週末排便?! | みのり先生の診察室

みのり先生の診察室

5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

第21号
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今日から年末年始のお休みに入りました。
診療所のある天満橋周辺は閉まっているお店が多いです。
オフィス街・官庁街で賑わっている街も
今日はひっそりとして静かです。

お休みに入ると便秘が直って毎日出る人が多いです。

いつもは夜遅くまで仕事をして帰宅するのが午前様。
朝もギリギリまで寝ているので朝食もとらずにバタバタと出勤する。
仕事に行ったら戦闘モードでリラックスする暇もない。
休憩時間もろくに取れず、気付いたら朝からトイレに行ってない!

なんて人も多いです。

当然、便秘になりますよね^_^;

行きたくなっても行けない・・・
という人がほとんどです。

行きたい時に行かないと、
便意が起こりにくくなります。


「便意がある」ということは
「肛門の出口のところまで便が下りてきている」ということ。

それを我慢して出さずにいると体はサインを出さなくなります。

サインに気付けないようになります。

そうやってどんどんオシリの感覚が鈍っていきます。

だから月曜日から金曜日までは便意もなく便も出ず、
週末のお休みなると自然にもよおして行きたくなるという人も多いですね。

私はそういう習慣を「週末排便」と呼んでいます^_^;

土日のお休みの日にだけ便が出て
それ以外の平日は便が出ない

あるいは
週末のお休みの日に下剤を飲んで「まとめ出し」している

という習慣の人です。

当然「まとめ出し」なわけです。
5日分の便がどっさり溜まっています。

5日前の便は古くなっているので硬くなり色も黒っぽいです。
それがまず出始めに出ます。
その時にオシリが切れることも多いですね。

だんだん新しい便になっていくので
あとに出てくる便ほど軟らかく、色も黄色っぽくなっていきます。

なんせ溜めているのが5日分なので1回では出し切れず、何度も便が出ることもあります。

そして最後の方は下痢・・・という人もいます。


診療所のセラピードッグ「ラブ」
セラピー犬は「ワンワン!」や「ウ~」と吠えません
ただ「クウ~ン」と鳴くことはあります



週末に全部出し切って新しい週を迎えられたらまだいいのですが、意外と残っている人が多いです。

便を溜められる能力を身に付けてしまった肛門は排泄力も低下します。
便を押し出す力も弱くなってしまうんです。

だから出したつもりでも全部出てないんです。
肛門の中にまだ残っているんです。

下剤を飲んで出していても残っている人もいます。

だって下剤はおなか(腸)には効きますがオシリ(肛門)には効きませんからね。
いくら飲んでも、おなかがグルグル動くだけで肛門の排泄力が上がるわけじゃないですからね^_^;

「便を運んでくる機能」と「便を出す機能」は別なんですよ。
分けて考えましょうね。

「運ばれてこない便秘」は下剤で対応できます。
でも「出口の排泄がちゃんと出来ていない便秘」には下剤では対応できません。
そういう出口の便秘を「直腸性便秘」と言いましたよね。

運ばれてきた便を肛門に溜めた人は痔になっていて
便が運ばれずにおなか(腸)に溜めこんでいる人は痔になってない。

週末排便の人でも痔になっている人となっていない人がいるのは「便を溜めている場所が違う」からです。

肛門に便を溜めた人は痔になりますが、
腸に便を溜めた人は痔になってません。


だって肛門まで便が下りてきてないから
診察しても肛門の中は空っぽなんですよ。

だからオシリに負担はかからない。
痔にもならない。

毎日出てても肛門に便が残っている人が痔になっていて
1週間に1回しか便が出てない人が痔になっていないのは
便を溜めている場所が違うから。


毎日出てる私が痔になって
1週間に1回しか出てない妹が
痔にならないのはどうして?!
不公平だ~!!

って言う女性患者さんが時々おられますが
便を溜めた場所が違うんですよね。

だけど、便は毎日作られて出すべきもの。
どこにも溜めないほうがいいに決まっています^_^;

その日の便はその日のうちに出しましょうね。
次の日に持ち越さないことです。

せっかくの休日です。
便通について見直してみて下さい(*^_^*)

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