『福福荘の福ちゃん』

ボロアパート・福福荘に暮らす、中年塗装工の福ちゃんこと福田辰夫(大島美幸)。

仕事態度は真面目で面倒見も良いが、女性が苦手で、友人のシマッチ(荒川良々)が紹介してくれた女性ともうまくいかず。

そんなある日、福ちゃんの初恋相手であり、女性不信になった原因でもある千穂(水川あさみ)が突如現れる。

そんな千穂は、カメラマンを目指していたが、あることが原因でカメラが撮れなくなっていた。

最初は千穂に不信感を募らせる福ちゃんだったが、一緒に過ごすうち、徐々に千穂に心を開いて行き‥‥。


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「全然大丈夫」などの、藤田容介さんが監督・脚本です。

森三中の大島さんが、おっさん役に挑んだことでも話題ですね。


でも、大島さんは大島さんじゃないですか。

森三中の、バラエティで人気の、出川さん上島さんも認めるリアクション芸人の大島さん。

その辺がどう見えるか心配ではあったんですけど。

えらいもんで、物語が進むうち、どんどん福ちゃんというおっさんに見えてきました。


それどころか、なぜ大島さんを選んで、福ちゃんを撮ったのかも。

この役ができるのは、男の役者さんでもなかなかいませんよ。

真面目で、地味で、人情に溢れ、女が苦手な福ちゃん。

仏頂面で、蒸かしたまんじゅうみたいな顔やけど、笑うとまわりがパーッと明るくなる福ちゃん。

大島さんのハマリ役というか、大島さんのための福ちゃんでした。


それをサポートする荒川良々さんもさすがで。

福ちゃんの親友。シマッチ役。

そのシマッチとのやりとりが、福ちゃんをさらにおっさんとして際立たせておりました。


そんな福ちゃんにも、コンプレックスというかトラウマが。

あることがあって、女にはめっぽう弱く。

その福ちゃんの、20年ぶりの恋愛話が中心に進んで行くのです。


美人っていうのは残酷なんですよね。

「いえいえ、私なんて」とか言ってる人は、なおさら。

他の人と同じように振る舞っているつもりでも、まわりの男は、「お?これは」と惑わされるわけで。

わざと惑わす人もいれば、無意識でやっちゃう人もいるでしょうけど。

どちらにせよ、福ちゃんのような、女性に免疫がない人となると、そりゃあもうイチコロ。


物語が進むうち、観てる人みんなが福ちゃんの味方になるでしょう。きっと。

福ちゃんに幸せになって欲しい

福ちゃんが傷ついているところは見たくない

きっと、そう思うことでしょう。


さて、福ちゃんの恋の行方はどうなるのでしょうか。

笑って泣けての人情コメディでした。

女優・大島美幸さんに拍手。



☆個人的見どころ

 ・笑う福ちゃん

 ・福福荘の住人たち

 ・恋の行方