このブログでも何度か、増資や決算について書いてきたリーマンブラザーズがついに破綻しました。
14日、破産申請が行われました。さらには、メリルもバンカメに買収され、5大投資銀行のうち、
これで3行が消滅したことになります。

また、不動産市場には、リーマンのもつ326億ドル(3.5兆円)というとんでもない額の不動産が
ファイヤーセールにかけられます。ついに、底割れの瞬間が来てしまいました。Reuterです。


米リーマン破たんで326億ドルの不動産投資売却の公算、商業用不動産市場の重しに
2008年 09月 15日 15:01 JST

米不動産市場の関係者は、証券大手リーマン・ブラザーズの経営破たんにより、リーマン保有の326億ドル相当の商業不動産投資の売却が促進される可能性がある、と述べた。ただ、これは米不動産資産の売却再開に向けた呼び水に過ぎない見通しだという。

 不動産市場の下値は早くも崩れ、相場はさらに大幅な値下がりに見舞われる可能性がある。大規模な金融機関が市場から去った後の穴を埋める新たな投資家が登場するまでは、この状況が継続する見通しだ。

 JCRキャピタルのジェイ・ローリンズ社長は「多くの関係者がリーマンの屍をついばむハゲタカになろうと目論んでいる」と述べた。

 8月31日現在、リーマンの保有する商業不動産ローンとエクイティは326億ドル。米破産法の手続きに基づき、これらの資産は一度に放出はされず、徐々に売却される公算が大きいと専門家は指摘している。


一般マスコミ報道にもあるように、ベアの場合は、政府がJPモルガンに対し損失補てんを保証して、
何とか「民間が」「自助努力で」救済した形にしました。2つの住宅公社(日本の住宅金融支援機構)
ファニーメイとフレディマックは、「もともと半分公共」ということで、公的資金投入の口実をつけました。

しかし今回は、米国国内に引き取り手はいなく、(その理由は、資産が痛んでいる、ということの他に、
ワンマンCEO、リチャード・ファルドの存在がガンになっていた、という話も)、韓国産業銀行や、
バークレイズも「ベア・スキーム」の公的資金による保証がないと嫌だったのでしょう。

あくまで「民間の自助努力」にこだわる米国政府、もはやリスクの高いリーマンを助ける余力の無い
米国金融機関。その結論が破綻させる、でしたね。副作用として米国最大の金融機関が誕生し、
ますますかつての日本の形に近くなってきました。

「4大証券」の一つ、山一證券が破綻、13行もあった銀行は次々合併し、3大銀行へ、そして、
日銀が株式を買いだしたり、ABS購入を言い出したりして、「ありえない」はずの、りそな銀行への
公的資金導入へ。これが底を打つ転換点となりました。

これを十分に研究済みの米国政府でしょうが、このタイミングで公的資金を導入するということは
できませんでした。日本の例に倣うと・・・、依然ピンチの続く米国4位の銀行、ワコビアが危機に
陥り、ついに公的資金導入、転換点へ・・・というのが一番オーバーラップしますが、いかに。