神田橋医師への抗議文 |
神田橋先生 ぜんかれんの雑誌に、「すーっとする」と、お書きでしたね。
わたしは、池袋のほづみクリニックのうつ病患者の山田まさ子です。
母は、高知市で統合の診断で入院、電気治療を受けました。最初は、「あ、い、うえお」も書けなくなっていましたけれど、文字の記憶は取り戻しました。けれども、失った過去の記憶が、戻ってこなかった。同級生には会えないので、引越しをくりかえしました。
母が亡くなったとき、葬式に、ひとりも友達はこなかったです。
先生、先生、電気は、記憶だけじゃありません。患者に、ひととしての、自信や、プライドを失わせます。
母は、わたしが大学を卒業したときに、会場に入っていません。
「あたしのようなものが行ったら、まさ子が恥ずかしい思いをする」と言って、会場の近くの喫茶店で、4時間、待ち続けていたのです。
電気について母にきくと、「痛かった」「なにも覚えていない」と答えていたけれど、おびえたような眼でした。こわがるので、病院には行かせず、母子で暮らしました。父は出ていきました。
母が死んで、4年経ちます。殺したのはわたし、統合の母親を守りきれなかったのは、娘の責任です。いつか、とります。
ぜんかれんへの先生の投稿を読みました。担当医のところへ行って、話したけれど、担当医は、電気治療に賛成しているので、意味は通じなくて、リスパダールが出ただけ。
診察の帰り道、にっぽり駅の常磐線への乗りかえの陸橋で、窓から身を乗り出しました。位置が低すぎて、これでは助かってしまう。アパートにはイソミタール2g、…足りない。昔、母とのぞいた線路は、赤さびていたけれど。あのとき、とめたので、よけいつらい人生を送らせてしまったと思う。死んであげればよかった。
神田橋先生が、「すーっと」なんて、書いている。もう、おしまいです。流れはとめられない。わたしに価値はありません。
「すーっと」という文字をみたとき、息が苦しくて、心臓が激しく波打ちました。
患者は、「患者」という別の生き物ではありません。患者の家族もです。
心をもっているのです。
電気を無理やりかけられたとき、ひととしての 尊厳を、自信を失ってしまう。取り戻すまでには、長い年月がかかる。その月日が、先生にわかるのでしょうか。
電気は、医師にとって、短い治療時間です。でも、かけられた者にとっては、永遠に残ります。「あきらめる」ことや「耐える」ことしか知らない人間になってしまう。
神田橋先生、お医者さんになられた理由はなんでしょう? 先生の本を信頼して読んでいた読者を傷つけるためですか? かなしませるためですか。
神田橋條治先生へ 2006年2月18日
病院住所 鹿児島県鹿児島市下伊敷2-4-15 伊敷病院 神田橋條治医師
鹿児島の伊敷病院に送付します。 投稿者:ばびっち佐野 投稿日: 2月18日(土)16時54分38秒 |
<><><>抗議文
神田橋條治様
じつはボクはあなたが九大病院に居た頃、入院していた患者です。統合失調症です。今は作業所の指導員です。自立支援法によって作業所のNPO化を進めていますが、その仕事でさいきんいっぱいいっぱいでした。そこに、氏の電気ショック賛成の文章が載りました。それを見てパニックになり、それ以来今日までまる1週間、うつ状態が続いています。自殺念慮も出ました。
「だけど危険性から考えると、薬の方がずっと危険です。電気ショックの危険率は一万回に一回くらいです。」「薬は肝臓はわるくなるは、発疹も起こるし、電気ショックのほうが安全。きちんとやれば、」
ぜんかれん誌2月号より
一万回に一回と言うのは死亡例としてときどき言われますが、根拠はなんでしょう。数年前の自治体病院の電気ショック実態調査(資料1)でもこの数字はでていません。表沙汰になったもので、このくらいかもしれませんが、実態調査はおこなわれていません。ボクの知ってる死亡例では、電気ショック前日、面会した時は元気だったのに、肺炎で亡くなったと処理されました。薬の副作用は死亡例ではないでしょう。これを同列にあつかうのはフェアじゃありません。今電気ショック賛成を言う事は、1割以上行われている、生がけをも肯定するものです。氏の文章はまるで、無けいれん法が主流であるような印象を読者に与えます。
もちろんぼくは無けいれん法であるからと言って肯定する者ではありません。病者は体が弱っていて、血圧も下がっているので、無けいれん法の全身麻酔は危険です。
それに腹立たしいのは、電気ショックの副作用の記憶障害にまったく触れられてないことです。同封の資料2の記憶障害の実例に付いて見てください。
とくにアメリカでの記憶障害の裁判勝訴の例もみてください。(資料3)
ぼくの身近でも長期にわたって記憶障害に苦しむ人はいくらでもいます。
難しい漢字をわすれてしまって、新聞が読めない統合失調症の人がいます。解離性障害でバスの何番にのれば、全く忘れてしまった人もいます。他にも長期的記憶障害に苦しむ人はいくらでもいます。勿論無けいれん法での記憶障害の例も聞いています。
これらの実態はまったく表沙汰になっていません。長期にわたる電気ショック副作用の実態調査を行う事無しに電気ショックを広めることは、犯罪的ですらあります。
「うつ状態で自殺の危険性がある人には確実に効きます。すうーっとしますからね。それが絶対の適応です。さしせまった自殺の危機。そうしないと、縛っておかないといけないですよ、縛ってさるぐつわしておかないと舌噛むから。それよりは、うんといいと思います。」ぜんかれん誌2月号より
まったく伊敷病院ではこんな看護しているのかと、看護のレベルを疑う記述です。あきれました。岡山のまきび病院では絶対に拘束しないことがポリシーです。自殺の迫ってるひとには、つきっきりで見守る看護こそが、望まれるのではないでしょうか。
いま電気ショックがどんどんひろがるのに強い危機感をもっています。あまり軽はずみな発言をしないでください。次のぜんかれん誌にて謝罪訂正をおこなってください。
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資料1は
http://www.seirokyo.com/archive/news/ES/ES0107.html#Anchor6041216
資料2は
http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/ECT.html
資料3は
http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/saiban.html
です。
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