今ヒマワリのファイトレメディエーション(植物を用いた地盤の浄化)が注目されていますが・・・。

放射能除去に効果を発揮する「ヒマワリ」 - 雑学情報

土壌の放射性物質を根から吸収する能力がいくつかの植物にある事が分かった

なかでもヒマワリの吸収率が最も高い

危険性がなくなるまで30年以上かかる土壌の放射性物質をわずか20日で95%以上も除去

ヒマワリが放射能汚染を20日で95%除去(露) | YUCASEE MEDIA(ゆかしメディア)

植物には根っこから土壌の放射性物質を吸収する者もあるそうで、その中でもヒマワリが最も吸収の効率が良いのだという。30年以上かかる土壌の放射性物質の除去までに30年以上はかかると言われる場所でも、わずか20日で95%以上を除去したという記録が残っている。

 1995年に米ラトガーズ大学のスラビック・デュシェンコフ博士ら旧ソ連出身の植物学者達が、チェルノブイリ原発から1キロ離れた池で20種類の植物を栽培し、ヒマワリがセシウム137を根に、ストロンチウム90を花に蓄積することをつきとめた、という研究報告がある(日本テレビ系(特命リサーチ200Xより)。

こんな記事を見つけたのだが、よりによってソースがテレビw
コピペしてブログ記事にするだけなら誰にでもできますが、ちょっと調べてみたら、こんな記事に出会いました。

Phytoremediation: Using Plants to Clean Soil

eComStation 2.0 日本語版&シルバーカトラリーのお部屋-Phytoremediation: Using Plants to Clean Soil

In February 1996, Phytotech, Inc., a Princeton, NJ-based company, reported that it had developed transgenic strains of sunflowers, Helianthus sp., that could remove as much as 95% of toxic contaminants in as little as 24 hours. Subsequently, Helianthus was planted on a styrofoam raft at one end of a contaminated pond near Chernobyl, and in twelve days the cesium concentrations within its roots were reportedly 8,000 times that of the water, while the strontium concentrations were 2,000 times that of the water.

どうもゆかしメディアの記事にある「土壌の放射性物質をわずか20日で95%以上を除去した」という一文は、Phytotech, Inc.が開発したヒマワリのトランスジェニック(遺伝子導入)株 Helianthus sp. ならわずか24時間のうちに有毒汚染物質の95%を除去するという話と、さらにチェルノブイリ近くの池に浮かべられた発泡スチロールのいけすに植えられたヒマワリ(要するに水耕栽培)の根は 20 日間でセシウム濃度水中の 8000 倍に、ストロンチウム濃度は水中の 2000 倍になったという報告混じりあったネタっぽいです。

ちなみに研究報告については、独立行政法人寒地土木研究所「ファイトレメディエーション(植物を用いた地盤の浄化法)について」という記事で

危険性が失われるまで30年以上かかる放射性物質を20日間で95%以上も除去できる能力を有する結果が得られている。

とありますが、参照文献である Slavik Dushenkov 博士他の論文のタイトルは Removal of Uranium from Water Using Terrestrial Plants(陸生植物を利用した水中からのウラン除去) となっていますし、前述の Phytoremediation: Using Plants to Clean Soil の内容が正確であれば、あくまでこの能力はヒマワリの水耕栽培によるもの。ふつうに地面に植えたヒマワリで同様の効果が期待できるとは思えません。

それで単にヒマワリを植えたところで、今日本で吹聴されているような、20日間で95%の放射性物質を集められる能力はなさそうです。

ちなみにファイトレメディエーションで利用した植物は刈り取って適正に処分する必要があります。さらにヒマワリを使って集めるのが放射性物質なら、町のゴミ収集に出すわけにもいきません汗

【3/25 22:31メモ】論文Removal of Uranium from Water Using Terrestrial Plants(陸生植物を利用した水中からのウラン除去) は金払って読もうかと思いましたが、IDを作るのが面倒なのでやめました。(-。-;)

ただいまアクセス集中しているようですが、別にこの記事、ヒマワリのファイトレメディエーションの効果を疑っているわけではありませんので悪しからず。ただ20日で95%という数字がクローズアップされて妙に一人歩きしているようなところに危なっかしさを感じたので書いてみたまでです。

ま、ヒマワリは芽さえ出ればあたりかまわずどんどん成長してくれる植物ですから、世話が苦手な人でも安心ですね。僕はアロエを枯らしたことがありますが(笑)

ところで、このブログもセキュリティホールmemoのように「ここに載せる情報については、可能な限り 1 次情報源へのリンクを作成しておきます。各自で 1 次情報源の内容を確認してください。このページの内容をくれぐれも鵜飲みにしないように。」って書かなきゃ駄目ですか?ここは所詮個人ブログ、それほど大した記事でもないと思うのですがね(笑)

【3/25 22:39メモ】http://twitter.com/#!/Tiger_Mb/status/51121211291336704

@koichimaeda @indoorcat629 「ひまわり」の次は大麻かい? ネタ(デマ)を拡散するのもいい加減にしてよ! http://amba.to/enSSUp >大麻も土壌浄化植物として紹介されています

「ひまわり」が一番効果があったというだけで、他の植物に効果が認められないという話ではありません。ただ大麻と書くのはやめましょう。ケシです。ケシ。


【3/26 4:11追記】CSA : Sunflowers remove radionuclides from water in ongoing phytoremediation field tests

the tests used sunflower plants to pull radionuclides from a pond contaminated by the 1986 Chernobyl accident and from water taken from the DOE site.

