日本抗加齢医学会〜メカノバイオロジー | 院長が自ら行った最新美容治療体験記

日本抗加齢医学会〜メカノバイオロジー

6月28日から30日まで横浜で日本抗加齢医学会が開かれ参加してきました。

日本抗加齢医学会は科を問わずアンチエイジングを研究、診療している人のための学会です。
診療があったので土曜日の診療後からの参加でした。
17時30分からのイブニングセミナー「物理的刺激と抗加齢医学 メカノバイオロジーによるエイジング機序解明とアンチエイジングへの応用」を聴講しました。

メカノバイオロジーは初めて聞く言葉だったのですが、日本医科大学形成外科の小川令先生の講演が大変参考になりました。

メカノバイオロジーとは機械的な刺激が細胞の内部に変化を起こし、細胞の活動にどのような影響を与えるかという研究です。
組織に圧力、張力、剪断応力、浸透圧、静水圧が加わると細胞骨格を刺激しイオンチャンネルが開き、細胞に変化を生じます。
これを利用した治療がメカノセラピーです。
メカノセラピーを利用することで創傷治癒促進、アンチエイジング、Tissue Engineeringなどに応用可能です。
たとえば最近始まった閉鎖陰圧療法は褥瘡や糖尿病壊疽などの難治性損傷に陰圧を掛けて創縁を引き寄せて肉芽組織の増生を促す治療です。
メカノバイオロジーによりケロイドや肥厚性瘢痕が形成される仕組みは傷に引っ張る力が加わることが原因と分かりました。
これによりこれらを予防するには傷に力が加わらないように縫合すれば良いことになります。
また皮膚の周期的に引っ張る力を加えることによりサイトカインやレセプターが増加し血管や神経が増生します。
たとえば皮膚を引っ張ることでマトリックスにつながる毛乳頭細胞が伸展されれば、遺伝子発現を生じ発毛を促進する増殖因子が分泌されます。

これを聴いて、ハッとひらめきました。

当院で行っている真空含浸発毛法です。

真空含浸発毛法はヘルメット状のものを頭部にかぶせて、2秒吸引して1秒で戻すというのを120回くらい行います。これにより頭皮の血行促進と毛孔の閉塞が除去できます。ただこの作用機序だけではなぜ脱毛症が改善するのかを説明できなかったのですが、頭皮を繰り返し引っ張ることで毛乳頭細胞が刺激され、発毛を促進する増殖因子が出ると考えれば真空含浸発毛法が種々の脱毛に効果が出ることが説明できます。

これを証明するには治療前後で局所の皮膚を取って調べる必要がありますが、患者さんの負担が大きいので少し難しそうです。

いずれにせよ増殖因子を出すことで発毛を促進するということは間接的な「HARG療法」ともいえると思います。

男性型脱毛症の治療はプロペシアが登場してから、
真空含浸発毛法の出番が少なくなりましたが、新しい作用機序が推定されたことで
また脚光を浴びそうです。
プロペシアの効果が悪い方は真空含浸発毛法の併用も有効だと思います。

併用症例はこちら

真空含浸発毛法についてはこちら

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