今年のアカデミー主演女優賞大本命と言われる、ナタリー・ポートマンのバレリーナ役を見てきました。
ピークをすぎたプロレスラーの哀愁漂う役に、ミッキー・ロークがとてもはまっていた記憶の新しい
「レスラー」と同じ監督の作品なのだそうですが、
片や、むさくるしく、汚らしい(失礼)野郎共
片や、華奢で優美な乙女達と、なんだかイメージが全く違っていて驚きますよね。
だけど、考えてみると、どちらもショービジネスであることは同じ。
集まってくる客層も、開催される場所も、違うけれど、
演ずるプロとして主役をとりたい!輝かしい地位を守りたい!と必死になる気持ちは、同じなのですね・・・・
バレエ団の一員として、日々熱心に練習に明け暮れるニナ。
母親のサポートの元、ついに次期公演の「白鳥の湖」で悲願の主役の座を手にし、感無量。
しかし、この主役は、白鳥と黒鳥の両方を演じなくてはならない困難なものだった。
元来、完璧をめざすまじめで純粋な優等生であるニナは、白鳥にはぴったり。
でも、奔放さや官能的な魅力を求められるブラック・スワンとしての踊りに悩む。
「自分を押さえ込まずに、もっと解放しろ!」
「相手も、観客も、誘惑するつもりで!」
という指導のもと、ニナは自分の殻を敗ろうとし始め・・・
自分とは全く正反対のタイプの新人ダンサー、リリー(ミラ・クニス)の天然の才能に怯え、
支配的な母親との関係に疑問を抱き始め・・・
大役を手にした喜びと共に、身に余るプレッシャーから、
だんだんと彼女のどこかが、狂い始める・・・・
ナタリー・ポートマンの迫真の演技は、評判どおりの見事さでした。
痛々しい主人公の焦燥感が、伝わってきます。
映画の中では、さまざまなことが起こるのですが、どこからどこまでが現実で、どこからどこまでが
ニナの妄想なのか、その解釈は観客に委ねられることとなります。
優等生として暮らしてきた自分の内面から、全く違う面を曝け出すことが、
ホワイト・スワンから、ブラック・スワンへの変容と重ねられていくわけですね。
(画像はRotten Tomatoes よりお借りしています)
ニナがいよいよ晴れ舞台で踊る公演初日が、まさに映画のクライマックスと重なります。
この踊りの迫力は、ぜひ映画館の大画面で観てほしい!
ナタリー・ポートマンは、子供の頃にバレエを習っていたそうですが、この映画の撮影にあたって、
おそらく猛特訓をしたのでしょうねえ。
彼女は、優等生的な一面に縛られることなく、様々タイプの違う役をこなせる方だと思いますが、
思えば、女優もまた、ショウビジネスの弱肉強食の世界で生きる職業。
ニナを演じる彼女には、やはり共感できる部分もあったのでしょうか。
日本での上映は2011年の春頃に予定されているそうですね。
オフィシャルサイト: http://www.foxsearchlight.com/blackswan/