• 30 May
    • 特別養子縁組の成否の一事例

      判例タイムズ1423号などで紹介された事例です(大阪高裁平成27年9月17日決定)。 普通養子縁組では、縁組したとしても実親との親子関係は切断されませんが特別養子縁組では実親やその親族との関係は切断されることとなっています(民法817条の9)。本件では、特別養子縁組の成立を認めるのにあたって、実親との関係を消滅させるだけの特別の必要性があるかどうかということが問題となりました。  本件では、未成年者が交際中に妊娠し赤ちゃんを産んだものの、交際相手とは別れ、一人では監護できないという状況となったため、引き取って育ててもらえないかという打診を受けた赤ちゃんを産んだ未成年者の母親の従姉妹夫婦(実子に恵まれなかった)が、出産直後から育てているという事案です(赤ちゃんを産んだ未成年者は一度も赤ちゃんと会っておらず、認知も受けていない。未成年者は特別養子縁組に同意している)。 赤ちゃんがまだ月齢の段階で家裁に特別養子縁組の許可の申し立てをしはたところ、家裁では、実親である未成年者との親子関係を続けることが支障があるというわけではないという理屈で申し立てを却下しましたが、高裁では、実母である未成年者が監護することは著しく困難である一方で、申し立てをした夫婦が赤ちゃんを養育監護するのに問題があるとはいえず、子の利益のために特別の必要があると認めて、特別養子縁組を許可しました。 (子の利益のための特別の必要性)第817条の7 特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。  民法817条の7の「子の利益のため特に必要があるとき」の解釈として、実親との親子関係を終了させることが子にとって利益となることを必要となるものと解されているところ、この点をどのように評価するかについて判断が分かれたようです。  ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。)  ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。  

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  • 27 May
    • オバマ大統領 広島の平和公園で原爆慰霊碑に献花

       http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160527/k10010537481000.html?utm_int=news_contents_news-main_001 オバマ大統領は、アメリカの現職の大統領として初めて被爆地・広島を訪れ、被爆者らが見守るなか、広島市の平和公園で原爆慰霊碑に献花しました。 (本日付NHKニュースウェブから一部引用)。  たまたま事務所にいましたので、テレビで付けたところ、ちょうど、オバマ大統領を広島のエアポートに到着し、車列が広島の町中を走り平和公園に向かうところでした。  高校時代まで広島で暮らしましたので、広島の平和公園をアメリカの現職大統領が訪れるというのは不思議な感じがしました。  100万人都市とはいえ広島はそれほど大きな町ではありませんし、今日は町中がそわそわしていたのではないかと想像します。広島で暮らす人々も固唾をのんで見守っているというところではないのかなと思いました。私も広島で暮らしていたなら、早く家に帰ってテレビをつけて様子を見守っていたと思います。  反対意見も多いことだろうと思いますが、それにしてもアメリカ外交のダイナミズムというのか、思い切りの良さというのか、そういったものを感じます。 これを機に、今後もアメリカの大統領や閣僚がもっと「気軽に」広島や長崎を訪問してもらえたらと思います。   ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。)  ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。  

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  • 13 May
    • 「精査する」

      http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160513/k10010519591000.html?utm_int=news-social_contents_list-items_006 政治資金収支報告書によりますと、舛添知事のすでに解散した政治団体「グローバルネットワーク研究会」は、知事就任前の平成25年と平成26年のいずれも1月に、千葉県木更津市のホテルに合わせて37万円余りを会議費として支出しています。1回目の支出は舛添知事が参議院議員を務めていた時で、翌年は、都知事選挙の1か月前にあたります。記事では、この支出について、実際には会議は行われておらず、知事の家族旅行の費用に使われた疑いがあると指摘しています。 また、記事では「グローバルネットワーク研究会」と現在、舛添知事が代表を務める政治団体が、平成24年から平成26年にかけて、世田谷区の自宅近くにある飲食店などに飲食代として10回にわたって支払った合わせておよそ30万円についても家族との食事が多く、政治活動ではなかった疑いがあると指摘しています。 さらに、これら2つの団体と知事が代表を務めていた政党支部が、新宿区にある画材や額縁などの販売店で、「備品」や「消耗品」などとして合わせて178万円余りを支出していたほか、多数の美術品の購入費用も支出していたと報じています。 この報道に対し、舛添知事はこれまで「残っている領収書など資料を精査し、全体像が分かってから説明したい」としていました。 (5月12日付NHKニュースウェブから一部引用) インタビューなどで舛添都知事が連発していた「精査する」という言葉ですが,我々弁護士にとってもおなじみの用語なのです。 使い方としては,裁判所の判決や決定などで 「一件記録を精査してみても,・・が主張する事実の誤認などは認められず・・」 と言った感じで使われることが多く,精査してくれたというわりには,どこをどう精査したのか,その根拠が具体的に書かれているということもなく,いわば,「残念でした」という結論を導く際の枕詞のようになっています。 そういうわけで,不本意ながらも,こういった判決,決定を喰らうことが多い弁護士にとっては「精査する」という言葉は全く信用ならないキーワードなのです。 それでも,なんとなく言葉として恰好が良いので,ちゃっかり,自分が書く書面などでは「精査したところ・・・」などと頂いてしまったりもしています(私の場合はちゃんと「精査」しています・・(^_^;))。 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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  • 12 May
    • 後見人の報酬を被後見人の死後法定相続人に対して請求することの可否

