オリヴィエ・ジェルマントマ「日本待望論」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「今世紀末に臨んで、世界にはほとんど感動の種は尽きました。戦争、飢餓、腐敗堕落は猖獗をきわめ、かたわら、富める者は不浄の財宝にあぐらをかいて、ますます富める者となり、若者たちは、神聖なるものから切り離されて、ドラッグに夢を紡ぐばかりです。」
 
「諸大国に何があるというのでしょうか。アメリカは傲慢にも得手勝手な価値観を押し付けてやまず、低俗な文化形態を地球上の隅々までばらまいて恥じることがありません。ヨーロッパは黙々と統一を模索中なるも、これを見出すにはまだ道の試練をいくつも経なければなりますまい。中国ときては、やみくもに覇権の誘惑に駆られているていたらくで、現状においては、人間を豊かならしめるいかなるモデルをも提示できていません。」
 
「日本のために席は空いているのです。!よく伝統に忠実たらんとするならば、アメリカ的モデルの幻惑から覚め、力で成り上がろうとする誘惑を脱して、断固、政治的主権を再び掌中に握りしめさえするならば。今や世界は、精神的にも文化的にも空洞化しています。日本文化は、開かれたものであり、ドグマの虜とならないという特性をもち、そのことによって貴国は史上初めて、普遍的メッセージをもたらしうる位置に立とうとしているのです。」
 
弱冠27歳にしてシャルル・ド・ゴール研究所の理事長になった男の話