アカデミー作品賞・脚本賞!


『スポットライト 世紀のスクープ』
2002年。ボストンの新聞「The Boston Globe」の、名物特集コーナー「スポットライト」の編集チーム。
彼らは、今までうやむやにされてきた、カトリック教会の神父による、児童の性的虐待疑惑の調査を開始。
しかし、カトリック教徒の多いボストンで、彼らの取材は難航。
それでも根気よく取材を続けていると、教会全体による、おそるべき隠蔽の体質が明らかになり‥‥。

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監督・脚本はトム・マッカーシー。
スポットライトの編集部は
「ハルク」でお馴染みマーク・ラファロ。
かつて「バットマン」を演じたマイケル・キートン。
そして僕の大好きな映画「アバウト・タイム」のレイチェル・マクアダムス。
素敵な組み合わせだ。

いや~面白かったですよ。
それこそ、司法では裁けない悪に、泣き寝入りを強いられる人たちのため
新聞の力を信じ、世にはびこる悪しき風習を、自分たちで覆そうという記者たちの気概を感じました。
熱かったですね。

悪循環って言うんでしょうか。
信仰の強い地域では、絶対的な存在の教会の、神に近い存在の神父が冒した、幼い子供たちへの性的虐待。

か弱き存在である子供たちやその親が、声を大にして告発できるはずもなく。
身内の恥であるその罪を、教会側が大々的に裁くはずもなく。
被害者側が我慢しなければならないような、悪いシステムができあがっていて。


自分達が一番大事にするべき神様を隠れ蓑にして
子供たちに一生残る心の傷を負わせているのに
平気な顔で次の獲物を探しとったわけですな。
信じられない事件だ。

僕も含め、日本人の大部分には理解しにくいんですよね。
地域に根強いている宗教の絶対性や、そこに住む人たちの信仰の強さ・深さは。
そんな僕なんかでも、事件の全貌が分かるように作られておりました。


私生活を投げ打って挑む記者たちを、演じる役者さんたちもカッコ良く。

特にマーク・ラファロが渋い!

口元の歪みで感情を出す感じが、すごく好きでした。

ただ、記者たちの根気と心意気はすごく伝わって来たんですけど
欲を言えば、その地域で教会に逆らうということが、どれだけ大それたことなのかを、もっと示して欲しかったですね。
一つ間違えれば、記者たちもその街に住めなくなったり、下手すれば身の危険もあったんじゃないかと思ったので。

その勇気って、凄かったんじゃないかと。

とは言え、少しの突破口をこじ開け、核心に迫る取材班と協会側の

せめぎ合いと緊迫感は熱く感じることができました。

めちゃくちゃ見応えありましたよ。


悪しき世界を引っくり返した一つの記事。
本来、スクープってこういうことでしょ。素敵。


☆個人的見どころ
 ・記者たちの気概
 ・勇気ある被害者たち
 ・エンドロール(前)にびっくり