      判例時報2286号で紹介された事例です(大阪地裁平成27年7月22日)。 後見人(保佐人・補助人)の報酬は裁判所が決めるものとされ,本人が生きている間は,定期的に年1回の後払いとされることが多く,本人が亡くなってしまった場合には,報酬を貰っていない期間について亡くなった日までの報酬を決めてもらうことになります。本人が亡くなった場合の最後の報酬審判は当然,本人の死後に家裁が出してくれることになります。 後見人の報酬は,あくまでも本人(被後見人)の財産の中から与えられるものとされ(民法862条),家裁が出してくれる報酬決定審判も「被後見人の財産の中から金○○万円を与える」と記載されています。 (後見人の報酬) 民法第862条 家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。 後見人が本人の財産を管理している間は,決まった報酬金額を後見人が管理しているしている本人名義の口座から引き出して頂けばよいわけですが,被後見人が亡くなってしまった後,最後の報酬をどうやってもらうかというのは,後見実務上のグレー処理の世界とされています。本人が亡くなってしまった瞬間に後見人の地位,権限は消滅してしまうことになりますので,本人名義の口座から引き出してしまってもよいのだろうかといったことについては後見初心者などは不安になるものです。 といっても,特段悩む必要まではなく,報酬金額については本人が亡くなった後であっても本人名義の口座からキャッシュカードを使って引き出したとしても咎められることはないです。もっとも,キャッシュカードならともかく,本人が亡くなった後でに窓口で,「後見人」を名乗って報酬とはいえ現金を引き出すというのは,少し気が引けるような気がします。 また,実務上は,本人が危篤という知らせを受けた又は本人が亡くなったと聞いた時に,少し多めの金額を引き出してしまって,保管しておき,亡くなった後に,報酬相当額を差し引いてから,本人名義の口座に戻したり,相続人に対して引き継ぐということも行われています。これについても特にとがめだてされることはありません。 前置きが長くなりましたが,本件は,後見人であった弁護士が,家裁が決めた最後の報酬について,本人の相続人に対して,その相続分に応じた金額の支払を求めたという訴訟です(前記した家裁が出してくれる報酬の審判書という書類があっても,これだけでは強制執行したりすることはできません。)。 前記のとおり,実務上,本人の危篤や死亡直後に,報酬等の確保のため多めに出勤しておくという処理をすることが一般的なのですが,本件でも,弁護士後見人は500万円を引き出して預かり金口座で保管の上,1年間分の報酬や葬儀関連費用の立て替え分についてはその中から受領したのですが,支払を受けていない最後の報酬部分だけは,なぜか,家裁の報酬決定が出る前に本人名義の口座に戻してしまいました。 その後,最後の報酬の審判が出たものの,相続人が支払わないということで訴訟を起こしたというのが本件です。 結論としては,裁判所は,後見人弁護士の訴えを認めて,家裁が決めた報酬金額を相続分で按分した金額についての支払いを本人の相続人らに対して命じました。 理屈としては,後見人の報酬を支払うべきは本人であるから,債務者としては本人ということになる,(本件では本人は遺言をしていましたが)本人が遺言で債務に関しては何も定めていないのであれば後見人の報酬債務については原則として相続人の相続割合に応じて相続人が承継することになるというものです。 条理としては至極当然のことではありますが, ・本人死亡後の報酬審判が出された時点では本人が死亡している以上,債務者となるべき当事者である本人が存在していないのではないか(この点については,判決では最後の報酬審判は本人の死亡時点にさかのぼって発生するのだと言っていますが,理論的に合っているのかどうかはやや疑問です) ・民法862条が「被後見人の財産の中から」と規定している点との整合性(この点については,判決では同条の趣旨は「被後見人の財産を超えて報酬を付与することはできない」という趣旨であると指摘し,相続人に対して命じた支払があくまでも被後見人の財産の中から支払われるべきであるとししても,そのことは執行の段階で考慮すべきである,と行っていますが実際にどのように考慮するのかはよく分からないところです。) といった諸点についてあまりよく分らないところもあります。 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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  • 12 Apr
    • 補助の取消

      後見・保佐・補助の後見3類型のうち補助というのはもっとも軽いものになります。 感覚的には「ちょっとした物忘れ」という程度でも、「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分」(民法15条1項)の開始要件に該当することになります。 そして、補助が開始されるためには本人の同意が必要条件となっており、本人が反対した場合は補助は開始されません。 そのうえで、いったん開始された補助について、あとから本人が「やはり止めたい」と思った場合、補助は取り消されるのでしょうか? 補助という類型が本人の意思を尊重して開始されている以上、その段階でまだ補助相当の状態であるのであれば、本人がもう止めたいといっている以上、取り消してあげてもよさそうですが、いったん開始された以上は、本人の同意は手続きを継続させるための要件ではないので、あくまでも、本人の能力が回復し、補助の必要がなくなったときでなければ取り消してもらうことはできません。 そして、補助の場合「ちょっとした物忘れ」程度で開始されているので、なかなか取り消してもらうということはむつかしいということになります。 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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  • 06 Apr
    • 遺言能力を欠いていたことを理由として自筆証書遺言が無効とされた事例

