阿部サダヲ×松たか子×西川美和監督!


映画とカレーと藤井

『夢売るふたり』

貫也(阿部サダヲ)と里子(松たか子)は小料理屋を営み繁盛していたが、調理場からの出火で火事になり、店を失うことに。

落ち込む貫也が酒浸りの生活に陥っていたある日、常連客だった玲子と夜の街で偶然出会い、成り行きで一夜を共にしてしまう。

さらには、玲子が愛人から受け取った手切れ金を、無理矢理手渡された貫也。

里子はそのことに気付き激怒するが、同時にあることを思いつく。

貫也に結婚詐欺をさせ、店の再開資金を稼ぐことを企てる‥‥。


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夫婦での結婚詐欺のストーリーで。

しかも阿部サダヲさんが主演ですから。

コメディ混じりに軽快に進んで行くのかと思いきや。


重っ!


成り行きで結婚詐欺を企て、それが予想以上にうまくいき。

もう十分なのに、お互いに負い目ができて止まれなくなった夫婦の心情が、細か~く描かれておりました。

片方が潮時だと思った時は、もう片方がイケイケで。

また、その逆も。

いつしか、取り返しの付かないところまで‥‥。

阿部さんも松さんも、本当にお上手なんですよね。改めて言うこっちゃないですけど。


そして、「結婚したい女」の方も、これまたリアルで。

家族からのプレッシャーとか。

自分へのコンプレックスとか。

年齢へのあせりとか。


いや、そんなうまいこと行く?とか観ていて思っても。

そういう、弱みを持った人たちは、こっちが思っている以上に脆いのかも。

そんな風に思わせてくれるよう、被害者の心情も丁寧に描かれておりました。


ただ終盤に、この作品のキモになる出来事が起こるのですが。

そこまでは、犯罪とはいえ本当にどこかでありそうなことだったのですけど。

その出来事は、それまでとちょっと毛色が違いすぎたような。

何というか、それなしでの行く末と言うか、結末が観たかったっすなあ。僕は。


結婚詐欺師夫婦と、警察や被害者とのせめぎ合いの物語かなと予想していたのですが

これはある種、奇異な夫婦の物語なんすな。

はてさて、この二人はどうなるのでしょうか。



☆個人的見どころ

 ・止まれない夫婦

 ・金を出す女たち

 ・渋い鶴瓶さん