キャロル・キングと地震 | 牧歌組合~45歳からの海外ミュージシャン生活:世界ツアーに向けて~

キャロル・キングと地震

ピアノから始まる音楽と言えば、キャロル・キング「空が落ちてくる(I Feel the Earth Move)」。 左手で低音のCを刻みながら、右手はクラスタで叩く。ピアノのビートだけでも曲名の「地球の揺れ」を地震のように表現。またこの曲の構造にはR&B作曲家としての彼女のシンプルな個性がギッシリ詰まっている。


コード進行は(キーはCm)

【I】イントロ

|Cm7|Cm7-F|Cm7|Cm7-F|

Ⅵm7→Ⅱ、(つまりⅠ→Ⅳ)のマイナー・ヴァンプ。50→60年代ソウル、R&Bの定番コード進行。


Carole King
"Tapestry"

【A】I Feel the Earth, Move

|Cm7|Cm7-F|Cm7|Cm7|

|F7|F7|Cm7|Dm-Fm7|

【I】と同じく、Ⅵm7→Ⅱ7ヴァンプの変形。Dm→Fm7、Ⅶm→Ⅱm7は、Ⅱ7→Ⅱm7(つまりサブドミナントマイナー)の代理と考えていいと思う。


【B】oh Baby.. when I

|E♭M7|A♭M7|Fm7|Fm7|

|E♭M7|A♭M7|Fm7|Fm7-Dm7|

ⅠM7→ⅣM7→Ⅱm7、ⅣM7とⅡm7は互いに代理が可能だから、ⅠM7→ⅣM7というこれもヴァンプに過ぎない。とまあ、この blog で学習してきたようなコード理論だけでも十分解釈可能な、超シンプルな構成。だが、そこに地震のようなビートと、綺麗なメロディが乗る。そこで醸し出される彼女の繊細な心理。こういうのが音楽の醍醐味だ。


キャロル・キングは米女性シンガーソングライターの草分けであると同時に、50~60年代ソウルの偉大な作曲家だった。ドリフターズ 'Up on the Roof'、シュレルズ 'Will You Still Love Me Tomorrow'、アレサ・フランクリン 'Natural Woman'、などなど。彼女の10代のピュアなセンス以外ではこれらの名曲は作られることはなかっただろう。よって最近の日本ポップ界、オレンジレンジなどへ深く影響しているのも当然のことだ。しかし、最近変な地震多い。大丈夫かな。