      判例タイムズ1421号で紹介された事例です(東京地裁平成26年11月6日判決)。 本件の主な争点としては,平成22年2月の死亡当時77歳の遺言者が残した自筆証書遺言(平成21年10月28日付)の有効性が問題となりました。 遺言の無効を主張する原告側では,遺言の筆跡が遺言者のものではない,押印は遺言者自身が押印したものではないとしてその真正性も争いましたが,この点について,裁判所の判断としては,筆跡鑑定も経たうえで遺言者が作成したものであるとし,また,押印されていた印鑑は被告の一人が預かっていた遺言者の預金の銀行届出印でしたが,同印鑑を被告が遺言者に渡して遺言者が押印した可能性もあるとして,遺言上の記載,押印については法的な問題なしとしました。 遺言能力の点について,遺言無効が争点となる案件においてよく出てくる論点について本件でも問題となっていますので,頭の整理もかねて列記しておきたいと思います。 ・公正証書を作成した際に公証人によって判断能力が確認されているという主張について 遺言の有効性を主張する側からは,よく出てくる反論です。本件でも,平成21年11月6日に,遺言者と被告との間で,公証人による任意後見契約の締結がなされていました。 しかし,遺言者は平成21年7月頃には記憶障害,見当識障害,意欲低下が出現し,8月頃には預金通帳と届出印を被告が預かるようになっていたこと,9月に入るとつじつまの合わない言動があり,10月の要介護認定調査では「意思の伝達 ほとんど不可」「毎日の日課・短期記憶 できない」「日常の意思決定 困難」とされ要介護5とされていたこと,11月には排便後に手で拭いてしまうなどの行動が見られたとされ,また,任意後見契約締結直前の11月2日には医師により後見相当という判断がされていたこと,公証人とのやり取りも公証人からの質問に対して「はい」と応答するだけのものであったことなどの事情から,公正証書の存在は重視するには当たらないと判断されています。 ・要介護認定調査における記載は高い介護認定を獲得するために実際の状況とは異なるという主張について これも,遺言が有効か無効かをめぐって争われる際にはよく出てくる主張の一つです。 自治体による要介護認定調査の記録は自治体から取寄せることができ,裁判においても出てくる資料となります。 ここに記載された事柄について,遺言の有効を主張する側からは,高い認定を獲得するために重く見せたのだと言い,逆に無効を主張する側は第三者(調査員)の前で本人が頑張ってしまったので実情よりも軽くなっているのだなどと主張があったりします。 本件では,要介護認定の調査記録では遺言者の判断能力について前記のとおり記載があったのですが,裁判所は,遺言者の要介護度はもっとも重い5であり,軽度の症状を誇張するだけでそのような最重度の認定を取れるとは思えないこと,被告自身が遺言者の生活ぶりを具体的に述べているところからすると(ひどい物忘れがあるなど),被告が認定獲得のために事実を全く仮想して述べたとも思えないことなどから,認定調査の記録は信用することができるものとされています。 ・「見当識は保たれている」などの医師の診断の存在などについて 遺言の有効性を争う裁判では,医療機関や介護機関から取寄せた膨大な診療録や介護記録に当たることになり,記録に記載された一つ一つを検証していくこととなります。 本件では,平成21年10月(遺言作成の前月)に見当識は保たれている,遺言者がある程度の会話(遺言者が「今日は○○日ね。」「明後日帰るのね。」と言ったという記録)が出来ていたことを示す診療録上の記載があり,遺言作成当日の10月28日にも「意識レベルは普段通りで全身状態も悪くない」との診断が記載されていました。 この点について,そのような記載をした同じ医師が,12月1日には長谷川式スケールで30点中10点としたうえで後見相当であると診断しており,医師としては,表面的に会話が成立しており,ある程度の見当識があったとしても,そのことを前提として,遺言者の判断能力の低下があったという判断を下しているのであるから,遺言者の判断能力の低下があったと認めるのが相当であるとされています。 また,11月2日には別の医師が「記憶力の問題はあるが程度は軽い」という診断をしていたところ,これについても,その医師がそれを前提として後見相当であるという診断を下していることから,その医師のいう「軽度」とは後見レベルのことであったということができるとしています。 ・遺言能力に問題があった者であれば整った文字で意味の通った遺言を書ける筈がないとの主張について この点について,自筆証書遺言の場合には,遺言者がどこでどのように遺言を書いたのかという具体的な状況は分からないので,遺言の無効を主張する側にとっては不利となります。 本件でも,被告側は預かっていた銀行届出印を遺言者が「ちょっと戻して」と言うのでそれに応じて渡していたことがあり,それを使って遺言を作ったのだろうという主張をしていますが,実際のところは分らないわけです。裁判実務上,印鑑の冒用,盗用可能性については,裁判所はある程度そのような心証を抱いたとしても,そのまま認定することは少ないとされています(本件でも,遺言に押印したのは遺言者であるとして文書の真正については問題なしとしつつ,その点については文書の真正の問題としてではなく,判断能力の問題として取り上げているわけです)。 この点について,本件の裁判所の判断としては,遺言の内容が被告側に有利なものとなっており,被告が遺言の作成に積極的に関与したことが「推認」されるとして,被告が遺言の作成に全く関与していないというその主張の信用性には疑問があると述べ,そうであるとすれば,整った文字で遺言が書かれていたとしても不自然ではないとしています。 以上のような判断を経て,本件では平成21年10月28日付の自筆証書遺言については遺言能力を欠いていたという理由で無効としています。 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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  • 05 Apr
    • タクシー初乗り400円台 東京の大手各社が検討

      http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160405/k10010468111000.html?utm_int=news_contents_news-main_001 東京の大手タクシー各社が23区などを対象に、初乗りの距離を現在の2キロから1キロ程度に縮めたうえで、運賃を400円台にするなど引き下げを検討していることが分かりました。 関係者によりますと、東京の大手タクシー各社はお年寄りをはじめ顧客の間で近距離での利用を求めるニーズがあることを踏まえて、初乗り運賃の見直しを検討しています。 (4月5日付NHKニュースウェブから一部引用)。 現在東京23区内の初乗りは概ね730円ですが,気軽に乗るにはちょっと躊躇してしまう料金です。 ほんの少し移動するだけ,大きな荷物を抱えて,地下鉄で移動できないこともないけど,さすがに730円も出すのはちょっとというときは多いものです。 記事によりますと,お年寄りのニーズを主に想定しているようですが,初乗り400円台であれば,これまであまりタクシーを利用しなかったという層も利用しようと思うのではないかと感じました。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。 ■ランキングに参加中です。

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  • 04 Apr
    • 高齢者が行った養子縁組の有効性について判断した事例

