実在する古典相撲のお話。


『渾身 KON-SHIN』

島根県・隠岐の島で、20年に一度だけ行われる古典相撲大会。

そこの名誉ある最高位・正三役大関に選ばれたのは英明(青柳翔)。

彼は数年前に島に戻り、妻の多美子(伊藤歩)と、前妻との娘・琴世と三人で慎ましく暮らしていた。

しかし彼はそれ以前、あることで島を追われるようにして出て、それ以来両親とは絶縁状態が続いていた‥‥。


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隠岐で実際に催されている、古典相撲を舞台に描かれた、ある家族の物語です。

地味ながら、引き込まれる力を感じる映画でしたよ。


全体的にちょっと長い印象が。

相撲大会の模様を物語の芯に、ちょっとずつ過去を振り返って行き。

時間軸がどんどん現実に追いつくパターンだったんですけど。

それが、僕にはあまり効果的に感じなかったんですよね。

相撲の様子をちょこちょこ挟むことによって、「20年に一度」という重みが薄まったようにも感じて。


寡黙で朴訥な英明が、島を出た理由も知りたかったですしね。

チラッとセリフにはありましたが、この真面目な人がなぜそういう行動をとったのか気になってしまって。

長さのわりに、欲しい情報がちょいちょいないのが歯がゆかったです。


とは言え、それまでの経緯と背景をじっくり追ってきてくれてはいるので、対戦になった時の盛り上がりはカッコ良く。

とても熱がこもっていて、震えるシーンでしたよ。


琴世役の娘さんが、やたらうまかったのが印象的でした。

どうなっとるんだ、最近の子役は。

自分が子役であることを知っていて、子役に求められていることを理解しているかのような子役っぷりで。

意味、分かります?


こういう、地方に残る伝統行事は、なんとも言えない魅力がありますね。

何百年前にも、当時の人たちによって、同じ手順のことが行われていたのかと思うと、なんかグッと来るというか。

隠岐の美しい風景とともに、とても印象に残る映画でした。



☆個人的見どころ

 ・勝負の行方

 ・隠岐の風景

 ・達者な琴世ちゃん