判例時報2145号で紹介された東京地裁平成23年8月9日の裁判例です。




弁護士会の会長や日弁連の副会長を務めていた弁護士が,役員として出席した懇親会などの支出費用を事業所得の必要経費,消費税の計算上課税仕入れに計上したところ,税務署から否認されたので,争ったという税務訴訟です。




必要経費等に算入し否認されたものとしては,委員会や理事会などの後の懇親会の費用,マスコミ記者との懇親会費用,執行部打ち上げのための全員分の宿泊費,日弁連事務次長への香典,日弁連副会長立候補費用などでした(なまなましいね)。




裁判所は,こういった支出が弁護士会の役員として支出したものであるとしたうえで,これらの支出が弁護士としての事業所得を生じさせる業務に直接関連して支出されたかどうかという点を検討し,すべて,認められないと判断しました。




裁判所によると,弁護士会の役員としての活動は,弁護士個人の事業所得を生じさせるというよりも,弁護士会や日弁連ひいては弁護士全体に帰属するものであるということなどから,問題となったすべての支出が事業所得の必要経費,消費税の計算上課税仕入れに該当しないと判断されました。





自営業っていろんな活動をしていく中で仕事につながってゆくと思うので,スパッとは切り分けられないと思うんですけれどもね。裁判所も悩みは見せてくれていますが,弁護士側全面敗訴となりました。




なお,本件は控訴されています。



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