      判例タイムズ1421号で紹介された事例です(東京高裁平成25年9月18日判決)。 本件は,高齢者がその死亡する約2年前に,亡夫の連れ子夫婦との間で行った養子縁組について,高齢者の実妹らがその養子縁組当時の高齢者の判断能力を問題として無効を主張したという事例です。死亡した高齢者の遺産相続という点から考えた場合,養子縁組が有効であれば養子が相続するのに対して,養子縁組が無効であれば,兄弟姉妹が相続するという関係となります。 一審では養子縁組は無効とされましたが,高裁では,判断が逆転し養子縁組は有効とされました。 理由の一つとしては,養子縁組の動機,すなわち,養子となった連れ子は,高齢者が亡夫の後妻となって以降,縁組の時点まで約49年間,連れ子の妻についても約30年間,法的には親子関係はないものの,義理の親子として同居して生活しており,養子縁組をしたとしても不自然ではないという点です。 高齢者の妹側からは,連れ後たちが高齢者を虐待していたという主張もされましたが,高齢者が物盗られ被害を訴えていたとしても,それが本当かどうかは不確実なところがあり,診療記録などからは両者の関係が悪化していたことを示す記録もないことなどから,養子縁組を否定する事情にはならないとされました。 また,高齢者の判断能力に関して,縁組の約5か月前に実施された長谷川式スケールで18点となっており認知症があったとしても重度のものとはいえないことや平成20年6月の認定調査で生活自立度はⅠとされていることなどから,養子縁組の時点でその行為の意味を理解できないほどの判断力の低下があったとまではいえないとされています。 以上の次第から本件養子縁組は有効と結論付けられました。 今後も遺言や養子縁組などの有効性を争うことはどんどん増加するものと考えられます。 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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  • 01 Apr
    • 協議離婚後の親権者変更が認められた事例

      判例時報2283号で紹介された事例です(福岡高裁平成27年1月30日決定)。 本件は,未成年の子どもの親権者を母親と決めたうえで協議離婚した後,父親からの親権者変更の申立について,原審(家裁)が却下したのに対し,抗告を受けた高裁がこれを認めたという事例です。 本件では,婚姻中,母親が夜の水商売のアルバイトをするようになり,父親が昼の仕事を負えて帰宅するのと入れ替わりに母親がバイトに出かけるなどの生活が続き,バイト先の男性チーフと関係を持ち妊娠し中絶するなど,母親の素行に問題があったようです。 夫婦は離婚に向けて話し合いましたが,子供の親権をめぐって対立し,父親は一旦は母親を親権者とすることを承諾したものの,やはり後悔し,親権者欄は空欄とする離婚届を渡したり,その後,前記の男性チーフと母親との関係が発覚したことから離婚不受理届を役所に出して「親権は渡せない」と告げたところ,母親は包丁を持ち出して「そんなことを言うなら死ぬ」と言いだしたりすったもんだし,双方の両親や男性チーフも加わっての話し合いがもたれ,母親以外は全員子どもの親権者は父親とすべきだという意見であったが,母親があくまでも譲らなかったため,父親が譲歩し,母親のコルの仕事が決まって安定するまでは父親が監護するという約束のもとで,母親を親権者として協議離婚するということで話がまとまり,届け出がなされて離婚が成立しました。 その後,母親は子どもを父親の両親に預けて,家を出てアパートを借り,子どもの論堂は父親とその両親が見ているという状態,母親は昼の仕事は見つけたものの退職し収入がないという状態というもとで,本件父親からの親権視野変更の申立がなされたのでした。 原審(家裁)が父親からの申立を却下したのに対して,抗告を受けた高裁では父親の言い分を認めて親権者を父親に変更することとしました。 その理由としては,父親側が面倒を見ているという監護者と親権者を合致させるべきであることや父親側にはその両親など監護補助者がおり子どもの面倒を見るのにふさわしいということでした。 これに対して,母親側からは,離婚した後に事情の変更がないのに親権者を変更すべきではないという反論がありましたが(離婚した時点で,親権者を母親としながら父親側が監護するということはその後も変化がないので),離婚後の事情の有無は考慮要素の一つだがあくまでも子どもの利益に適うかどうかという観点から親権者は決めるべきであり,本件において,離婚時に母親を親権者と決めた経緯からすると,父親ら監護能力やその意思がないということから親権者を母親に決めたわけではなく,母親の素行からすれば母親に親権を認めることはかえってふさわしくないといったことから,父親を親権者とすべきだとしました。 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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    • 万引き事犯において非けいれん性てんかん重積による意識障害の状態にあったとして心神喪失を認めた事例

      判例時報2283号で紹介された事例です(東京地裁立川支部平成27年4月14日判決)。 本件は,被告人が家電量販店において,午後0時57分頃から1時28分頃までの約30分間の間に,それぞれ別の階にあるゲーム売り場,理美容売り場,ヘッドホン売り場などに次々と場所を変えては,素手やバイクのカギでケースをこじ開けてゲームソフトを取ったり,爪切りやヘッドホンを取るなどし,店外に出たところに店員から声を掛けられたというものです。 被告人には,平成21年(客や店員のいるラーメン店の事務室に侵入して現金等を窃盗した 執行猶予),平成22年(コンビニでたばこ6カートンを万引き 実刑となり前の執行猶予が取り消された上で服役)に,それぞれ同種の前科がありました。 これだけ聞けば,「ああ,またやったな」ということで,よくある懲りない万引き犯の事案というところです。 しかし,被告人は,本件で勾留中に拘置所内でけいれんを起こして倒れ,脳波検査の結果,突発性けいれんと診断されました。 被告人は以前にも,話し方がおかしくなった,自宅でけいれんを起こしたなど複数回,救急搬送されたりしたことがありましたが,明らかなけいれんの原因は認められないとして,そのまま大した治療もなく経過していたということです。 本件では,万引き(窃盗)当時,NCSE(非けいれん性てんかん重積)の症状があり,善悪を弁識し,自己の行動を制御する能力になかった合理的な疑いがあるとして,責任能力がないという理由で無罪とされました。 判決や判決が依拠する医師の鑑定などによると,NCSE(非けいれん性てんかん重積)というのは,てんかん発作が一定時間以上連続的に生じる状態で,けいれんを伴わないものを指し,意識障害(分別もうろう状態)が主要な臨床症状となる,一見まとまった行動をとっているように見えるが,それまで行っていた動作を半意識的に続けたり,理性が低下して欲求が行動化したりすることがある,けいれんのような素人でもわかる症状がいなので,周囲の人も気づかないことが多く,このタイプのてんかん重積はしばしば見逃されていることがあるということです。 この観点からすると,本件の被告人の経歴は,大学卒業後,大手自動車販売店に就職して店長を務めるまでになり,結婚し子どももいたものの,平成10年ころから体のだるさや不眠などに悩まされるようになり,同年に離婚,15年には退職するなどであったとのことで,周囲に気づかれないまま実は症状が出ていたということなのかもしれません。 そして,本件鑑定において,被告人は,周囲に店員や客などがいる店舗内で,売り場を行き来しては,ケースをこじ開けてソフトなどを取るという不自然,不合理な行動を繰り返していたことなどから,てんかんによる意識障害の影響下にあったとと結論付けられ,裁判所も鑑定に依拠し,被告人は心神喪失状態であった合理的な疑いが払しょくできないとして無罪とされました。 なお,犯行時に犯行が発覚しないように細工したり,犯行後に弁解したりする行動があると,行為の善悪を弁識することが出来ていたことの根拠の一つとされることがあり,本件においても,被告人が店員に対して弁解していたことが検察側から主張されましたが,てんかん発作が起こった場合の脳波は数分程度で改善したり,店員に声をかけられた刺激で意識レベルが回復することもあり,そのようなことがあったからといって犯行時に心神喪失であったのではないかという点についてはやはり揺るがないものとされました。 なお,鑑定によると,被告人は平成21年ころからはてんかんの症状が発現していた可能性があるとされていますが,そうすると,平成21年,22年の前科というのも,てんかん症状により責任能力が減退している状況下で行われていた可能性も十分にありそうです。 一見すると理性を備えているように見受けられながら実は責任能力に問題がある被疑者,被告人が相当紛れ込んでいるのではないかという問題意識はある程度高まってきてはいるものの,実際に疑いをもって対応していくというところまではしきれていないということもあり,このような判決を契機としてさらに問題意識を高めていく必要がありそうです。 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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  • 31 Mar
    • ハンセン病、最高裁極めて異例の謝罪へ「特別法廷」手続き不適切再審理由にはならず

