猫の後ろ姿 490 絵の本当の「ちから」 | 「猫の後ろ姿」

猫の後ろ姿 490 絵の本当の「ちから」

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 画家・榎並和春さんが「指導」しているグループ展が山梨県美であった。
 所用が重なり僕は見る事ができなかった。
 見たい絵があった。82歳の方の絵。上の写真は、去年の県展に出品した「実り」。
 まっすぐこちらに向かってくる「ちから」がある。
 平面の上に自分がそこに在ってほしいと思う「もの」を形と色で描き出す。絵というものが持っている最も原初的な姿をこの絵は、余計なものをすべて捨てて、さし出している。
 お前が絵を描くのはなぜだ? お前が絵について考え書くのはなぜだ?
 この絵はそんな問いを観るものにまっすぐにつきつけて来る。その問いは、静かな柔和な微笑みをもっている。それだけに深い。だからこそこの絵にぼくは試されている。