http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161209/k10010801241000.html?utm_int=news-social_contents_list-items_020

 

 

海外からの郵便物に対して税関が行っている検査をめぐり、覚醒剤の密輸事件の被告が「裁判所の許可なしに検査するのは違法だ」と主張した裁判で、最高裁判所は「検査の目的には高い公益性が認められる」として、許可がなくても憲法に違反しないという初めての判断を示しました。(12月9日NHKニュースウェブから一部引用)

 

同じことを警察が行ったとしたら無令状による差押えという重大な違法行為を行ったことになり、それにより得られた証拠物(本件では覚せい剤)が証拠として使えなくなるという判断がされる可能性が高く、証拠がないので無罪ということになります。

 

 

本件では、郵便物を開披して鑑定などを行った発端となったのは税関であり、その目的は警察による刑事事件の捜査と異なり、輸出入の可否を判断するためという行政目的であり、関税法には裁判官による事前の令状の発布を得る必要もないとされていることから、この関税法の規定が令状による差押えを規定した憲法35条に違反するもので無効であり、憲法に違反するという重大な瑕疵を有する規定によって得られた証拠物は証拠として能力を否定されるのではないかというのが問題の所在となります。

 

 

本件において、裁判所は、その目的が刑事責任の追及を目的とするものではないからということのみをもって当然に憲法35条の保証の枠外にあるものとはいえないとしつつも、裁判官による事前の審査を必要としないとする当該関税法の規定については、その目的やそのような検査が国際的にも広く行われていることなどから、手段としても必要最低限のものとして許されると判断しています。

 

 

(判決文:裁判所ホームページから)

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/323/086323_hanrei.pdf