      http://www.sankei.com/affairs/news/160331/afr1603310017-n1.html ハンセン病患者の裁判を療養所などに設置された「特別法廷」で開いていた問題を検証している最高裁が、特別法廷設置手続きに不適切な点があったことを認め、元患者に謝罪する方向で検討していることが31日、関係者への取材で分かった。最高裁が事務手続きの誤りを認めて謝罪するのは極めて異例。 15人の裁判官全員で構成する裁判官会議で近く決定し、早ければ4月中に公表する報告書に盛り込む。個別の裁判の内容には踏み込まないため、再審の理由にはならない見通し。 (3月31付産経新聞オンラインから一部引用)。 他の報道などもあわせ読む限り,ハンセン病患者の裁判手続きで,閉鎖された「特別法廷」において,裁判官,書記官,検察官のほか弁護人までもがマスクをして,火鉢で書類をめくるなど,患者を人間扱いせずに進められた裁判手続きは,裁判という名に値するものではなく,憲法37条1項に規定する「公平な裁判所」の「公開裁判」を受ける権利を侵害するものとして,違憲違法なものであったということができるものと思います(弁護人までもがこのような手続に加担していたというのは本当に恥ずべきことだと思います)。 そうすると,既に有罪判決を受けた被告人について再審開始をすべきではないかということが問題となりますが,刑訴法上,再審開始の事由については次の通り定められているところです。 刑事訴訟法第435条 再審の請求は、左の場合において、有罪の言渡をした確定判決に対して、その言渡を受けた者の利益のために、これをすることができる。 一 原判決の証拠となつた証拠書類又は証拠物が確定判決により偽造又は変造であつたことが証明されたとき。 二 原判決の証拠となつた証言、鑑定、通訳又は翻訳が確定判決により虚偽であつたことが証明されたとき。 三 有罪の言渡を受けた者を誣告した罪が確定判決により証明されたとき。但し、誣告により有罪の言渡を受けたときに限る。 四 原判決の証拠となつた裁判が確定裁判により変更されたとき。 五 特許権、実用新案権、意匠権又は商標権を害した罪により有罪の言渡をした事件について、その権利の無効の審決が確定したとき、又は無効の判決があつたとき。 六 有罪の言渡を受けた者に対して無罪若しくは免訴を言い渡し、刑の言渡を受けた者に対して刑の免除を言い渡し、又は原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき。 七 原判決に関与した裁判官、原判決の証拠となつた証拠書類の作成に関与した裁判官又は原判決の証拠となつた書面を作成し若しくは供述をした検察官、検察事務官若しくは司法警察職員が被告事件について職務に関する罪を犯したことが確定判決により証明されたとき。但し、原判決をする前に裁判官、検察官、検察事務官又は司法警察職員に対して公訴の提起があつた場合には、原判決をした裁判所がその事実を知らなかつたときに限る。 本件に該当する再審開始事由が明確に規定されていないのですが,この点で,同じく憲法37条1項で規定されている「迅速な裁判」を受ける権利を侵害された場合には免訴の判決をすべきものとされており(判例),ハンセン病感じやに対する裁判についても,6号の免訴の言い渡すべき明らかな証拠を発見したときとして,その救済が図られるべきなのではないかと考えられ,今後,そのような動きも出てくるのではないかと思います。 記事で再審開始の事由にはならない見通しというのは,この点については具体的な再審開始を求める手続の中で判断されるべき事柄なので報告書中では踏み込まないというだけで,実際に再審開始の申立がなされれば前記のような解釈論により再審開始,免訴を求めていくべきものであり,また認められるべきものであると考えられます。 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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  • 30 Mar
    • 公示送達の要件を満たさず無効であると判断された事例

