ピンク映画の逆襲 | 映画遁世日記

ピンク映画の逆襲

今、日本映画がとてもつまらないです。シネコンで毎週やってるような、難病ものが流行れば難病もの、ツッパリものが流行ればツッパリもの、みたいなアホアホ・スパイラルをはじめ、テレビドラマ連動のスカスカ企画(そもそも映画なのか?)、意味不明のリメイク等々。シネコンだけじゃありません。単館系劇場でかかるような映画の中にも、「お前、本当に映画を撮りたくて撮ってるのか?自分のセンスの良さ(そのセンスの良さも俺基準)をひけらかしたいだけじゃないのか?ボケ!」みたいな自己満足映画も少なくありません。映画業界におかれましては、映画を盗撮されて黒い涙を流してる場合ではなくこういったカスくさい流れをどうにか断ち切って欲しいと思うのです。いくら金儲け優先とはいえ、ノーフューチャーですよこのままじゃ。

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自分にとって、そんなバカみたいな映画砂漠化時代の中のまさにオアシスのような映画体験が"ピンク映画を観る"ことです。ピンク映画を観ると、イマドキの新作日本映画を観てもめっきり感じることが少なくなってしまった「映画らしい映画を観た!」という満足感を比較的容易に得ることが出来ます。今回は"何かどうでピンク映画は素晴らしい"みたいなことは書きません(脳味噌が回っていないので書くことがまとまらないのです)が、とにかくそうなのです(最低のまとめ)。

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しかし20年前には年間150本以上製作されていたピンク映画の新作が今では50本台と大幅減、成人映画館の数も激減しています。成人映画のファン層が高齢者中心になり、新しいファンがあまりつかないことが原因かと思われるのですが、自分はこのままでは困るのです。なんせ自分がピンク映画にハマったのはここ数年のこと(今年40歳なので、ものすごく遅咲き)で、ハマった時にはすでにこの世界が崩壊の危機に面していた、なんて悲しすぎます。

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そんなピンク映画の危機的状況の中、驚くべき出来事がありました。

アメリカ市場にて精力的にピンク映画のDVDをリリースしているPink Eiga incというDVDメーカー(※)から発売されている池島ゆたか監督「淫乱なる一族 第二章 絶倫の果てに」(米タイトル:The Japanese Wife Next Door)のDVDが米Amazonにおける日本映画ソフト売り上げランキング2位を記録(2010年2月2日現在)、さらには25位以内に4本のピンク映画がランクイン。さらにさらにアジア系映画DVD販売最大手のHKFlixでは売り上げ1位(!)を記録しているのだそうです。ちなみにAmazonの日本映画売り上げ第1位はピンク映画の監督時代、数々の大傑作(超絶に破天荒なコメディ映画多し)を残している滝田洋二郎監督の「おくりびと」。これってとっても凄いことでは?本場Amazonで「おくりびと」、「淫乱なる一族」のワン・ツーですよ(笑)?

このPink Eiga incはこれまで「ニューヨーク・アジア映画祭(※)」をはじめとして「テキサス、オースティン・ファンタスティック・フィルム・フェスティバル」「テキサス・ファンタスティック・フェスト」「サンフランシスコ・インデペンデント・フィルム・フェスティバル」「ドイツ、フランクフルトNippon Connection」「サンフランシスコAnother Hole in the Head」「カナダ・ファンタジア映画祭」という数々の映画祭でピンク映画を出品してこられているメーカーさんです(主催者は米在住日本人の方)。この行動力、情熱には本当に頭が下がる思いです。肝心の本国で体力が衰え(繰り返すようですが、映画の内容ではなく製作本数、成人館の激減という観点から見る衰え)てきつつあるピンク映画産業ですが、どっこい観る目が肥えている世界の映画ファンからこれだけ注目を集めている(ホントに、すごく熱狂的に迎えられているそうです!)今、奮起しないでどうしますか?我々映画ファンとしても「映画に本気で向かってほしいですね。つまらなかったら出て行けばいいんですから(by松田優作)」とまでは言わないまでも(笑)、今後のピンク映画界の動きを注視・応援していきたいです、ねー!!!!

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製作本数は激減しているものの、その分1本1本に込められた情熱は高く、傑作・名作も数多いピンク映画。これまで馴染みのなかった映画狂の皆さんも、このピンク映画のめくるめく世界(って全然具体的なことを書いてないのですが・笑)を体感しみてはいかがでしょうか。けっして損はしないと思いますよ。

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(※)ニューヨーク・アジア映画祭(2009)、この濃いラインナップを見よ
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(※)Pink Eiga inc
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日本でもソフト化(もしくはDVD化)されていないタイトルまでリリースしてくれて頼もしいPink Eiga inc。「地獄のローパー 緊縛・SM・18才(米タイトル:S&M Hunter)」(片岡修二監督)や「ねらわれた学園 制服を襲う(米タイトル:Sexy Battle Girls)」(渡邊元嗣監督)がリリースされたときは喜び勇んで速攻注文しました(笑)。しかし、最近「地獄のローパー」が新ジャケットで再リリース。くそぉ~、こっちのジャケのほうがいいw

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