地方の裁判所で民事部も刑事部の1部づつしかないような裁判所ですと、毎回同じ裁判官に当たるということは珍しいことではありません(というより,それが普通のことです)。

 

 

ただ、さすがに、東京や大阪のような大規模庁となると、通常の一般民事、刑事事件で、同じ部の同じ裁判官が担当するということは、確率的にあまりありません(建築訴訟や医療事件、労働事件のような専門部が担当するような事件であれば、担当部が決まっているのでその種の事件を多くやっている弁護士であれば、別々の事件が同じ裁判官に当たるということは多くあるものと思います)。

 

 

東京の場合、民事部は50部までありますが、極めてざっくりですが、そのうち専門部などを除いて40部として、単独事件(一人の裁判官が担当するもの)の裁判官が1部につき2人から3人いるとして、80法廷から120法廷はあることになり、事件は機械的に配転されるので、単独事件で同じ裁判官に当たる確率というのはぐっと低くなるということになります。

 

 

以前の話にはなりますが、私たまたま同時期に訴訟提起した通常の民事事件4件で、2件づつ、それぞれ同じ裁判官に当たったということがありました。

そのうち、A裁判官が担当することとなった事件は2件とも、それほど類型的に多いものではなく(過払い金の返還とか単なる貸金とか土地明渡とかではない。また何回か期日や弁論準備を重ねるような案件)、しかも、同じ日の同じ時間帯に第一回期日が指定され、それぞれ、私の立場は原告代理人、被告代理人というものでした。被告代理人としての答弁を終えた後、席を移動して原告代理人として訴状を陳述するという、東京ではあまりないような経験をしました。

しかも,また不思議な縁は続くもので、そのA裁判官は、司法修習の関係で、弁護士会が主催する模擬裁判でたまたま講評裁判官をお願いすることになっており、事前に挨拶に行ったりするなど、お互い「よくお会いしますね~なんなんですかね~」という感じでした。なお、そのことで別に手加減してくれるわけではないですので念のため(1件は和解で終わり、もう1件はその後の人事異動により別の裁判官の担当となりました)。

 

 

また、もう一つ、2件の訴訟の担当となったB裁判官について、その後時期は空きましたが提起した別の訴訟についても担当となり、なんだか不思議な感じがしました。

 

 

あまり担当してもらいたくない裁判官に何度も当たってしまうと胃が痛くなる思いもするのでしょうが、幸いなことに、どちらの裁判官も穏やかな訴訟指揮をする方でしたので幸いでした。