      判例タイムズ1420号で紹介された事例です(札幌高裁平成25年11月28日判決)。 以前も公示送達絡みの事例を紹介したことがありましたが,本件も,第一審裁判所の書記官が行った公示送達が無効とされて差し戻しとなったという事案です。 (公示送達の要件を満たさないと判断された事例) http://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12119904846.html 本件は,被告会社の本店所在地に宛てて訴状を発したものの「尋ね所当たらず」で戻ってきてしまい,会社謄本に記載のある代表者の住所地に再度発送したところ,「不在」により配達できず保管期間留置で戻ってきてしまったというものです。 原告代理人が代表者の住所地を訪ねるなどして調査したところでは,常時居住しているわけではなく立寄る程度,郵便物は確認している様子が窺える,建物は売却を予定しており荷物がまとめられている様子といったことが分かり(どうやって調べたのかはちょっとよく分りませんが・・・),裁判所に報告がされました。 そして,「送達すべき場所が知れない」として公示送達の申立がなされたうえ,公示送達がなされたものの,一審では原告の請求が一部認容であったことから,原告側が控訴したところ,今度は,控訴審裁判所から控訴状を新しく住民票の届出がされた場所に送達されたところ,今度は受け取られ,控訴審裁判所が第一審での公示送達の適法性を問題として取り上げたというものです。 高裁では,公示送達の要件は慎重に判断すべきであり,通常考えられる方法による調査を尽くしても送達すべき場所が分からないという程度まで達していないと公示送達はすべきではないとし,本件では,執行官送達やマンション管理業者などに対する調査嘱託をする,普通郵便が届くかどうかを確かめるといった方法が取れたはずであり,このような調査を尽くしていない以上は,公示送達の要件を満たしていないと判断しました。 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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  • 29 Mar
    • 訴訟外で行われた和解交渉で支払い猶予を求めたことと時効の中断の成否

      判例タイムズ1421号で紹介された事例です(東京地裁平成26年4月25日判決)。 消滅時効が完成したとしても,その後に,債務の承認をすると,時効の援用をすることができなくなるというのが判例の立場です。 本件ではAが貸金業者との間でカードローン契約していたところ,最終取引日から5年以上経過した後(法人の貸金業者の貸金債権は5年で消滅時効期間の経過となります),訴訟提起され,期日の4日前に和解交渉を試みようと,貸金業者の担当部署に電話をかけ,担当者から「一括での支払いは可能か」と聞かれたのに対し「極めて難しいので何回かにわけてお願いしたい。」と述べたことが,時効の援用権を喪失する債務の承認に当たるかどうかが問題となりました。 結局,Aは,遅延損害金を含めた支払を求められている金額が思っているよりも多額であったことから,「色々と相談しなきゃいけない。」「検討したいので電話では即答できない。答弁書は裁判所に提出する」と述べて電話を切り,裁判所での期日において,消滅時効の援用をしたのでした。 裁判所は,Aの前記発言は,担当者から一括払いを求められたことからその応答として分割払いを求めたに過ぎないこと,一括払いを拒否したことに発言の趣旨があり分割で支払う意思を表明したとは認められないこと,Aが発言の3日後には消滅時効の援用をする旨の答弁書を提出しており,Aとしては債務の存否を争い最終的には裁判所の判断を求める意思を有しており担当者もそのことを認識していたと言えることなどから,訴訟外での和解の中でなされた発言の一部にすぎないとして,債務の承認をしたものとはいえないと判断し,Aの消滅時効の援用を認めました。 私たち弁護士としても,債務整理の仕事をする際には,債務の承認とはならないように,通知には「これは債務の承認をするものではありません。」と記載しておくなどしています。時効が完成していることが明らかな場合には時効を援用すればよいわけですが,受任した最初の段階で,資料などを業者から取寄せたりする場合には,とりあえず業者に連絡する必要があるわけで,通知の書き方には気を使うわけです。 もっとも,資料を調べた結果,消滅時効が完成していることが分かれば,時効中断していないかどうか確認したうえで,時効を援用すればよいわけで,本件Aのように,債務の承認と捉えかねられない危険な交渉をすることはありません。 本件ではAは救われたわけですが,自分で動く前に,やはり,きちんと専門家に相談するということが必要だと思われます。 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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  • 28 Mar
    • 債権者集会への出席を条件とする破産者の海外旅行を許可する決定が適法とされた事例

      判例タイムズ1421号で紹介されている事案です(東京高裁平成27年3月5日決定)。 本件は,貸金業を営む会社の代表者であった者について,平成21年に債権者による申立により破産手続が開始されたという破産事件で,破産者が海外旅行の許可(平成27年3月14日から5月14日までの約2か月間の間に東南アジアを旅行先とするというもの)を申し立てたのに対し,破産裁判所が,旅行前に予定されていた平成27年3月11日の債権者集会への出席を条件として許可をしたのに対し,破産者が,抗告したという事案です。 転居や海外旅行などについては破産法37条1項で裁判所の許可が必要とされていますが,破産管財人が同意すれば,黙示の許可があったものとして取り扱うという運用がされている裁判所もあり,本件でも,破産者が30回の海外旅行申請をしたのに対し,破産管財人がそのうち20回については同意し,その際,帰国後に債権者集会が予定されているものについては出席するよう付言したが破産者はいずれも出席しなかったということです。 なお,本件では,破産者は13回の債権者集会の期日すべてを欠席していました(うち6回は刑事事件での勾留による出頭不能,残りは体調不良やうつ病等の理由)。 (破産者の居住に係る制限) 破産法第37条 破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない。 2 前項の申立てを却下する決定に対しては、破産者は、即時抗告をすることができる。 そして,さすがに,今回の海外旅行については破産管財人は不同意としたため,破産者が裁判所の許可を求めたところ,裁判所は前記のとおり,旅行前の債権者集会に出席することを条件とする許可を出すという,ちょっとした癖だまを投げたのでした。 抗告を受けた高裁でも,破産法37条1項は,破産者の逃亡や財産隠匿の防止のほか,破産者に説明義務を尽くさせるという趣旨もあることなどを理由としてあげ(旅行に行きたかったらきちんと期日に出てからにしろということ),破産裁判所の判断を支持しました。 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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  • 25 Mar
    • 組み体操 46年間で9人死亡 92人に障害

