豊下樽彦「集団的自衛権とは何か」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「そもそも国連憲章は、『すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇または武力の行使を、・・・・・慎まなければならない』(2条4項)と規定して武力行使禁止原則を謳っているが、次の三つの場合にのみ武力行使が認められている。その一つが、『平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為』の発生に対し、安全保障理事会の決定に基づいてとられる「軍事的措置」の場合である(42条)。この措置は、国連の名において実施される点で、『公権力の行使』にたとえられ、集団安全保障と呼ばれる。」

 

「あとの二つは、憲章51条に規定されているもので、加盟国に対する『武力攻撃が発生』し、安保理が必要な措置をとるまでの間に認められる、個別的自衛権の行使と集団的自衛権の行使の場合である。個別的自衛権は、自らの国が攻撃された場合に自衛する権利であるが、集団的自衛権については、さまざまな定義付けがなされてきた。しかし、日本においてもほぼ通説とされているのが、『自国の密接な関係にある外国に対する武力攻撃を自国が直接攻撃をされていないにもかかわらず、実力をもって阻止すること』という定義である。」

 

「集団的自衛権は国連憲章に規定された権利であり、国連加盟国である日本もその権利を有している。しかし、国際紛争を解決する手段としての武力行使の放棄と、国の交戦権の否認を規定した憲法9条によってその行使を認められないというのが、自衛隊発足以来、より定式化されたものとしては1970年代以来、政府の一貫した解釈となってきた。」

 

 基本的な知識、事実を踏まえたうえで情報を解釈していく必要性を痛感している。