離婚した後の子どもとの面接交流については「子ともが嫌がっている」といった真偽不明の理由で約束が果たされないなどのいろいろな問題が指摘されていました。


従来,子どもとの面接交流の取り決めについては,「別途協議する」程度の条項でお茶を濁していたということが多かったと思います。



今回の最高裁判決は「きちんと取り決めた面接交流の約束を履行しない場合にはお金を支払わせますよ」ということですので,お金がそもそもないような人やお金を払ってでも子どもと合わせないという固い決意をした人に対してはあまり効果がないことになりますが,それでも,実務に与える影響は大きいかと思います。



裁判所の調停や離婚訴訟で調停委員や裁判官も積極的に「もっと細かく取り決めたらどうですか」と勧めてくれるということはまずなく,今回間接強制が認められた事例のように曜日や時間などについては細かく取り決めようとしても,「まあまあそれは後で当事者同士で話し合って」ということでいなされるとうことも多くありました。
細かく詰めようとしても,相手方から「今の時点でそんなに細かくは決められない」と拒否され,裁判所としても「相手が拒否している以上,決められないから」ということであまり相談には乗ってくれませんでした。



その背景にあったのは,法律専門家の間での「きちんと取り決めても強制できるわけではないし・・・」という弁解のようなものがあったかと思います。自戒を込めて言えば,代理人である弁護士についてもそのような意識があったのではないかと思います。


しかし,今回の最高裁判決が出たことにより,代理人である弁護士としても,「別途協議する」程度の条項でお茶を濁すということは出来ず,依頼人が望むのであれば,原則としてきちんと面接交流について取り決めなければならなくなったと思います。
「こんな条項でまとめたから強制執行ができなくなった」という依頼人からのクレームを考えなければならないからです。


今回の判決は,離婚に際してはきちんと子どもとの面接交流について取り決めしなければならないという民法の改正(民法766条1項)を反映したものだと思いますが,きちんと取り決めした者には法的保護を与え,大ざっぱな取り決めしかできていなければ保護を与えないということにより,結果として事前にきちんと子どものことを考えて取り決めさせるという法の趣旨を反映した優れたものではないかと思いました。




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