      http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160325/k10010455821000.html?utm_int=news_contents_news-main_001 学校の組み体操の練習中などにこの46年間に9人が死亡し、障害が残った子どもは92人に上ることがスポーツ庁の分析で分かりました。スポーツ庁は安全を確保できない場合は組み体操を行わないよう全国の教育委員会などに通知しました。 (3月25付NHKニュースウェブから一部引用)。 組体操(ピラミッドやタワー)についての危険性に関しては社会的に十分に認知されてきているように思います。この状況で敢えて危険な態様による組体操を行うという場合には,事故が起こった際の学校側の責任が認められる方向に働くものと思います。 組体操の事例ではありませんが,高校の体育祭での騎馬戦で起こった事故について,騎手を務めていた高校生が第七頚椎以降が完全麻痺となったという事案で,学校の責任を認めて,学校を管理する県に対し約2億円の損害賠償を命じたという裁判例がありますので紹介しておきます(福岡地裁平成27年3月3日判決)。 本件の騎馬戦は,3人の馬が一人の騎手を支え,各騎馬が1対1で組み合い,勝敗条件としては,騎馬が崩れるか,騎手の頭が騎馬役の高校生の腰部より下に下がったら,その騎馬が敗北するというものでした。 裁判所は,このような勝敗条件は,そもそも騎馬が崩れることや騎手の落馬を伴うことを想定しているものであって,危険の発生が当然に予想されているものであるとしてまいす。 また,騎馬戦は,サッカーや野球などと異なって年に1回程度の体育祭などでしか行われない頻度のものであるから,生徒が騎馬戦に習熟していることも想定しがたいとしています。 このようなことから,本件騎馬戦の実施に当たっては,生徒に十分な事前練習,具体的には,最初は畳やマットの上などで転落時の危険性が低い状態で転落した場合の練習を十分に積ませる,次に騎馬を組んだ状態で互いに手を離してから危険を回避する練習をつさせるなどの練習を十分にさせることが必要であったとしています(学校ではこのような練習はしていなかった)。 また,本件騎馬戦では,もみあいとなり不安定な態勢となった騎手がどの方向に倒れるのか予測がつかないものであり,各騎馬に配置される審判員である教師は,複数配置すべきであったともされています(本件では騎馬一組に対して教師一人が配置されていたのみであり,実際に,騎手が教師がいたのとは反対方向に崩れ落ちた)。 上記のようなことから,本件では,学校側の責任が認められ約2億円の賠償が命じられています。 組体操についても同じようなことはいえるわけで,特に大規模なピラミッドやタワーが崩れてしまった場合,教師が支えようとしても,たくさんの児童・生徒が一瞬にして崩落してきて支えきれないという事態は十分に考えられるものと思われます。 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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  • 23 Mar
    • 国宝「縄文の女神」きょうから東京・上野で展示

      http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160323/k10010452441000.html?utm_int=all_side_ranking-social_005 「縄文の女神」は平成4年に山形県舟形町の西ノ前遺跡から出土した縄文時代の土偶で、平成24年に国宝に指定されました。高さおよそ45センチと、土偶としては国内最大で、均斉のとれた優美な姿をしていて、乳房やおなかの部分の表現から、妊娠した女性の姿をかたどっているとも言われています。 (3月23付NHKニュースウェブから一部引用)。 2年ほど前に山形に行った折に、山形城跡に立っている歴史博物館を訪ね、展示されていた「縄文の女神」を見学したことがあります。 照明の当て方などがさらに神秘的なイメージを高めていたように思った印象があります。 今回、東京の上野で大々的に展示するということなので、きっと、黒山の人だかりとなってゆっくりと見ることもできないような気もしますが、私が山形で見たときは、それなりに人はいたものの、じっくりと顔も近付けて見ることができ、何となく、得したような気分になりますね(笑 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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  • 22 Mar
    • 船橋オートレース場 65年の歴史に幕

      http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160321/k10010451051000.html?utm_int=news-social_contents_list-items_038 船橋オートレースは、千葉県と船橋市が主催する公営競技で昭和25年に全国で初めて開催されたレースを前身とし、船橋市は「オートレース発祥の地」とも呼ばれています。 ピークの平成2年度には744億円を売り上げましたが、景気の低迷や娯楽の多様化で平成25年度の売り上げが全盛期の7分の1にまで落ち込むなど、赤字の拡大に歯止めがかからず、千葉県と船橋市は今年度末での廃止を決めていました。 最終日の21日は12レースが行われ、訪れた大勢のファンが選手たちに声援を送っていました。 (3月21日付NHKニュースウェブから一部引用)。 学生時代に一時期埼玉県の川口市に住んでいたことがあり、悪い先輩に誘われて、川口のオートレース場(元SMAPの森が所属している所ですね。)に通っていたことがあります。当時は片平巧選手などが強かったと思います。 船橋のオートレース場までは行かなかったのですが、当時実家があった広島から車で山陽のオートレースまで出向いたこともあります。 性格上、ギャンブルには付き合い程度であまり熱くなるということがなかったため、その後、続けるということはなかったのですが、なかなかオートレースをやるという経験はない人が多いと思うので、貴重な体験をさせてもらったと今では感謝しているところです。 オートレースのバイクの爆音というのは物凄いもので、あれを迫力があると感動するか単にうるさいと感じるかでその人の適性が図れるようにも思います。 ともあれ、一時期とはいえオートレースをかじったものとしては、聖地である船橋オートレース場がなくなってしまうというのはショックなところもあります。 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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    • 公判調書の整理期間を定める刑訴法48条3項と憲法31条の関係

