スポット金大幅下落、追加金融緩和策への失望で
2月29日、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の下院金融委員会で行った経済・金融政策見通しに関する証言で、貴金属と為替市場は激しい変動を見せ、スポット金とスポット銀は大幅に下落した。
バーナンキは、米国経済は回復軌道に乗せているものの、拡大ペースは一定でなく、歴史的水準と比べると緩やかため、1月の金融政策決定会合でゼロ金利を3年間維持するとの決定が適切と述べた。また、最近の雇用指標は改善しているものの、景気の低迷により、労働市場は依然として正常な状態からはほど遠く、失業率は高止まりしており、長期失業は過去最高水準付近にとどまっていると語った。同氏は景気先行きに対して後ろ向きな見方を示し、経済成長や雇用市場を悲観視し、追加金融緩和策第3弾(QE3)を言及しなかったため、リスク回避の買いでドルインデックスが上伸した。
ドル高のほか、インフレヘッジとしての魅力が大きく弱まったことから、貴金属は急落した。当日のスポット金は前日比87.3ドル(4.89%)安の1,696.7ドルで終了した。スポット銀は前日比2.24ドル(6.07%)安の34.65ドルとなった。
米エネルギー情報局(EIA)の発表によると、25日終了週の原油在庫は416万バレル増の3.4487億バレルとなった。加えて、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は米国の景気先行きや雇用状況について後ろ向きな発言をした上、QE3を何も言及しなかったため、投資家達を大きく落胆させた。
ファンダメンタルズ面の売り材料を受け、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は一旦大幅に下落した。ただし、終盤ごろに買い戻しに支援され、下げ幅を取り戻した。最終的には、NYMEX原油先物4月限は前日比0.50ドル(0.47%)高の107.07ドルで引けた。
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