閉所恐怖症の方はご注意を。
 
 
『トンネル 闇に鎖された男』
自動車ディーラーのジョンス(ハ・ジョンウ)は、大きな契約を決めて上機嫌。
妻(ペ・ドゥナ)と、誕生日である娘の待つ自宅に、車で帰路を急いでいた。
その時、山中でトンネル崩落事故に巻き込まれて、車は瓦礫の下敷きに。
運よく生き延びたジョンスだが、手元には2本のペットボトルと誕生日ケーキ、そしてスマホが一台あるのみ。
一方、トンネル外では、キム(オ・ダルス)率いるレスキュー隊が到着するが、崩落は予想以上に大規模で‥‥。
 
---------------
 
韓国映画です。
監督はキム・ソンフン。
 
トンネルの崩落事故なんて、絶対に巻き込まれたくないですよね。
そんな中、運よく隙間になった場所で一命をとりとめ、大きなケガも負わなかったジョンス。
 
そんなジョンスが、いかに生き延び
救助隊が、いかに彼を素早く見つけ出すかのサバイバル系映画なのかと思いきや。
 
もちろんそういう要素が軸なんですけど
その事故を通して、政府の対応やマスコミの姿勢、無責任な国民の声などを、痛烈に皮肉ってまして。
それはもう痛烈に。
女性大臣などは、恐らく確実に前大統領がモデルですし。
こういう突き抜けた部分は、韓国映画の魅力の一つですね。
 
恐ろしいことに、時間とともに、世間の扱いが変わるんですよ。ジョンスの。
最初は、憐れまれる弱者のように
強運の持ち主の英雄のように
しかしいつしか、税金を食い、大人数に迷惑をかけ、世間の不利益になる邪魔者のように‥‥。

埋まっているのは、ずっと同じ一人の人間なのに。
運悪く埋まってしまった被害者なのに。
 
サバイバルと皮肉だけかと思いきや、途中で仕掛けがいくつか用意されていて。
ジョンスの安否にドキドキしながら
無責任な「他人」たちにムカムカしながら
楽しみながらも考えさせられる映画でした。
 
日本のトンネルは大丈夫やろう、なんて楽観的に観てはいたものの
ある種の対応では、日本も遠からずなところがありますからね。
もし自分や家族が‥‥なんて想像したら、背筋が冷たくなりましたよ。
 
ちょうどこれを観た直後、スクーターで新宿御苑のトンネルを通ったんですけど
なんだか異様に怖かったです。笑
 
 
☆個人的見どころ
 ・政府・マスコミ・世論
 ・犬
 ・ジョンスの安否