      判例タイムズ1420号で紹介された最高裁の決定です(平成27年8月25日決定)。 地味な争点ではありますが、法曹実務家にとっては割と切実な問題で、刑事訴訟の公判期日が行われた場合の公判調書(特に、尋問が行われた場合の問答を記載した調書)の作成が判決宣告後になっていても構わないという刑訴法48条3項の規定が憲法31条が定める適正手続に反しないかということが問題となったものです。 刑事訴訟法第48条 公判期日における訴訟手続については、公判調書を作成しなければならない。 ○2 公判調書には、裁判所の規則の定めるところにより、公判期日における審判に関する重要な事項を記載しなければならない。 ○3 公判調書は、各公判期日後速かに、遅くとも判決を宣告するまでにこれを整理しなければならない。ただし、判決を宣告する公判期日の調書は当該公判期日後七日以内に、公判期日から判決を宣告する日までの期間が十日に満たない場合における当該公判期日の調書は当該公判期日後十日以内(判決を宣告する日までの期間が三日に満たないときは、当該判決を宣告する公判期日後七日以内)に、整理すれば足りる。 民事でも刑事でも、尋問が行われる際には、裁判官から「質問と答えが重なるとテープの録音が重なってしまうので、質問が終わってから答えるようにしてください」という注意を受けた上でスタートすることが多いものです。 尋問後、尋問で行われた問答の一つ一つがテープ起こし(速記の場合は速記録を起こして)されて尋問調書が出来上がってきます。テープ起こしの場合には外部の業者に委託されて出来上がるまでに1ヶ月くらい、速記の場合はもっと早くて2週間くらいで出来上がることが多いようです。 尋問調書が出来上がってから、じっくり弁論したとい思っても、尋問調書が出来上がっていないことには参考にするべき尋問調書が手元にないということになります。 本件は、寝たきり状態の妻を介護していた夫による傷害致死の事案で、裁判員裁判でしたが、弁護側は、判決までに尋問調書が出来上がっていないことを認めた刑訴法の規定が憲法に違反すると主張しました。 最高裁は、刑訴法が公判調書を整理するとした本来の目的は、期日における手続の公正の担保と上訴された場合に上訴審に資料を提供することにあるとし、弁護人などが調書を参考にして弁論したりするためのものではないという理屈で、弁護人からの主張を退けました。 裁判員裁判では、ほぼ連日期日が開かれ、判決までの期間も短く設定されることから、公判調書の整理が判決宣告後になっても構わないという規定が設けられたことも踏まえているようです。 もっとも、裁判員裁判が行われる前から、あくまでも公判で取り調べられた結果のみが証拠となるのであって、尋問の結果を記載した調書自体に基づいて心証を形成しているわけではないということは当然のこととされていたわけですが、裁判員裁判制度によってなおさら、このような趣旨が推し進められたということがいえそうです。 もっとも、私は裁判員裁判の経験はなく、非裁判員裁判の刑事事件(否認事件)や民事事件では、相も変わらず、尋問後の法廷では、 「調書はいつ頃出来上がりますかね?」 「そうですね、だいたい今から1ヶ月後ですかね」 「じゃあ、それから書面書きますので・・・」 「では、次回期日は2ヶ月後くらいで・・」 というやり取りがされているというのが実情です。 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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  • 19 Mar
    • 報酬を得て行政書士が行った遺産分割と非弁行為,不法行為の成否

      判例時報2281号で紹介された事例です(東京地裁平成27年7月30日判決)。 本件は,行政書士が報酬として約122万円を受け取った行った遺産分割に関し,行政書士に依頼した依頼人が,行政書士が相続人との間で交渉し,遺産分割業務を行うことは弁護士法に違反する違法無効なものであるとして,支払った報酬全額に加えて,不利な内容で遺産分割を成立させたことによる損害の賠償を求めたというものです。 裁判所の判断としては,将来法的紛争が発生することが予測される状況において書類を作成し,相談に応じて助言指導し,交渉を行ったという本件行政書士の行為は非弁行為に該当するとして,行政書士に委任した契約は無効であり,支払済みの報酬全額の返還を命じました。 また,きちんと相続分を計算して算出したうえで依頼人が取得できるはずであった相続額との差額約120万円についても,行政書士が遺産分割を行ったことにより発生した損害であるとしてその賠償が命じられています。 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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  • 18 Mar
    • 尋問ラッシュ

      今月は民事事件の尋問が4件あり、いずれも、形だけ行うというものではなく、いずれの案件も事実関係などに深刻な争いがあり、いわば、ガチンコでの尋問となり、事前の準備も含めると、かなりの時間を費やして打ち合わせなどを行わなければならなかったため、さすがに相当に疲れました。 尋問が大変といってもなかなか理解してもらえないかもしれませんが、実務的には「尋問を行う」というのは、その案件のいわばクライマックスともいうべきものとなり、依頼人やこちら側の証人ににどのようなことを述べてもらうか(主尋問)、相手方や敵性証人に対してどのようなことを尋ねるか(反対尋問)を検討するというのは、思っているよりも大変なことなのです。 尋問事項の検討に当たっては、それまでに提出されている書証などの証拠関係も確認しながら、どのようなことを聞いていくかを整理していくので、激しく争っている件では証拠も膨大となります。 また、尋ねる順番というのも重要で、特に反対尋問を行う場合には、相手方や敵性証人に言わせるだけ言わせて、後戻りできなくなったところで(これをピン止めするといったりします)、矛盾点を突くという手法を取ることがありますが、こちらの意図を悟られないようにピン止めするためにはどんな順番で聞くのが良いだろうかといろいろ頭を悩ませることになります。 時間配分というのも大切で、法廷での尋問の際には、裁判官は、とりわけ時間には厳しくて、与えられた時間を超過すると「時間過ぎてますよ」と指摘されたりすることもありますし、余計なところに時間をかけすぎて大事なところまで行きつかないというようなことが絶対にないように考えなければなりません。 大変、大変といいつつも、私は割と尋問が好きで、尋問がうまく終わったときの何とも言えない爽快感というのは何物にも代えがたいものがあります(そして、もちろんその後の判決で勝つというのが一番です。和解で終わることもありますが、尋問の結果によっては裁判官の心証において有利不利がある程度明らかになることもあり、尋問が成功したか失敗したかが分かるということもあります)。 当事者が尋問で苦労している割には、尋問で結果が決まるという案件はそれほど多くないといわれることもありますが(それまでに提示された主張の筋や書証で決まることも多い)、やはり、尋問は手続の花形であり、決して手を抜くということはできませんので、尋問が終わるまでは精神的にも気が張り詰めていて、大変疲れるものです。 ■ランキングに参加中です。 にほんブログ村 ■着手金の簡易見積フォーム (弁護士江木大輔の法務ページに移動します。) ■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。

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