猫の後ろ姿 300 CINE FRONT | 「猫の後ろ姿」

猫の後ろ姿 300 CINE FRONT


「猫の後ろ姿」

























 1974年入学の文学部2組の僕ら映画好きが集まって、こんな「ガリ版刷り」の雑誌を出した。

 『CINE FRONT シネ戦線』。

 ある方が保存していたのを、コピーしていただいた。

 タイトル自体が今となっては、いささか気恥しい。しかし、やっと大学に入って、好きな映画をおおっぴらに観る事が出来るという、うきうきした気持ちの高ぶりは感じ取れる。 



「猫の後ろ姿」


























 小説家・山田稔さん(当時、教養部助教授)が僕らにフランス語をてほどきしてくれたのだが、こちらに真面目に外国語を習おうなどという殊勝な気持ちはさらさらなかったので、身につくはずはない。かわりに、氏の映画好きにつけこんで、その研究室をぼくらの集会所に使わせてもらった。最後には、氏もあきれて、僕らは追い出されてしまったけれど。

 そんな山田さんを囲んで、映画をめぐる無駄話を録音して文字起こしをして、ガリを切って、こんな「絶対無意味」なものを出した。思えば、とにかく暇だったのでしょう。

 この座談会の中で、僕はなんだかわかったような事を言ってカッコつけていますが、まるでだめ。田舎から出て来た、20歳になったばかりの若造なんですから、仕方がないとしても、恋愛経験もないのに女の人の事が分かっているような口ぶりは、今読むと、なんだか我ながら、恥ずかしく、切なくもなります。もちろんここには引用しません。

 この対談の編者として米井力也君の名前が出ている。もっと彼と話しておけばよかった。それだけが残念だ。