作家の所へ出掛けて行く。
(これが後で実はもっと若いイケてる感じの作家と知る)
倦怠期で妻には興味をなくしている健二だが、
佐原と美樹の関係が気になり、
2人を観察しているうち
ストーカーチックに
2人の外出先まで後を追いかけたり、
(そこで出会う居酒屋のオヤジがリリー・フランキー)
部屋に侵入したりで行動がエスカレートしていく。

主演がビートたけしと宣伝されているけど、
主人公は西島くんです。
たけしは忽那汐里の眠る姿に執着して、
ビデオを撮り続けているヘンなおじさんです。
その2人の関係への興味に捕らわれて行く
西島くんもヘンです。(^o^;)

この映画は試写会で観て、
感想記事をすぐ書くつもりが日が経ってしまい
気付いたら今日から公開なので焦って書きます(苦笑)

『女が眠る時』スペイン大使館での試写会に行って来た。←クリック

原作がスペインの作家ハビエル・マリアスで
「スペイン文化を
もっと日本で紹介したいです。」
と、スペイン大使の挨拶もあった、
六本木にあるスペイン大使館という
ちょっと変わった場所での試写会でした。

この映画は
最近の日本映画では見かけない感じの
幻想的な作品です。
東映の配給で全国202館で上映ですが、
大丈夫かなァ...
ウェイン・ワン?誰?って人には特に、
「何が言いたいのか分からない」
と、言われてしまうのではないかしらん。(-"-;A
ウェイン・ワン監督は難解な映画を
作ってきたわけではないです。
ウェイン・ワン監督が国際的に評価されていることを
知っている人は
『ジョイ・ラック・クラブ』(1993年)
『スモーク』(1995年)(ベルリン国際映画祭銀熊賞)
『ブルー・イン・ザ・フェイス』(1995年)
などは観てると思うし、
私も思い出深い好きな作品です。
日本で公開されたのは『千年の祈り』以来。
『千年の祈り』も父と娘の和解が重層的に描かれた
素敵な作品でした。
『千年の祈り』(2007年)は
スペインで開催されている
サン・セバスティアン国際映画祭で最優秀映画賞を受賞しました。
スペインでは大ヒットしたそうです。
たけしが「ウェイン・ワン監督のような人から
オーダーがあればはせ参じるしかない」
西島くんが「偉大な2人の映画作家が
一緒に仕事をしているのを目の当たりにして
とても勉強になった」
と語っているように、
私もそうですが、
ウェイン・ワン監督作品だから観るって人も
絶対いると思うのですよね。
そういう人も
ウェイン・ワン監督のこれまでにない実験的な作品と
映るのではと思います。
この原作小説で日本で撮りたいというのは
監督の発案だそうです。
西島くんも出演を自ら売り込んだとのことです。

原作は20ページほどの短編です。
英語で書かれた脚本を
日本語に翻訳したのを
『エンディングノート』砂田麻美監督が
監督の意を汲む日本語にするために参加しています。
鍋島淳裕撮影によるルックは
陰影の濃い深みがあってミステリアスな世界観があります。

キャストについては
忽那汐里以外はベテランばかりで安定した演技です。
西島くんはちゃんと脱いでサービスしてくれるし
濡れ場もありますよ。
たけしも似合っている役だとは思うけど、
正直な所、相手役の忽那汐里に
彼の異常な愛を傾注させる存在感を
感じられなかったのです。
「橋本愛や二階堂ふみなら似合うんじゃないかな」
と一緒に観た娘に言ったら、
「ふみちゃんならいいけど
橋本愛ちゃんみたいに美人過ぎると
隙がなくて変態さんが惹かれないんじゃない?
忽那汐里さんみたいに普通ぽく見える方が
変態さんには好かれるんじゃない?」
と言いましたが。
脱ぎ要員、濡れ場要員は
私は黒沢あすかさんに雰囲気似てるんじゃないかと思った
小山田サユリさんが頑張ってます。
忽那汐里さんはホウ・シャオシェン監督『黒衣の刺客』
にも出演しているし、
(ただしあの踊りのシーンはインターナショナル版ではカット)
今回はウェイン・ワン監督作に出演。
英語力を生かして清純派イメージも脱却すれば
もっと国際的な活躍ができるのではないでしょうか。
リリーさんが相変わらずイイ味出してました。
リリーさん主演映画の『シェル・コレクター』も
今日から公開。
こちらも原作が海外小説(アメリカ)ですね。
来週中に観る予定です。


上映後に木藤幸江プロデューサー
『千年の祈り』(ウェイン・ワン監督)
『トウキョウソナタ』(黒沢清監督)
『痛いほどきみが好きなのに』(イーサン・ホーク監督)
などのプロデューサー
と、
ラテンビート映画祭のプログラミングディレクター
アルベルト・カレロ・ルゴ氏の
トークがありました。
ルゴ氏は20ページの短編が舞台を日本にして
103分の映画になっているが、
原作小説の精神は受け継がれていると言われてました。
原作者のハビエル・マリアスは
スペイン語圏では有名な作家で、
40の言語でも翻訳されているけど、
日本では「白い心臓」と「女が眠る時」しか
翻訳・出版されていないのが残念だそうです。

白い心臓/ハビエル マリアス


女が眠る時/ハビエル マリアス


スペインでは日本文学は古典の「源氏物語」、
村上春樹などの現代文学が翻訳出版されていて、
出版社に日本語のセクションがあるそうで、
スペイン文学が日本でももっと紹介されて欲しいと話されました。
ビートたけしはスペインでも知名度があるそうです。
(たけし映画は日本でよりヨーロッパで評価されていますものね)


異常な愛情もの、
フェチものっていうのは
日本文学、そして日本映画でも歴史がありますが、
この映画もその系譜に連なるかと。
でも、観方によっては、
登場人物のある人が
仕組んだミステリー物に見えるかも。
どんな解釈も正解な映画だと
木藤幸江プロデューサーも話してました。
正直な所、全国202館などという
大規模な公開をして一般ウケする作品ではないです。
幻想的で風変わりな作風で
何か明確な手応えを感じられる訳でもなく、
日本が舞台への翻案が完全に成功しているとも言えないので
誰でにでもおススメできる映画ではないです。
ちょっと変わった映画を観てみたい、
異常な愛の世界の雰囲気に浸って
いろいろと考えてみたい、
そんな時に観るのには良いかと思いますョ。













原作では2人が
愛や人生について
熱く語り合う場面だそうですが、
日本ではあまりないシチュエーションなので、
会話の内容を変えたそうです。





新井浩文は普通な刑事役






ロケはラストの新宿の場面以外は
伊豆今井浜東急ホテルに1ヶ月泊まり込みで
行われたそうです。
クチコミ評価も高いので泊まってみたくなったホテルです。






西島秀俊主演映画で私が好きなのは
『帰郷』(萩生田宏治監督2004年)
帰郷 特別篇 [DVD]/
西島秀俊,片岡礼子,吉行和子


『CUT』(アミール・ナデリ監督2011年)
CUT [DVD]/
西島秀俊,常盤貴子,菅田俊


西島くんは
北野武監督作品
『Dolls』(2002年)に出演してましたね。
浜松のフラワーパークでロケがありました。
これも幻想的で変わった作品でした。
Dolls [ドールズ] [DVD]/
菅野美穂,西島秀俊,三橋達也


6月18日公開の西島秀俊主演
黒沢清監督『クリーピー 偽りの隣人』楽しみです。





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