がっそう。と読みます。


『合葬』
将軍・慶喜の警護と江戸の治安維持のため、幕末に組織された彰義隊。
市民からの信頼も厚かったが、幕府が解体されたことにより、反政府的な組織になってしまう。
慶喜に忠誠を誓った極(柳楽優弥)は、婚約者・砂世(門脇麦)と別れてまで彰義隊に身を捧げる。
砂世の兄で、極の友人である悌二郎(岡山天音)と、2人の幼馴染みの柾之助(瀬戸康史)らも、成り行きで彰義隊に入隊。
彰義隊の若い侍たちは政府との戦いを望むが、隊の中でも兄貴的な存在の森(オダギリジョー)は、勝ち目のない戦を止める事に頭を悩ませていた‥‥。

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原作は、杉浦日向子さんの同名コミックです。
監督は小林達夫さん。

知らなかったです。彰義隊。
幕末~明治に実在した組織なんですね。

勉強不足ですみません。


明治維新もそうですし、太平洋戦争もそうですし。

時代が大きく変わるとき、それに飲み込まれるように、たくさんの若い命が散ってしまうわけで。


若い人って、自分の意見に酔ってるように見えることが少なからずあって。

そして、競い合うように熱くなり。

特にこの時代などは危ういのです。

すごく簡単に命を捧げようとするから。

そして、本当に死んでしまったりするのです。


切腹がそうであるように、死が美徳とされる文化があった国なので仕方ないかもですが。

彰義隊の若者たちも、自分たちの信じる思想のため、命を散らす覚悟をするのです。


でも、導かれているようなところもあって。

そのあたりがリアルでしたよね。

将軍の警護と言う、いわば誇り高い役職から

明治維新で一転、反政府のチンピラ軍団みたいな扱いになってしまい。

大人たちに徐々に追い詰められ、こちらから戦を仕掛けねばならない状況に追いやられてしまうという。


柳楽優弥さん、最近すごく好きな俳優さんで。

「クローズ EXPLODE」での、見るからに危ない不良の役とか。

「許されざる者」での、野生児そのものな役とか。

目がギラギラしてるんですよね。異様に。(良い意味で)


明治維新なんて、自国の中の判断であんなに大きく国のシステムが変わることは、世界的に見ても稀なわけですが。

国を想い、憂う若者たちが、それぞれの意見を持つのは当然のことで。

忠誠心が強く、慶喜が江戸城を明け渡した姿を観て、もう一度徳川の国にしたいと声を上げる若者を、柳楽さんが熱演されておりました。


あと、なんとか若者たちの熱を抑えようとする森役の、オダギリジョーさん。

ひょうひょうとしていながらも、裏で策を巡らすキレモノっぷりがカッコ良かったなあ。


時代の流れで、国が変わるのは仕方がないかもしれないですが。

失われなくていい命もたくさんあったはずで。

生き急ぐ彼らを観て、胸が苦しくなってしまいました。

全体的に重めですが、静かで見応えのある映画でした。

もう若者が命を散らすような争いが起こりませんように。



☆個人的見どころ
 ・生き急ぐ若者たち
 ・小さな恋の話

 ・そして極たちは‥‥


(9月26日公開予定)