この一冊には、なかなか引き込まれる短編もありました。
いろんなお話が入ってるのに、なにか大きなもので全作まとまってる感もあり
前に感想をかいた「つめたい夜に」よりかは個人的に良かったです。
タイトルにもなってる「泳ぐのに・・」と「犬小屋」は、特に面白かったです。
世間からいわゆる「はみだして」いる女たち目線の物語が多いです。
(うまくたとえが思いつきません・・はみだすってなんか違う気もする。)
多分、支持できるのって自分と経験が重なった場合でしょうか。
冷静に考えたら勝手きままなどこにでもいそうな登場人物たちなのに、
江國さんはそんな「普通のはみだし者」の女性を最大限に美化してかけている。
その才能はすごいなぁと思います。
しかし逆に、あまり共感しにくいと、ちょっと入りづらいんですよね。
私もある意味大いにはみだしてるけど、恋愛至上主義じゃないからか
イマイチ感動がないんです。
主人公たちは自分の価値観が絶対で、
なんかすごい傲慢に感じちゃいます。
もちろん、筆者はわざとそういう表現にしてるとは思うけど・・
そのあとにおとずれる「救い」がないままですし。
でも、恋愛のまっただなかって誰でもこういうものなのかも・・。
価値観や感覚がなにかふっと心の旋律に触れるというより
経験が重ならないといけないような感じがあるんです。
食べ物とセックスの描写を、そそれるものにかこうとしているつもりなのでしょうが
甘すぎな表現がいまひとつもの足りません。「うんとお腹をすかせてきてね」とか。
たまにふっと惹かれる一文なんかがありますが。
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