ドイツ映画ですよ。



『おじいちゃんの里帰り』

1960年代に出稼ぎでトルコからドイツにやって来て、そのまま家族で移住してきたフセイン。

今はもう70才になり、息子・娘や孫たちに囲まれ、平穏に暮らしていた。

そんなある日、フセインは突然、故郷のトルコに家を買ったと言い出す。

妻を始め、驚く家族を尻目に、今度の夏休みに、全員で帰ろうと言い出すが‥‥。


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ヤセミン・サムデレリ監督は、トルコ系ドイツ人の女性だそうで。

実妹との実体験を基に、共同で脚本を書いたんですって。


「ザ・ノンフィクション」を観ているようでした。

かつてドイツも、日本と同じように、戦後の経済復興著しい頃があり。

ドイツは、他国から労働力として、人をたくさん迎え入れてた時代があったのですな。


フセインは、その何百万人のうちの一人で。


日本でも、地方から出稼ぎに上京してきたり、そのまま住む人もいますけど。

それとはスケールが違いますもんね。

いや、どっちが偉いとか凄いとかの話ではないですよ。

距離ももちろん、気持ちの重さの上でのスケール感が。


国境を越えるんですから。

いくら相手の国が迎えてくれているとはいえ、言葉も習慣も違う国に、単身飛び込むわけですから。

当時のトルコの経済状況もあるのでしょうけど、大変な覚悟だったでしょうね。


そんなフセイン一家には、トルコ時代を知る子と、知らない子と。

孫の代も、トルコへの想いはそれぞれで。

しかもそれぞれが、それぞれの悩みや事情を抱え。


そんな中、半強制的に行われた、ファミリー全員での里帰り。

ほとんどが嫌々だった旅路だったのですが。

故郷が近付くにつれ、祖父の過去に触れるにつれ。

自分を見直し、家族との関係を見直して行くことになるのです。

地味ながら、グッと来るものがある映画でしたよ。


移民にとっての祖国とは。

2世、3世にとっての祖国とは。

それぞれのルーツと、それに馳せる想いと。


「おじいちゃんの里帰り」

ほのぼのしたタイトルの裏には、深く強い故郷への想いが隠されておりました。



☆個人的見どころ

 ・頑固で、意地っ張りで、優しいじいさん

 ・まさかの展開

 ・スピーチ