【千葉県船橋市職員の住民情報漏えいに絡む贈収賄事件や携帯電話会社の顧客情報漏えい事件で、贈賄罪や不正競争防止法違反などに問われた同県鎌ヶ谷市、元探偵業西岡貞人被告(49)の判決が23日、名古屋地裁であった。天野登喜治裁判官は「公務員や従業員を利用して利益を得ており、刑事責任は軽くないが、反省している」と述べ、懲役2年6月、執行猶予4年、罰金100万円(求刑・懲役2年6月、罰金100万円)を言い渡した。】(1月23日付読売新聞オンライン記事から一部引用)



携帯会社の従業員や公務員などを巻き込んで情報を違法に取得していたという事件ですが,元弁護士や司法書士なども関与していたということでも立件されていたかと思います。



弁護士や司法書士などは,職務上,日ごろから,他人の戸籍や住民票を取得することが多く,個人情報に接しているという自戒が必要です。



昔は,弁護士などによる戸籍等の職務上請求については,事実上,フリーパスといってよいくらいの状態でしたが,雑誌社か何かの要請に応えて,必要もないのに芸能人の戸籍を取得していたいたというような案件もあったりして,職務上請求であっても,理由の記載が必要になるなど,最近では厳格になっています。職務上請求をすると,割と細かく立ち入って,事情を尋ねてくる自治体もあります。

ただ,弁護士等からの戸籍請求があったことを,問答無用に,本人に通知してしまう自治体があり,これはこれで問題だと思います。秘密裏に進行しなければならない案件で,弁護士等が戸籍を取得してしまったことが分ってしまうと,財産隠しなど何らかの対策を取られかねず,困ったことになることもあるかと思うのです。また,調停などの準備のために戸籍等を申請はしておくが,関係修復の可能性に望みを託してやっぱり取りやめるという可能性も残している場合に,弁護士によって戸籍等が取得されてしまったということが相手方にわかったために,もう後戻りできない修復不可能な関係に陥ってしまうということも考えられます。



なお,わりと注意しなければならないのが,不動産の固定資産評価証明書の取得で,戸籍や住民票と違って,弁護士であっても「必要があるから」ということで自由にとることが許されていません。

仮差押えや訴訟提起の際の訴額算定のためには取得ができますが,遺産分割や何らかの理由で不動産の価格を算出したいという際の不動産評価のために取得することはできず,うっかり申請してしまうと問題になります。




冒頭の事件で,元探偵業の男が有罪判決を受けているということですが,探偵(興信所)が標榜している調査で不思議なこととして,口座の調査というのがあります。10日程度の調査期間で,どこの金融機関のどの支店にどの口座を持っていて,残高まで調査するということを聞いたことがあります。




金融機関の口座というのは戸籍や固定資産評価証明書と違って弁護士であっても,場合によっては,裁判所が聞いたとしても,金融機関から回答拒否に合うということもあるというのに,いったい,どうやって調べるというのでしょう。。ナゾですね。










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