『疑惑のチャンピオン』
20代でガンを患い、復帰した、自転車ロードレーサーのランス・アームストロング(ベン・フォスター)。
1999年から2005年まで、「ツール・ド・フランス」7連覇を達成する。
ランスは、ガン患者を支援する活動にも精力的に参加し、世界中から尊敬される存在に。
一方でランスは、勝つために手段を選ばない男でもあった。
そんなランスのドーピング疑惑を耳にしたある新聞記者が、しつこく彼のまわりをリサーチしはじめて‥‥。
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監督は、「あなたを抱きしめる日まで」の、スティーヴン・フリアーズ。
実在の自転車レーサーの栄光と転落を描いた作品です。
まるでドキュメンタリーを観ているような、臨場感と緊迫感でしたね。
もちろん、薬物を摂取していたランスはダメなんですけど。
それは彼一人だけの責任ではなく。
彼に加担したチームも
彼がいるとスポンサー収入と注目度が上がると黙認した協会も。
ランスが狡猾だったのは、そうやって協会や世論を味方につけたところ。
すべて計算済みでやっている感じは、その腹黒さにムカつくを超えて、関心さえさせられてしまいました。
とは言え、本当にランスが悪かったとは、一概に言えない部分もあり。
彼の活躍のおかげで、自転車ロードレースに注目があつまった事実や
多大な寄付により、救われたガン患者もたくさんいたでしょうし。
もちろん、同じレーサーからしたら、たまったもんじゃないですけどね。
不正しているやつが優勝し、もてはやされ
真面目にやってる自分が雑魚扱いされるようなもんですから。
ランス・アームストロングを演じたベン・フォスターの鬼気迫る演技が凄まじく。
ランスの表と裏の顔を、見事に演じ分けておりました。
良いこともしているのだから、多少の悪には目をつぶろうとするのか
新聞記者のように、不正は不正だと、厳しく追及するのか。
正義をどこに置くのかで、彼のとらえ方が変わるんじゃないでしょうか。
ランス・アームストロングの良い面と悪い面と。功績と悪業と。
あますところなく描かれていて、見応えたっぷりな映画でした。
☆個人的見どころ
・熱演ベン・フォスター
・キーマンはしゃくれ気味のチームメイト
・ちょっと出てますダスティン・ホフマン