え? 決勝のハナシですか。

いや、無かったことにして帰りませんか。


月刊:DUCATI F750 村山SP!


...そーかー、書かなアカンかぁ。
書きません。書きます。書くとき。書けば。書こう。
いっきしっ。

さて。


正午過ぎ。
気温は10度を越えたぐらい。
晴天なり。風、少々。


フロント・ロー、2番グリッドに立つ。
見晴らし良く、気分がイイ。
気分は良いのだが、ちょっと困ったことに気がついた。


1コーナーから先が見えないのである。


ま、確かに1コーナーは、ぐるりと回ってるので
その先が見えないのは当たり前なのだが、実を言うと
私自身のココロの眼が、見開いていないのである。


つまり、走るイメージがまったく湧かない。


両隣に控えるは歴戦の猛者、
リトモセレーノ中嶋選手、そしてスタンホープにしだ選手。
この二人を抑えて、ホールショットこそ取る自信はあるものの...


1コーナーをクリアしたのち、全8周をバトルする、
いやそれ以前に、スポーツ走行する自信すら湧かない。
予選は、精魂込めて、本気で走り込んで、12秒が精一杯だった。


そして、ここ半年ほど、12秒未満で走った記憶がない。
しかしながら、このレースをまともに走ろうと思ったら
少なくとも10秒は出さなければならないハズ。


自己ベスト10秒フラットを出した記憶は、はるか彼方。
そのひきかえに残るは、1コーナー立ち上がりのハイサイド未遂の感触。
スタートを前にして、茫洋とした不安だけが付きまとう。


2周のサイティング・ラップ、のち、スタート。

月刊:DUCATI F750 村山SP!

はたして、ホールショットは現実のモノになった。
1コーナーを立ち上がり、レース人生で初めて、トップで飛び込む1ヘア。
しかし、ここで異変を感じる。『???』


タイヤの感触がおかしい。


続くダンロップ飛び込み。
ブレーキングを残しながらのバンク角が深くなりかけたところで
明らかな違和感を感じた! マシンはアウトへ流れていく。


タイヤのショルダー付近がグニャグニャする。
まったく接地感のないバンキング!
空気圧が不足気味?


その隙をついて、にしだ選手が前に出る。


2ヘアを恐々と立ち上がりバックストレート、
背後から独特の排気音が近づいてきて、中嶋選手が追い抜いて行く。


どうにもバンキングに不安があるため、フルブレーキングも
シフトダウンも、フルスロットルすらも支障が出始めた。


1コーナー進入フルブレーキング、のち、バンキング...
やっぱり! バンクさせていくとショルダーへ向かうほどに
まったく不安定で接地感が無くなっていく。


決勝前のエアチェックで空気圧を抜きすぎたかなァ...。


青色のニコバッカーに抜かれる。
S字から1ヘアにかけて神宮司選手とげんげん選手にも抜かれる。
あと7周で、どれだけ空気圧が高まるだろうか...。


そんなことを考えながらダンロップを通過した、その時!

月刊:DUCATI F750 村山SP!

摩擦煙を上げながら転がっていくマシン。
ゼブラの上を転がっていくライダー。
間一髪でライダーをかわす、げんげん選手。


萎えた...。


赤旗中断。


レース再スタートの為、2番グリッドへ再び整列、
2周を消化しているため、減算後、残り5周のレースを告げられる。
右隣で、にしだ選手が『5周...』と感嘆している。


タイヤは、冷えてしまった。
私も、完全に冷えてしまった。


それでも、2度目のスタートがやってくる。
必殺技のロケットスタートは炸裂し、またしてもホールショット!


けれども、1コーナー立ち上がりに以前のような加速は無い。
にしだ選手にパスされる。


1ヘア進入、冷え切ったタイヤに対する不安は頂点に達し、
もはやシフトダウンも出来ない。
普段は2速で立ち上がる1コーナーを、4速で立ち上がる。

月刊:DUCATI F750 村山SP!

戦・意・喪・失。


このあとのことはあまり覚えていない。
ひとまず、チェッカーは受けた。
大きな不安と、自信喪失だけが残ったレースだった。


モータースポーツも、やはりメンタルな側面が
結果を大きく左右するんだな、と思った。


自信を取り戻したい

それを今、痛感していることです。

その現状を打開するために、来期へ向けて様々な対処を考えています。
4月の開幕戦、ライバル達と楽しく一戦を交えられるように、
もうすでに、私の2009年は始まっています。


待ってろよ、みんな!


撮影:アルミ缶さん