私には夢がありませんでした。


そりゃ小学校時代の作文には医者だの、弁護士だの、通訳だの、色々書いてあります。


しかしそれは、結局まわりの大人達が好きに言ってたものを真に受けていただけなんですよね。


当時私は勉強が出来ましたから、大人達がいわゆる「なるのが難しい職業」を勝手に言っていただけなんです。


でもいわゆる「いい子症候群」だった私は「よし!それを目指すか!」とそれを目標にしてしまったのでした。



しかし中学卒業の頃、「自分は本当にそれになりのいのか」と自問自答をはじめ、もし違ったとしてもすぐ方向転換できるようにと、とりあえずは地元の普通課の高校に行くことにしたんです。



ただ、残念ながらそれ以降も、自分のオリジナルな夢が見つかる事はありませんでした。




それでどうしたかというと、目指した物は現状で考えられる「普通の人生のMAX」でした。


つまり「いい企業に入り、そこで出世を目指す」というもの。


私は努力を重ね、東北の片田舎にある地方の大学生ではありましたが、誰でも知ってる有名企業に見事合格。


また大学院でも優秀な研究成果を残し、学会でも8000人の中の50人に選ばれて賞を受賞しました。


その頃には「ああ、会社で出世を目指すのもいいかも」と思うようになっていたのです。




夢無き男 その2