日常生活の不定愁訴のなかで何と言っても、気分が良くないものには、肩や首がこったり痛むことのようです。
腰の痛みもとても不安要因になると思われますね。

今回は、首のこりと痛みについての予防や治癒の仕方について、お話したいと思います。

首は、東洋医学では、「」に関連しています。
日本の会社経営者からよく聞くことですが、「借金で”首がまわらない”」ということですので、借金はおやめになったほうが良さそうですね。

痛む場所としては、首筋から背中のこりが一番多いようです。
主にこの部分には、膀胱系の経絡が走っています。つまり腎臓のケアが必要です。
俗にいう「寝違い」ですが、枕の位置や、無理な姿勢で寝ると起こりますが、私たちは寝違いを「落枕(らくちん)」または「失枕(しっちん)」とも言いまして、首から「風邪(ふうじゃ)」か「寒邪(かんじゃ)」が入ったためと思われます。
つくづく思いますが、東洋医学の考え方は可愛いと思いませんか。

意外と風邪の引き始めということも考えられますので、いろんなしがらみを捨て、早寝と熟睡をお勧めします。私の祖父や祖母は、しょうが湯にひたしたタオルを肩から首にかけて貼り、患部の血行を良くし、温めるととてもいいと言っていました。
またお休み前に、さといも湿布をして寝ると、翌朝気持ちの良い目覚めが期待できると思われます。
私は、めったに首が凝ることはありませんが、それは、子供のころに教えてもらった「導引光」を毎日必ず楽しくやっているからでしょう。

その中で2,3紹介したいと思います。
床に両足を伸ばして座り、顎を支えるように左の手のひらで顎を抑え、右手で後頭部を軽く押さえます。鼻から息を吸って止めて静かに肩を回さないようにして、首だけ左に精一杯回します。そのとき首や肩がひっぱられるようになります。そして、息を口から吐いて、元の位置に戻ります。それから今度は、右手を顎の下に支えるように抑え、左手で後頭部を抑え、前と同じように、今度は反対方向、つまり右に静かに回して息を吐き、元の位置に戻ります。両方とも5回くらい行っていただけると良いでしょう。

もう一つは、両手を組んで、そのまま後頭部に置き、息を吸いながら前方に頭を下げます。そのとき、息は肩と胸に入れるイメージで行ってください。そして一瞬息を止め、その後息を吐きながら、両肘を大きく広げ、首を後ろに曲げながら、上半身を後ろに沿ってください。首と肩のストレスが緩和されていくはずです。これも5回ぐらいなさると良いでしょう。

最後は、あぐらをかいて座り、親指を中に入れて握りこぶしを作り、両ひざの上に置きます。息を吸いながら、ひじを曲げないで両手を上に持っていき、一瞬息を止めて、そのまま首を肩をなでるような感覚で、大きく左に3回回してください。そのままの状態で今度は右回りに大きく回します。今度は息を吐きながら、静かに両手をさげて、ひざの上に置いてください。やはりこれも5回ほどやってくださいね。首がすっきりしてくるはずです。

鍼灸指圧もとても効果がありますので、ベテランの治療師の治療を受けることをお勧めします。

また、日本の漢方もとても効果があると思います。

体力が比較的弱い方で、少し胃下垂気味の人には「半夏白朮天麻湯」が良いでしょう。
頭痛もちで、首だけではなく肩も凝っていて、食欲はあまりなく、手足がとても冷えてしょうがない方にぴったりです。

またのぼせ気味で慢性頭痛の人には、「釣藤散」がよいでしょう。このような方は、高血圧があり、便秘気味の場合が多いようです。

体力的には普通の人で、肩こりやのぼせがある人には「桂枝茯苓丸」が良いでしょう。時々、下腹部痛のある人だったら有効です。

また頭痛はしないけれども、暑がりの多汗症かつ高血圧もち、時々動悸をする人には、「葛根黄連黄芩」がよいでしょう。私は、寝違いの時にこの処方と「桂枝加葛根湯」を勧めています。

また頭痛は時々するけど、お腹は痛くならない、ただし発熱と悪寒がある人には、なんといっても「葛根湯でしょうね。ただし、汗をかきすぎる人には向いていません。

さらに体力に自信のある人には「大柴胡湯」がベストです。冷えのぼせがなく、肩が凝り、みぞおちから脇腹に時々痛みがあればビンゴです。

動物園の首の長いキリンさんに、さぞかし「首は凝って大変ですね」と聞きましたら、「私にはストレスがないから首は凝りません。でもこの動物園ではなくて、自然の森林に帰れたらもっと幸せだわ」と言っていました。私たちも、数々の状況下で生活をしておりますが、キリンさんがおっしゃるように、郊外の自然の山や海に行って、精神的にも肉体的にもゆったりと森林浴や、海水浴などするべきではないかと思います。
そうすれば、首などは絶対に凝らないと思うし、凝っていた首も和らぐこと請け合いです。

with Love, Appreciation and Respect             Ken Kobayashi