ブルースコード進行
ギターやベースを始めたら人は大体最初に12小節のブルースコード進行を勉強する。スリー・コードっちゅうヤツだ。ロック、フォーク、ブルース、ソウルから入った人は以下のパターン。(キーはC)
【A】ブルース系
| C7|F7|C7|C7| |F7|F7|C7|C7| |G7|F7|C7|G7| |
| Ⅰ7|Ⅳ7|Ⅰ7|Ⅰ7| |Ⅳ7|Ⅳ7|Ⅰ7|Ⅰ7| |Ⅴ7|Ⅳ7|Ⅰ7|Ⅴ7| |
しかし、ジャズから入った人なら以下のパターン。 コードチェンジ時のⅡ→Ⅴなどは省略、骨格としてのコード進行に抽象化してあります。
【B】ジャズ系
| C7|F7|C7|C7| |F7|F7|C7|C7| |Dm7|G7|C7|G7| |
| Ⅰ7|Ⅳ7|Ⅰ7|Ⅰ7| |Ⅳ7|Ⅳ7|Ⅰ7|Ⅰ7| |Ⅱm7|Ⅴ7|Ⅰ7|Ⅴ7| |
同じものに見えるが、注目すべきは9~10小節(3行目)。【B】の9小節目Dm7はFの代理コードだから、|Ⅳ|Ⅴ7|Ⅰ7|Ⅴ7|と解釈できる。そうすると、
【A】の9~11小節 Ⅴ→Ⅳ→Ⅰ
【B】の9~11小節 Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ
となってしまう。「これ、別物じゃないですか、同じブルース進行といいながら!」。
(コントラバスの)師匠、応えて曰く。「それが、アーメン終止とオジギ終止の違いなのじゃ。極論、音楽はこの2種類しか存在しない」。
【B】はⅤ→Ⅰで終止しており、完全終止(オジギ終止)と呼ぶ。
【A】はⅣ→Ⅰで終止しており、変格終止(アーメン終止)と呼ぶ。
ジャズの楽曲の根本形成史において、白人ユダヤ系移民の貢献が大きいと思うが、彼らは結構音楽的教育を受けており、楽理についても詳しかった。よって、【B】のパターンでは、Ⅱm→Ⅴ→Ⅰという、和声進行的に完全に理に適った終止が用いられている。洗練された都市のイメージ。
一方、黒人教会で醸造されたゴスペルは、和声学の学理とは全く違う文脈。アーメンはヘブライ語で「アーマン(=確かに)」の意。いつから始まったのか解りませんが、昔から賛美歌は基本的にアーメン終止。ブルース→フォーク→ロックの歴史はこの文化を継承している。ゴスペルで見られる「アー(Ⅳ)メン(Ⅰ)、アー(Ⅳ)メン(Ⅰ)」を繰り返しまくると、R&B、ソウルの根本「Ⅰ→Ⅳヴァンプ」ができあがり。都市と反して、土着のイメージ。
時代考証的には【A】が(賛美歌として)元々のルーツで、それを西洋和声学的に無理やり解釈したのが【B】なのかも知れない。ここらへんはマジで考察していきたいっすね。↓一応、個人的に好きなブルース曲と、パタンの違いをリストアップ(Amazon 試聴可結構あります)。
【A】ブルース系
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【B】ジャズ系
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