初めて彼女を見た時、これほど使える女はいないと思っていた。


それが愚かだったのだろうか。


彼女が射抜くような視線をチラリと投げかけるのには気付いていた。


だが僕はわざとそれを無視した。


自分の気持ちをごまかすように。


彼女の力だけが必要だった。彼女自身は器に過ぎない。


だが彼女の言葉を聞いて、自分の気持ちに気づいた。


彼女が必要だった。力ではなく、器としてではなく、彼女自身が。


彼女が見ている。


その熱っぽい狂気の瞳が興奮したように僕を見上げている。


僕は彼女の腰を抱き寄せ、唇から首筋に舌を這わせた。


彼女の喘ぎ声が聞こえ、僕の胸は熱くなる。


そして、もっと彼女に触れたいと思う。



きみがいるから。