エネルギー省の施設から取得した水やチェルノブイリ発電所事故で汚染された池から、放射性同位体を引き寄せたヒマワリを使ったテストですか。やはり露地ではなかったんですね。

【3/26 15:00】福島ひまわりプロジェクト

現在、私が分かっている情報によれば、吸収される部分(茎、根、花)以外の種などは無害との事ですが、ヒマワリは、枯れた後、放射性廃棄物となります。

花は駄目で、その花の先にできる種は無害という根拠が不明。

【3/30 7:55追記】3月28日月曜日の産経新聞社会26面にこのような記事が載っていました。

eComStation 2.0 日本語版&シルバーカトラリーのお部屋-産経新聞

食品衛生法の暫定基準値を超える放射性物質が検出され、農家は出荷できなくなった野菜の処分や種まきなど農作業の延期に、頭を悩ませている。どこまで汚染が広がっているか正確な情報がない中、農家での取り組みには限界があり、国の早急な対応が求められる。

1,2週間が限界

「農作業はすべてストップ。間違いなく土壌が汚染されている状態なのか。何も情報がなくて農家は困惑している」
福島第1原発から約50キロ離れた郡山市。地元JAの担当者は嘆息をもらす。同県では4月から田植えや野菜の作付けが本格化する。だが、土壌汚染の恐れがあるため、県の災害対策本部は今月25日、県内の全農家に対し、作付けの延期や耕作の自粛を求めた。
JAの担当者は、「作付けを遅らせるといっても、東北の気候だと、あと1、2週間が限界。それ以上だと、今年は断念せざるを得ない」。

ここまでなら天災による農家の補償問題と何ら変わりはない。しかし放射性物質の問題が根深いのここから。

処分の手間が省け肥料にもなるため、一般的に、天候不良で傷んだりして売れない農作物は収穫せずにトラクターなどで畑にすき込んで土壌と混ぜ合わせる。だがあ農林水産省は放射性物質が検出された野菜の廃棄方法について、「すき込みや焼却は望ましくない」と通知した。土にすき込む方法だと放射性物質が拡散する恐れがあるためだ。
 旧ソ連のチェルノブイリ原発事故による汚染に詳しい四日市大非常勤講師の河田昌東氏は、農作物の表面や土壌の表層にとどまっている放射性セシウムなどが、地中の比較的深くまで入り込んでしまう可能性を指摘。放射性セシウムは量が半分になる半減期が約30年と長く、野菜がよく吸収してしまう特性があるため、とくに注意が必要だという。

そうヒマワリでなくてもキャベツのような野菜にも放射性物質を吸収する能力がありますが、高濃度の汚染地域では現在農地に放置されている農作物すら回収しなければいけないとのこと。しかし汚染レベルが低ければ、放射性セシウムが土壌に吸着されるので汚染は地表から5センチ程度に留まるため、汚染度が高くても表層から10センチメートルの土の入れ替えで十分だそうです。

どちらの対応をするにしろ、現時点で求められているのは、国による正確な汚染状況の確認。さらに農作業を続けるための安全性評価(福島県の農業振興課)です。

それで現場の混乱を招くだけの、素人レベルの福島ひまわりプロジェクト自体は自粛すべきでしょう。しかし汚染の除去を目的としない植物を贈るプロジェクトなら心を和ませるもの。たとえハーブの鉢植えでも被災者「みんなの笑顔を取り戻したい!!」という気持ちに貢献するのではと思います。

【3/31 18:56追記】財団法人環境科学技術研究所発行「植物によるセシウムの取り込み」は、植物が放射性物質を取りいれる仕組みについて分かりやすく解説しているので、お暇な方はどうぞ。
【6/1 6:10追記】いま発売中の2011年7月号の Newton 124頁「ライフサイエンスビュー ヒマワリで放射性物質を吸収」という記事によると、植物によって回収された放射性廃棄物の処理方法について、宇宙航空研究開発機構の山下雅道教授は

回収した植物を、「高温好気堆肥菌」とよばれるタイプのバクテリアに分解させる構想をもっている。これにより、水素、炭素、酸素がほとんどを占める植物の体はすばやく分解されて水と二酸化炭素となり、植物の体内にあったミネラル分が残る。セシウム137はこの中に含まれているはずで、これをセメントの中に固めて放射性廃棄物として安全に処分する

方策を考えられているとのこと。ただし作業者の放射線被曝の問題や放射性廃棄物の処分についてクリアすべき課題があるようです。
ところでそんな無謀なことを素人レベルで実現したいと考える「福島ひまわりプロジェクト」、相変わらず続いていますね。しかもネタが尽きたのかヒマワリとは無関係な、六ヶ所村の再処理工場の「「再処理によって廃棄物の量が減る」と宣伝していますが嘘だそう」とか・・・相変わらずミスリードたっぷりな電波を垂れ流しているところが微笑ましいです(笑)。廃棄物の量を減らすというより、使用済み燃料からウランとプルトニウムを取り出してMOX燃料を作るのが再処理工場の役目なのですけどね。その辺りも今月号の Newton の特集記事で紹介されています。

Newton (ニュートン) 2011年 07月号 [雑誌]/著者不明

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【2011.9/6追記】新聞報道でもありましたが、土壌中のセシウムを低濃度の酸で抽出する手法が開発されました。具体的には「酸水溶液を使用し土壌中のセシウムイオンを抽出、プルシアンブルーナノ粒子吸着材という顔料で吸着することで処理する」のですが、理論的には10万分の1まで低減することが可能なため、かなり有望な技術のように新聞には書いてありましたが、スラッシュドットのコメントによれば、局所ならともかく「広い範囲の膨大な量」の土壌から除去するには向いていない方法だとか。とはいえマイコミジャーナルの記事にあるように「汚泥や焼却灰など、ほかの汚染物質の除染への活用についても検討を進めていく」ということで、今後の実証実験を経て何らかの形での実用化が期待されるところ。

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