エロビデオで泣いた | 牧歌組合~45歳からの海外ミュージシャン生活:世界ツアーに向けて~

エロビデオで泣いた

ここ数年、カンパニー松尾監督作品のエロビデオしか借りない。
女性読者は引くだろうが、エヴァンゲリオンの庵野秀明氏が映画ラブ&ポップ(仲間由紀恵も出演)で起用したこのAV監督は、凡庸なAV監督ではない。何と言うか、彼のエロビデオは、男と女の『あいだ』を描いている。男にとって女性は、彼岸の女。だからそれを求め、交わるが、結局は離れる。彼岸の女との距離感の切なさ。カンパニー松尾は常にその距離を描いている。だからとてもエロくて、悲しい。

ラブ&ポップ

どか~んレーベルでの最終作(2002年) 『素人三昧90分』のラスト。彼は、友人のフォーク・ミュージシャン、豊田道倫の北海道すすきのライブを見物に行く。エロビデオの最後の10分間、豊田氏のオリジナル曲が流れる(カンパニー松尾を理解せず、このビデオ借りた単純スケベ君は永遠に理解できないだろうなぁ)。この歌が気になっていたのでコード進行をチェックしてみた。


【A】

まぶたを 開いた ゆっくり 眩しく 隣に 居た 女は
|G  |C  |G  |C  |G  |C  |G  |C  |G  |C  |G  |C  |G  |C  |

【B】

ハンドル 握って ドライブ
|Fadd9 |Fadd9 |Am7 |Am7 |G |C |G |C|

【A】どこに行くの?今は何時?昨日の夜初めて抱いた

【B】君と行く、ドライブ


【C】

東京の 街には 行かないで
|C#dim |C#dim |Bm7 |Bm7|
目の前の この道を  
|C#dim |C#dim |C |C|
走って 走って
|G |G |D7 |D7|

【C】東京の人には会わないで。目の前のこのときを、走って。走って。

(c) 豊田道倫 


カンパニー松尾は所謂「素人ナンパ」ものを得意とする(他にフェチ、巨乳も得意)監督なのだが、この作品でも北海道、九州、大阪と全国に出かけ、テレクラに電話をかけてきた女性を撮る。その刹那の出会いのなかで、彼は退廃した現代を描いたり、ちょっとした希望を描いたりする。その情景にこの歌がバッチシはまって、エロビデオを見ながら涙が流れた。男も、女も、常に欲望のバイオリズムと個人を取り巻く状況とのギャップに悩んでいる。


豊田道倫はアングラな人気のあるフォークシンガーらしい。上の曲は右のアルバムに収録されている。アルバムの曲名を見ると、

「早朝,女子アナの乳房に触れて眠る夢を見る」

「あの汚くなった靴をあの娘はひとりで買ったのだろうか」

「うどん、食べるか」「新幹線で読む本」などちょいオモシロそう。今度聴いてみよう。女性の皆さんは、一度はカンパニー松尾を見てください。


豊田道倫/ 人体実験
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